ユニークスキルで異世界マイホーム ~俺と共に育つ家~

楠富 つかさ

文字の大きさ
上 下
50 / 84

050 ちょっと変わったスキル

しおりを挟む
 風呂を上がった。二人の裸を見ないこともそうだが、周囲の他の冒険者たちに見られないようにするのも重要だった。とはいえ……案外周囲の冒険者たちは男女グループだろうと結構和気あいあいとしていた。互いに慣れているのだろうか。俺もそのうち慣れるのか……?
 湯上りの二人に少しドキドキしつつも、宿の食堂へ向かうことにした。食堂はそこそこに混雑していて、どうやら宿泊客以外の客も入っているようだ。代金は一人あたり小銅貨5枚で、メニューは日替わり定食の一種類のみ。今日の献立は、鶏肉の煮込みとパンとサラダだ。こっちの世界にも野菜を生食する文化があるんだなぁ。飲み物は少しだけ渋いお茶だ。

「サラダ、意外といけるな」
「このソースに使われているつぶつぶが、ナランハの実だと思いますよ」

 ドレッシングという言い方はしないらしい。確かにサラダにはオレンジ色っぽいものがかけられていて、少しだけ粒が残っていたが……なるほど、これがナランハの実の味か。ドレッシングとしてどれくらい加工されているのか分からないけど、確かに柑橘っぽい甘酸っぱさだ。これがあるからサラダが美味しく感じるんだろうなあ。なんなら葉野菜そのものはちょっと固いし。

「パンはやっぱりこういう感じなんだな」
「レックスさんのスキルで出てくるパンがよっぽど特殊ですよ」
「分かってはいるんだが。ナランハの実でジャムとかないのかな」
「ジャムなんて砂糖を大量に使うから高級品よ? 貴族の口にしか入らないわ」

 ふむ。まあ、果物をそのまま食べるのが一般的なんだろう。しかし、砂糖ってそんなに貴重なものだったのか。マイホームのスキルで出てくる調味料は塩と胡椒だけだからなぁ。砂糖、ちょっと欲しいが。
 なにはともあれ腹は満たされたので部屋に戻る。マリーはすぐにベッドにダイブして寝息を立て始めた。疲れていたんだろう。セフィリアはどうしているかというと、弓の手入れをしていた。弦の張り具合を確認しているようだ。俺はというと特にすることもないのでいつものごとくステータスを眺める。まぁ、スキルポイントも溜まってきたし、振り分けを考えてはいるのだが。

「ステータスオープン」

名前:タツヤ・イエイリ
年齢:25
種族:人間・男性
職業:冒険者・剣士
レベル:14
状態:通常
HP:512/512
MP:105/105
攻撃力:57(+15)
防御力:53(+37)
素早さ:45
魔法力:40
精神力:50
器用さ:53
アクティブスキル:剣技(中) 盾技(小) 水魔術(下)
パッシブスキル:鑑定(上) 言語の加護(下) 即死耐性(小) 身体強化(中) 盾適性(小) 魔力把握(中) 挑発(微) 料理(序) 魅了耐性(微)
装備品スキル:鑑定阻害(真)
ユニークスキル:マイホーム
称号:転移者
装備:犬狼の片手剣、補強された丸盾、混紡糸の平民服、簡素な革の脛当て、旅人のブーツ、隠蔽の腕輪、魔繊のマント
スキルポイント5
ホームポイント100

 レベルは14になり、ホームポイントが100まで溜まった。これを使えばマイホームを拡張することができるのだが、ポイントを使い切ることに抵抗があるから、流石にもう1つ2つレベルが上がるまで我慢かな。
 今度の拡張でお風呂が出来るのではと期待しているからな。お風呂用品にホームポイントを消費するかもしれないから、ここは温存だ。
 あと魅了耐性というスキルに開花していた。耐性って大事だよな……なんで魅了なのかは、気にしないことにしておこう。他にはこれから先、ある程度のことに対応するために鑑定スキルは上げておいた。鑑定は目利きの上位スキルとも言われているから、戦闘のみならず商売にも有用だろう。

名前:マリー
年齢:16
種族:人間・女性
職業:冒険者・剣士
Lv:14
状態:通常
HP:410/410
MP:65/65
攻撃力:48(+15)
防御力:36(+18)
素早さ:49
魔法力:40
精神力:41
器用さ:54
アクティブスキル:剣技(小)
パッシブスキル:商才(小) 交渉(下) 回避(微) 投擲(微) 解体(下) 片手剣適性(小) 魔力把握(微) 索敵(序)
装備:鉄の長剣、簡素な革の胸当て(女性用)、簡素な革の籠手、兎革のブーツ

名前:セフィリア
年齢:48
種族:ハーフエルフ
職業:冒険者・風術士
レベル:23
状態:通常
HP:530/530
MP:570/570
攻撃力:48(+10)
防御力:63(+33)
素早さ:62
魔法力:95(+25)
精神力:86(+15)
器用さ:68
アクティブスキル:風魔術(中) 短弓術(下) 短杖術(序)
パッシブスキル:風耐性(下) 毒耐性(小) 歌唱(微) 詠唱短縮(下) 回避(序) 健脚(序)
装備:ヴェオ樫の短弓、ヴェオ樫の短杖、魔風花染めの服、簡素な矢筒付ベルト、大角鹿革のブーツ、魔晶石の指輪、精霊樹のタリスマン

 マリーもセフィリアも順調にレベルが上がっている。セフィリアのレベルは当然俺たちより上がりにくいけど、出会った頃よりレベル差は着実に縮んでいる気がする。
 さて、明日は素材の買い取り金とマリーの剣を受け取りにいかないとな。
 ルーセイドで塩や胡椒を売って稼げたら、またフレッサで塩と胡椒を売るのもいいかな。そうだ、こっちの世界で売られている胡椒を見ておかないとな。

「そろそろ寝る、か」

 気付けばセフィリアももう横になっていた。マリーが魔法の練習で火を点けてくれたランプを消して、俺も眠りについた。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

異世界でリサイクルショップ!俺の高価買取り!

理太郎
ファンタジー
坂木 新はリサイクルショップの店員だ。 ある日、買い取りで査定に不満を持った客に恨みを持たれてしまう。 仕事帰りに襲われて、気が付くと見知らぬ世界のベッドの上だった。

スライムと異世界冒険〜追い出されたが実は強かった

Miiya
ファンタジー
学校に一人で残ってた時、突然光りだし、目を開けたら、王宮にいた。どうやら異世界召喚されたらしい。けど鑑定結果で俺は『成長』 『テイム』しかなく、弱いと追い出されたが、実はこれが神クラスだった。そんな彼、多田真司が森で出会ったスライムと旅するお話。 *ちょっとネタばれ 水が大好きなスライム、シンジの世話好きなスライム、建築もしてしまうスライム、小さいけど鉱石仕分けたり探索もするスライム、寝るのが大好きな白いスライム等多種多様で個性的なスライム達も登場!! *11月にHOTランキング一位獲得しました。 *なるべく毎日投稿ですが日によって変わってきますのでご了承ください。一話2000~2500で投稿しています。 *パソコンからの投稿をメインに切り替えました。ですので字体が違ったり点が変わったりしてますがご了承ください。

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

異世界は流されるままに

椎井瑛弥
ファンタジー
 貴族の三男として生まれたレイは、成人を迎えた当日に意識を失い、目が覚めてみると剣と魔法のファンタジーの世界に生まれ変わっていたことに気づきます。ベタです。  日本で堅実な人生を送っていた彼は、無理をせずに一歩ずつ着実に歩みを進むつもりでしたが、なぜか思ってもみなかった方向に進むことばかり。ベタです。  しっかりと自分を持っているにも関わらず、なぜか思うようにならないレイの冒険譚、ここに開幕。  これを書いている人は縦書き派ですので、縦書きで読むことを推奨します。

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する

高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。 手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。

おっさんなのに異世界召喚されたらしいので適当に生きてみることにした

高鉢 健太
ファンタジー
 ふと気づけば見知らぬ石造りの建物の中に居た。どうやら召喚によって異世界転移させられたらしかった。  ラノベでよくある展開に、俺は呆れたね。  もし、あと20年早ければ喜んだかもしれん。だが、アラフォーだぞ?こんなおっさんを召喚させて何をやらせる気だ。  とは思ったが、召喚した連中は俺に生贄の美少女を差し出してくれるらしいじゃないか、その役得を存分に味わいながら異世界の冒険を楽しんでやろう!

フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる 

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ 25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。  目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。 ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。 しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。 ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。 そんな主人公のゆったり成長期!!

毎日スキルが増えるのって最強じゃね?

七鳳
ファンタジー
異世界に転生した主人公。 テンプレのような転生に驚く。 そこで出会った神様にある加護をもらい、自由気ままに生きていくお話。 ※ストーリー等見切り発車な点御容赦ください。 ※感想・誤字訂正などお気軽にコメントください!

処理中です...