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『【禁忌】魔力を増やすための禁断の方法♡』
禁忌という言葉とは裏腹に、表紙にハートマークが散りばめられたショッキングピンク色の本。
それは一見、ラブシーンが過激な恋愛小説のようだったけれど、そこには確かに私の知りたいことが載っていた。
そしてすぐにでも『ソレ』を実行するために、図書室を飛び出し、ウィレム先生の研究室へと駆け込んだ。
「ウィレム先生! ちょっと複数の男性とお見合いのようなお茶会……合コンに参加したいので、週末の助手のお仕事はお休みさせてください!」
◇◆◇
生徒たちが学ぶ校舎の側に建てられた石造りの塔。
そこにあるウィレム先生専用の研究室。
その部屋のドアを開くのと同時に叫んだ私の言葉を聞いて、先生は銀のまつ毛に縁取られたイエローダイヤモンドみたいな瞳を見開いた。
私よりも30cm近く高い長身。スラリと細く見えて、実は膨大な魔力を制御するために鍛えられた肢体。
その完璧なスタイルで黒い魔術師のコートを着た先生はいつ見てもうっとりするくらいカッコいい。
(先生は黒だけじゃなくて、王族としての白の正装も似合うんだよね……)
国の式典に王弟ウィレム・アダマスとして参加していた先生。長めの前髪を後ろに流して王族の正装姿の先生はすごく素敵だった。
(素敵過ぎて、式典の日は先生に声をかけられなかった)
国王陛下とも王太子殿下とも対等に会話をする先生は、遠くから見ても圧倒的なオーラを放っていて。改めて、私とは住む世界が違う人なのだと感じた。
(でも。それでも――っ)
やっぱり私は先生の側にいられる可能性を諦めたくない。
禁忌という言葉とは裏腹に、表紙にハートマークが散りばめられたショッキングピンク色の本。
それは一見、ラブシーンが過激な恋愛小説のようだったけれど、そこには確かに私の知りたいことが載っていた。
そしてすぐにでも『ソレ』を実行するために、図書室を飛び出し、ウィレム先生の研究室へと駆け込んだ。
「ウィレム先生! ちょっと複数の男性とお見合いのようなお茶会……合コンに参加したいので、週末の助手のお仕事はお休みさせてください!」
◇◆◇
生徒たちが学ぶ校舎の側に建てられた石造りの塔。
そこにあるウィレム先生専用の研究室。
その部屋のドアを開くのと同時に叫んだ私の言葉を聞いて、先生は銀のまつ毛に縁取られたイエローダイヤモンドみたいな瞳を見開いた。
私よりも30cm近く高い長身。スラリと細く見えて、実は膨大な魔力を制御するために鍛えられた肢体。
その完璧なスタイルで黒い魔術師のコートを着た先生はいつ見てもうっとりするくらいカッコいい。
(先生は黒だけじゃなくて、王族としての白の正装も似合うんだよね……)
国の式典に王弟ウィレム・アダマスとして参加していた先生。長めの前髪を後ろに流して王族の正装姿の先生はすごく素敵だった。
(素敵過ぎて、式典の日は先生に声をかけられなかった)
国王陛下とも王太子殿下とも対等に会話をする先生は、遠くから見ても圧倒的なオーラを放っていて。改めて、私とは住む世界が違う人なのだと感じた。
(でも。それでも――っ)
やっぱり私は先生の側にいられる可能性を諦めたくない。
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