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第二章 ゆかこさんの一年間
水仙
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黒い地面から芽を出していた水仙がとうとう花をつけました。
神社の境内には春を告げる水仙の爽やかな香りが流れています。
「最初は白色水仙ね。」
そうですね、ゆかこさん。黄色い水仙はこの後です。
オレンジのラッパ水仙はゴールデンウィークの頃かしら。
「春が動き始めたのね。そろそろ地面を耕しましょう。」
次の寒の入りがいいかもしれません。
「ふふっ、雑菌や外来種のタニシの撲滅作戦といきましょう。」
ゆかこさん、なんだか悪い顔になってますよ。
冷たい寒さが戻って来た日、ゆかこさんは庭の土を耕しました。
池の水はふわぁ~んとまとめて空に持ち上げて置いて、
池底に潜っていた大きな外来種のタニシを退治していきます。
ゆかこさんが作業をしている山の麓から、ダッダッダッとトラクターの音が響いてきました。
「あら、田んぼの土起こしをしているわ。」
今日はおじいさんの方が出て来てますね。
鳥たちがトラクターの後をついて行って、掘り出されたばかりの昆虫やミミズを食べています。
もっこりと盛り上がった土の中に新鮮な冬の空気が入り込んでいました。
寒の入りは、いい天日干しの機会です。
固く締まっていた土がほぐれて、春の訪れを待つ準備ができました。
「太陽と風ねっ!」
ゆかこさんはにこにこと輝くお天道様に頷いて、
山のてっぺんに駆け上がりました。
青白い毛糸のマフラーがシュルシュルと音をたてて伸びていきます。
ゆかこさんがそのマフラーを振り回すと、冬の風が集まって来ました。
「さぁ皆、この町の雑菌を吹き飛ばしてちょうだい!」
太陽と風たちが協力して、キラララビュービューと頑張りましたよ。
ゆかこさんは満足そうに笑って、皆の活躍をねぎらいました。
「あーさっぱりしたわ。町の空気が変わってる。」
ゆかこさんには見えるんでしょうか。
町が綺麗になると、春がやって来るのが待ち遠しいです。
スズメたちが姦しく騒ぐ中、カラスが「カァ~」と一声鳴きました。
神社の境内には春を告げる水仙の爽やかな香りが流れています。
「最初は白色水仙ね。」
そうですね、ゆかこさん。黄色い水仙はこの後です。
オレンジのラッパ水仙はゴールデンウィークの頃かしら。
「春が動き始めたのね。そろそろ地面を耕しましょう。」
次の寒の入りがいいかもしれません。
「ふふっ、雑菌や外来種のタニシの撲滅作戦といきましょう。」
ゆかこさん、なんだか悪い顔になってますよ。
冷たい寒さが戻って来た日、ゆかこさんは庭の土を耕しました。
池の水はふわぁ~んとまとめて空に持ち上げて置いて、
池底に潜っていた大きな外来種のタニシを退治していきます。
ゆかこさんが作業をしている山の麓から、ダッダッダッとトラクターの音が響いてきました。
「あら、田んぼの土起こしをしているわ。」
今日はおじいさんの方が出て来てますね。
鳥たちがトラクターの後をついて行って、掘り出されたばかりの昆虫やミミズを食べています。
もっこりと盛り上がった土の中に新鮮な冬の空気が入り込んでいました。
寒の入りは、いい天日干しの機会です。
固く締まっていた土がほぐれて、春の訪れを待つ準備ができました。
「太陽と風ねっ!」
ゆかこさんはにこにこと輝くお天道様に頷いて、
山のてっぺんに駆け上がりました。
青白い毛糸のマフラーがシュルシュルと音をたてて伸びていきます。
ゆかこさんがそのマフラーを振り回すと、冬の風が集まって来ました。
「さぁ皆、この町の雑菌を吹き飛ばしてちょうだい!」
太陽と風たちが協力して、キラララビュービューと頑張りましたよ。
ゆかこさんは満足そうに笑って、皆の活躍をねぎらいました。
「あーさっぱりしたわ。町の空気が変わってる。」
ゆかこさんには見えるんでしょうか。
町が綺麗になると、春がやって来るのが待ち遠しいです。
スズメたちが姦しく騒ぐ中、カラスが「カァ~」と一声鳴きました。
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