神社のゆかこさん

秋野 木星

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第二章 ゆかこさんの一年間

ぱいなつぷる

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 今日は土曜日なのでしょうか。

大勢の子ども達が神社のある山に遊びに来ています。

「ち・よ・こ・れ・い・とっ。」

「ハルトくんいいなぁ。」

「まだまだっ。せぇーの、ジャンケンポン。あいこでホイ。もひとつホイっ。」

「やったぁー。こんどは、わたしねっ。ぐ・り・こぉ。」


どうも石段で登りっこジャンケンをしているようです。

髪を短く切ったハルトくんが優勢なのかな。

「ふふっ、でもあの女の子もかしこいわ。」

そうですね、ゆかこさん。

みんな六段登ってやろうとチョキやパーを出している中で、グーを出し続けて少しずつハルトくんを追いかけて登って来ている女の子がいます。


「今度はどうなるのかしら。」

いつの間にか、ゆかこさんも身を乗り出すようにして、子ども達の勝負を見ています。

他の子が、女の子の思惑に気付きました。

今度は三人の子が、「ぐ・り・こ」で登ってきます。

ハルトくんの顔に焦りが見えてきました。


「さぁ、決まりそうよ。」

ゆかこさんにはわかるんでしょうか。

女の子は皆を見回すと、最後のジャンケンでパーを出しました。

なんと、他のみんなはグーを出しています。

「ぱ・い・な・つ・ぷ・る!やったー、あがりっ!」

なんと女の子が勝ってしまいました。


「あらあら、この町の子は優秀ね。」

そうですね、ゆかこさん。ドラマがここにもありました。

子ども達が石段を駆け下りて行った後、

スズメたちが紅葉の枝でチュンチュンチュチュンと登りっこジャンケンをしていましたよ。

ゆかこさんも一緒になって木の枝をぶらぶら揺らしていました。

誰が勝ったかですって?

それはもちろん・・・・内緒です。
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