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「……なんで保健室にスイカ?」
「あ、こまっちゃん……養護教諭の小松先生は、夏休みに部活に来てる子たちに毎年スイカごちそうしてるんだよ。親戚で作ってる人がいて送ってくれるんだって」
「あぁ、なるほど。しかし大きいな……。10キロ以上は有るんじゃないかコレ」
「なんか6Lとか7Lサイズ?って去年言ってたよ」
「この大きさだと冷蔵庫にも入らなくて机に置いてあるのか」
「ここまで持ってくるのも大変そう。生徒想いの良い先生だよね、こまっちゃん。生徒の恋愛相談にもよくのってるし」
「恋愛相談……来栖もしたことあるのか?」
「えー? 私はしないよぉ」
そうやって何気ない会話を装いつつも、私の脳内はフル回転で今後をどうするかを考えていた。
(きっと私たちが保健室に来るまでに皆は祠に行っちゃってるはず。どうにかしてイベントをショートカットして原作通りの展開に近づけないと……!)
私と九堂くんが出発したのは5番目。後には樹莉と相川くんのペアしかいなかった。
もしかしたら最初のペアはもう門の外に出てしまっているかもしれないけど、最悪、私と九堂くんと樹莉と相川くんの4人さえ校内に閉じ込められれば樹莉の恋は叶うはずだ。
(祠の呪いを解放すること、そして九堂くんに襲いかかること、そのあとモブの男子生徒と私がイイ感じになること。この要所さえ押さえておけばどうにかなるはず……!)
昔から。私は一つのことに熱中すると周りが見えなくなるタイプだった。熱中している間に見当違いの方向へ爆進して、後で恥ずかしさのあまりに転げまわったことも一度や二度じゃなかった。
でも、いつも、その時はそれが最善だと信じて行動していた。
(もう多少のイベントの前後は仕方ないわ……! こうなったら、九堂くんに襲いかかった後にダッシュで祠を開けに行って原作通りの展開へと修正するのよ……!)
そうなれば私がするべき行動は一つ。
そう、凶器の物色だ。
「あ、こまっちゃん……養護教諭の小松先生は、夏休みに部活に来てる子たちに毎年スイカごちそうしてるんだよ。親戚で作ってる人がいて送ってくれるんだって」
「あぁ、なるほど。しかし大きいな……。10キロ以上は有るんじゃないかコレ」
「なんか6Lとか7Lサイズ?って去年言ってたよ」
「この大きさだと冷蔵庫にも入らなくて机に置いてあるのか」
「ここまで持ってくるのも大変そう。生徒想いの良い先生だよね、こまっちゃん。生徒の恋愛相談にもよくのってるし」
「恋愛相談……来栖もしたことあるのか?」
「えー? 私はしないよぉ」
そうやって何気ない会話を装いつつも、私の脳内はフル回転で今後をどうするかを考えていた。
(きっと私たちが保健室に来るまでに皆は祠に行っちゃってるはず。どうにかしてイベントをショートカットして原作通りの展開に近づけないと……!)
私と九堂くんが出発したのは5番目。後には樹莉と相川くんのペアしかいなかった。
もしかしたら最初のペアはもう門の外に出てしまっているかもしれないけど、最悪、私と九堂くんと樹莉と相川くんの4人さえ校内に閉じ込められれば樹莉の恋は叶うはずだ。
(祠の呪いを解放すること、そして九堂くんに襲いかかること、そのあとモブの男子生徒と私がイイ感じになること。この要所さえ押さえておけばどうにかなるはず……!)
昔から。私は一つのことに熱中すると周りが見えなくなるタイプだった。熱中している間に見当違いの方向へ爆進して、後で恥ずかしさのあまりに転げまわったことも一度や二度じゃなかった。
でも、いつも、その時はそれが最善だと信じて行動していた。
(もう多少のイベントの前後は仕方ないわ……! こうなったら、九堂くんに襲いかかった後にダッシュで祠を開けに行って原作通りの展開へと修正するのよ……!)
そうなれば私がするべき行動は一つ。
そう、凶器の物色だ。
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