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私の名前は来栖花南。
今から18年前に『ゲームオープニングで重要な役目を果たすポジション』として乙女ゲームの世界に転生してきた。
重要な役目と言っても、残念ながら攻略対象たちと恋愛ができるヒロインではなく、私はそのヒロインの親友という役どころだ。
私がそのことに気がついたのは、2年と4ヶ月前の入学式の日。
桜の花弁が舞い散る中、乙女ゲームの舞台となる学園の校舎を見た時だ。
――あ、この構図、ゲームのスチルで見たことある。
気づいた瞬間。目の前の歴史ある時計台の建つ学園の風景が、脳内で画面越しのグラフィックへと変換される。
そのデジャヴをきっかけに私の頭の中に前世の記憶が溢れ出し、私は自分が乙女ゲームの脇役だということを理解した。
花南として生まれる前の私は日本のブラック企業で働くOLで、乙女ゲームを心の癒やしに社畜生活を辛うじてやり過ごしていた。
けれど結局、最後は過労死。就職してからは恋人を作る暇どころか、病院に行く時間も無いほどギリギリの日々だった。
――だからだろうか。『次の人生こそは恋愛がメインの世界で生きたい!』という前世の強い執念が、私を乙女ゲームの中に転生させたらしい。
ただ、前世のスペックが平凡過ぎて、今世でも『ヒロインの親友』ポジションに生まれるのが精一杯だったのだろう。私は今世でも世界の主人公ではなかった。
……でもまぁ、ここまでならそこそこ馴染みのある設定だと思う。
モブに転生したけれど、そこから一発逆転ヒーローに愛される物語は前世で好んでよく読んでいた。月に三度の休日(※つまり10日に1回しか休みがなかった)の前日には寝落ち寸前までスマホを握りしめ、夢中で異世界での恋に想いを馳せたものである。
けれど。
私は自分が転生したタイトルがなんなのかを思い出し、その一発逆転を早々に諦めた。
何故なら、今、私が生きている世界は『脱出ホラー系乙女ゲーム』という変わり種ジャンルの乙女ゲームだったからだ。
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