ユニークスキルで異世界マイホーム ~俺と共に育つ家~

楠富 つかさ

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078 錬金術師シフォンのアトリエ

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 港を後にして、俺たちは錬金術師のアトリエを目指す。カルザスが利用したことある店らしく、港から五分も歩けば到着するところにあった。

「いらっしゃいませー」

 突き抜けるほど明るい挨拶で出迎えてくれたのは十代半ばくらいの少女。従業員だろうか、俺がソルジャーマンティスの素材から剣を作って欲しい旨を伝える。

「かしこまりました。武器を使うかたはお客様で間違いありませんか?」
「えっと、こちらの彼女とも共用になるかもしれないです」
「分かりました。では、軽めに仕上げたいところですね。そちらの女性は?」
「えっと、マリーといいます」
「マリーさん、今ご使用されている剣をお借りしてもよろしいですか?」

 マリーが頷いて鞘に入った犬狼の片手剣を手渡す。少女は剣を抱えて店の奥へと引っ込んだ。そちらが工房のようで、ほどなくして俺たちも来ていいと案内された。

「サイズとしてはこの剣と同じくらいで作らせていただきますね。では、素材を拝見してもよろしいですか?」

 マリーに剣を返し終えた彼女が手近な台を指さす。
 素材を拝見、他にこのアトリエに人がいないってことは――。

「あ、君が錬金術師なんですね?」
「はい。私がここのマスター、シフォンといいます」

 ……まじか。若いというか、幼く見えるんだが。鑑定してみるか。

名前:シフォン
年齢:18
種族:人間・女性
職業:錬金術師
レベル:28
HP:618/621
MP:497/502
攻撃力:55(+15)
防御力:70(+32)
素早さ:62(+10)
魔法力:80(+56)
精神力:72
器用さ:94
アクティブスキル:錬金術(大) 火魔術(中) 風魔術(中) 光魔術(下)
パッシブスキル:集中力(中) 審美眼(中) 魔力把握(小) 商才(小) 健脚(小) 料理(小) 回避(序) 睡眠耐性(序) 
装備:リルク檜の短杖、シーカーズナイフ、光錬布のカジュアルドレス、魔絹の手袋、錬革のミュール、アルケミックタリスマン

 若い。でも強い……装備品も初めてみるようなものばかりだ。ひょっとして自作なのだろうか。装備としての質はもちろん、おしゃれだ……。マリーにも普段はオシャレさせてあげたい。手持ちの素材じゃおそらく防具は作れないのだろう。……ひとまず手近な台へソルジャーマンティスの鎌を広げる。

「あ、え、まだあるんですか? あぁ……なるほど。では、上質なものから順に使わせてもらいますね」
「よろしくお願いします」

 マリーと二人で頭を下げる。シフォンが台の上に素材を並べて、何やら作業を始めている。使わない分もあるということで返却を受け取る。

「費用はおいくらですか?」
「そうですね……小銀貨で3枚と大銅貨で5枚でお願いします。今日は手付として大銅貨5枚をお願いします。完成は明後日になりますので、残りはその際にお支払いください。もし、失敗してしまった場合には手付を倍にしてお返ししますので」

 ……確かソルジャーマンティスの鎌は一本が小銅貨2枚の買い取りだったはず。五十本だとして大銅貨5枚だ。失敗したとしてもこちらに損害はない。失敗がする可能性はあるが、メインで使う武器ではなく予備として欲しているものだ。問題ないだろう。それに、彼女の錬金術スキルはランク大だ。よほどのことがない限り失敗しないだろう。まぁ、ソルジャーマンティスの鎌から剣を錬成するのがどれくらい難しいのか分からないけど。

「では、これでお願いします」
「はい。確かに受け取りました。いやぁ、流石はカルザスさんの紹介のお客様。まだまだ若輩の私を信頼してくださるなんて」
「え? まぁ、むしろ若いのにこんな立派なアトリエを構えているなら大丈夫なんじゃないかなって」

 ……スキルで錬金術師のランクを確認したなんて言えないが。

「じゃあ、その期待にしっかり応えてみせますから!」

 シフォンのアトリエを後にし、俺たちはジュードとカルザスがよく使いという武具の店に向かうことにした。
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