※R18※【急募】脱出ホラー系乙女ゲームでヒーローを撲殺（未遂）しなきゃいけないのに凶器がスイカしかない時の対処法

【15】

　一つの灯りもなく、月明かりだけが差し込む薄暗い廊下。
　その中にどうにか起死回生のアイデアがないかと見回すと、あるルームプレートの文字が目に入ってきた。

（そうだ、この場所・・・・は、原作の私に縁がある場所……！　裏庭に直行するのが無理なら、まずはココ・・に入って作戦を立てようっ）


　思いついたら迷っている暇はない。私は今から、女優になる。


「あーっ?!　急に気分が悪くっ?!　立ちくらみっ立ちくらみがするっ！　九堂くんごめん！　休憩っ休憩させて！」　

　そう小声で叫び、私は九堂くんに手を握られたまま勢い良く座り込んだ。

「え、大丈夫か来栖っ。ごめん、俺、来栖が体調悪いのに気づかずに焦って歩いちゃって……っ」

「ううん、気にしないで……っ。あ、でもちょっと休憩！　休憩した方が良いかも?!　って、あ、ナイスタイミングでここは保健室の前だね?!　九堂くんなら保健室の鍵も持ってるよね?!　入ろう?!」

「えっ?!　あ、確かに持ってるけど」

「じゃあ開けて?!　今すぐ開けて?!　私、保健室の空気を吸えば不調が治る体質なんだっ！」

　とても具合が悪いとは思えない力技で九堂くんに保健室の鍵を開けさせ、半ば彼を押し込むように室内へとすべり込む。
　私が起死回生のアイデアを思いつく前に逃げられないよう、九堂くんの目を盗んで内側から鍵をかけることも忘れない。