【R18】18禁乙女ゲームをなんとかノーマルエンドで終えたヒロインですが、ナビ役キャラのモフモフ（実は王子）が本性を現しました

【1】

『やぁ！　ボクの名前はアヴィ！　キミの願いを叶えるために精霊界から来たんだ。キミの名前と願いを教えて？』

　――――あ、不味い。
　これから1年の学園生活で、貞操を守りきらないと、快楽堕ちさせられて自分の人生が詰む。

　目の前でふよふよと浮かぶ白い獣を前に、コルネリア=オハラウッド子爵令嬢はゴクリと唾を飲んだ。

　何故なら、アヴィと名乗る獣……幻獣型の精霊を見て、ここが18禁乙女ゲームの世界だという前世の記憶を思い出したからだ。

　耳の大きい猫のような、フェネックのような全体のフォルム。左右で色の違う金と水色の瞳。フサフサとした尻尾に、白い毛並み。

　コルネリアの肩に乗れそうなくらいの大きさの幻獣が、翼もないのに宙に浮き、人語を話している。

　魔法が当たり前のように存在するこの国でも、人語を話す精霊が人前に現れることはかなり珍しい。

　――だが、コルネリアはこの光景を前世で何度も見たことがある。

（この子、18禁乙女ゲーム『散らされる花は淫奔で紅く』のナビキャラじゃない……！　つまり、コレは、今は、淫紅のオープニングってことよね……?!）

　全寮制の魔法学院を舞台にした『散らされる花は淫奔で紅く』、略称『淫紅』。
　淫紅は魔法学園の高等部を優秀な成績で卒業した者だけが通える1年間の学院生活を描いたゲームだ。