【R18】18禁乙女ゲームをなんとかノーマルエンドで終えたヒロインですが、ナビ役キャラのモフモフ（実は王子）が本性を現しました

【3】

　穏やかな太陽の光が寮の部屋に差し込む春の日。
　スッキリと片付いた室内を見回しコルネリアは感慨深げに息をついた。

「ふぅ、引越し準備完了。後は明日の退寮日に鍵を返して、この学院ともサヨナラね。……この1年間、頑張ったなぁ」

　アヴィとの出会いから1年。
　当初の目標通り、学院の誰とも恋愛関係にならず今日を迎えたコルネリアの気持ちは晴れ晴れとしている。
　もう卒業試験も卒業パーティーも無事に済んだから、後は明日の退寮日にオハラウッド邸実家へ帰るだけだ。

「卒業おめでとうコーリー」

　ベッドの上からコルネリアが片付ける様子を見守っていたアヴィが声をかける。その表情は『人間の願いを叶えて大人になるんだ』という自信に満ちていた。

（あぁ、ゲームでも見た光景だわ……）

　幻獣の国の掟に従い自分が選んだ人間コルネリアの願いを叶えたアヴィ。
　彼はコルネリアの学院生活を見届け、大人になり精霊界へと帰る。
　それがエンディングの流れだった。

「ありがとうアヴィ。私が無事に卒業できたのも、あなたが私を男子生徒たちから遠ざけてくれたおかげよ」

　1年前のあの日。

『お願い。私、この学院の誰とも恋をしたくないの。これから1年間、男子生徒及び男性教師と極力プライベートで関わらなくて良いように私をサポートしてっ!!』

　そう叫んだコルネリアの様子にオッドアイを瞬かせながらも、アヴィは『それが君の願いなら』と了承し、言葉通りにコルネリアの学院生活をサポートしてくれた。

　攻略対象とコルネリアが遭遇しそうな時間帯と場所のリスト、異性を遠ざける匂いの香水、攻略対象が近づいてくると振動して知らせてくれるブレスレット。
　様々な便利アイテムと共に、攻略対象たちの好みとは真逆の女の子のタイプも細かく教えてくれた。

　コルネリアはそのアドバイスとアイテムを駆使して徹底的に攻略対象たちを避け、フラグを折り続けた。

　一度、ニアミスで王太子メインヒーローと密室で二人きりでエンカウントしてしまうという大ピンチがあったが、その時はアヴィが毛を逆立てて王太子を威嚇し王太子を遠ざけてくれた。