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048 ナランハ村到着
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森の中から街道に出た俺たちは、しばらく歩き、ナランハ村の門に到着した。寄り道しなかったおかげで、まだ陽は高い。
ナランハ村は木製の柵で囲われただけの簡素な造りで、門も同様だ。門の前には槍を持った兵士のような人が立っている。ような、というのは槍こそ持っているが服装は農夫のようだったからだ。自警団とか当番制で門番をやっているのだろうか。
「冒険者です。入ってもいいですか?」
「カードを確認させてもらうぞ。……ふむ、三人とも六級か。いいぞ、入って。ギルドはすぐ右手のあの大きい建物だ」
「ありがとうございます」
俺たちは礼を言って、ナランハ村に足を踏み入れた。通行料がかからないのは本当に助かる。
中に入ると、木でできた家々が並んでいる。果樹園も見えるが、今は人の姿は見当たらない。活気としてはスタル村とどっこいどっこいといったところか。
「ナランハの実って旬はいつなんだ?」
「あぁ……収穫の時期は過ぎてしまったので、ひょっとしたらそれで少し落ち着いているのかもしれませんね。夕焼け色の綺麗な果実なんですけど、日持ちは多少するので、宿の食事に出るかもしれませんね」
そんな話をしながらギルドの建物に入る。ギルド内は多少活気があって、冒険者たちが依頼を吟味したり酒を酌み交わしたりしている。酒か……久しく飲んでいないなあ。あまり強くないが、たまには……。
酒はさておき、受付は全部で五つあるようだ。達成報告のカウンターに並び、受付の職員にクイックリザード討伐の達成を報告する。そのまま素材買い取りの依頼もし、木札をもらって奥の倉庫へ案内される。どのギルドも建物の構造は似ている。どこかに本部があって指示があるのだろうか。
「クイックリザード討伐たぁ、六級にしてはけっこうやるじゃないか」
茶髪をツンツンと立てた大男が今回の解体を担当してくれるらしい。
「俺はギルツっていうんだ。元四級冒険者だ。よろしくな」
「俺はレックス、こっちはマリーとセフィリアだ。解体はクイックリザード七体と――」
森を抜けるまでにクイックリザードをたまたまもう一体発見し、それを討伐。さらにビッグホーンブルが五体分、これはセフィリアの魔術でバラバラになってしまったものは除いて、だ。それからブラウンホーンやファンギーゾル、そして一体だけ倒したあのビッグホーンディアだ。
「なかなかの量だな。悪いが丸一日もらえるか?」
「分かりました。あぁ、宿を紹介してもらえますか?」
「っふ、紹介もなにも、この村には宿は一軒だぜ。夕焼けナランハ亭だ。あっちだ」
そう言ってギルツは北東を指さした。俺たちは礼を言ってギルドを後にした。武器のメンテナンスにも時間がかかるのではと思い、宿に行く前に武器屋を見てみることにした。幸い、トンテンカンと金属を叩く音がしたから武器屋の場所はすぐに分かった。
「いらっしゃい」
扉を開けると、四十代くらいの男性が店番をしていた。なかなか渋い容姿をした頑固そうなおじさんだ。店内はけっこう広く、剣だけでなく、弓や槍、斧なども置いてある。
「購入か? 手入れか?」
「あ、えっと……お手入れをお願いします」
マリーが剣帯から鞘ごと外して店主?に渡す。剣を受け取ると、男性は手慣れた様子で剣を抜いて状態をチェックし始めた。
「ふん……まあまあってとこだな」
剣の状態を確認し終えると、
「研ぎ直しと調整も必要だろう。合わせて大銅貨三枚だ」
そう言われたので代金を取り出したら、出来上がってからでいいと突き返された。新しく購入するよりかなり経済的だ。ちなみに、俺が使っている犬狼の片手剣は骨由来の錬金装備ということもあって、取り扱い対象外とのことだ。ここは金属武器の専門店なのだ。
店内では鋼の長剣も売られていた。ちらっと鑑定すると攻撃力は43と出た。鋼でできた剣と言えばRPGだと中盤に突入する頃合いの愛剣って感じだ。お値段は小銀貨5枚。流石にちょっと早いな。試しに持たせてもらったが、これを片手で振り回すのは少し難しそうだ。
「じゃあ、また明日取りに来ます」
武器屋を後にして俺たちはあらためて宿屋、夕焼けナランハ亭に向かった。
ナランハ村は木製の柵で囲われただけの簡素な造りで、門も同様だ。門の前には槍を持った兵士のような人が立っている。ような、というのは槍こそ持っているが服装は農夫のようだったからだ。自警団とか当番制で門番をやっているのだろうか。
「冒険者です。入ってもいいですか?」
「カードを確認させてもらうぞ。……ふむ、三人とも六級か。いいぞ、入って。ギルドはすぐ右手のあの大きい建物だ」
「ありがとうございます」
俺たちは礼を言って、ナランハ村に足を踏み入れた。通行料がかからないのは本当に助かる。
中に入ると、木でできた家々が並んでいる。果樹園も見えるが、今は人の姿は見当たらない。活気としてはスタル村とどっこいどっこいといったところか。
「ナランハの実って旬はいつなんだ?」
「あぁ……収穫の時期は過ぎてしまったので、ひょっとしたらそれで少し落ち着いているのかもしれませんね。夕焼け色の綺麗な果実なんですけど、日持ちは多少するので、宿の食事に出るかもしれませんね」
そんな話をしながらギルドの建物に入る。ギルド内は多少活気があって、冒険者たちが依頼を吟味したり酒を酌み交わしたりしている。酒か……久しく飲んでいないなあ。あまり強くないが、たまには……。
酒はさておき、受付は全部で五つあるようだ。達成報告のカウンターに並び、受付の職員にクイックリザード討伐の達成を報告する。そのまま素材買い取りの依頼もし、木札をもらって奥の倉庫へ案内される。どのギルドも建物の構造は似ている。どこかに本部があって指示があるのだろうか。
「クイックリザード討伐たぁ、六級にしてはけっこうやるじゃないか」
茶髪をツンツンと立てた大男が今回の解体を担当してくれるらしい。
「俺はギルツっていうんだ。元四級冒険者だ。よろしくな」
「俺はレックス、こっちはマリーとセフィリアだ。解体はクイックリザード七体と――」
森を抜けるまでにクイックリザードをたまたまもう一体発見し、それを討伐。さらにビッグホーンブルが五体分、これはセフィリアの魔術でバラバラになってしまったものは除いて、だ。それからブラウンホーンやファンギーゾル、そして一体だけ倒したあのビッグホーンディアだ。
「なかなかの量だな。悪いが丸一日もらえるか?」
「分かりました。あぁ、宿を紹介してもらえますか?」
「っふ、紹介もなにも、この村には宿は一軒だぜ。夕焼けナランハ亭だ。あっちだ」
そう言ってギルツは北東を指さした。俺たちは礼を言ってギルドを後にした。武器のメンテナンスにも時間がかかるのではと思い、宿に行く前に武器屋を見てみることにした。幸い、トンテンカンと金属を叩く音がしたから武器屋の場所はすぐに分かった。
「いらっしゃい」
扉を開けると、四十代くらいの男性が店番をしていた。なかなか渋い容姿をした頑固そうなおじさんだ。店内はけっこう広く、剣だけでなく、弓や槍、斧なども置いてある。
「購入か? 手入れか?」
「あ、えっと……お手入れをお願いします」
マリーが剣帯から鞘ごと外して店主?に渡す。剣を受け取ると、男性は手慣れた様子で剣を抜いて状態をチェックし始めた。
「ふん……まあまあってとこだな」
剣の状態を確認し終えると、
「研ぎ直しと調整も必要だろう。合わせて大銅貨三枚だ」
そう言われたので代金を取り出したら、出来上がってからでいいと突き返された。新しく購入するよりかなり経済的だ。ちなみに、俺が使っている犬狼の片手剣は骨由来の錬金装備ということもあって、取り扱い対象外とのことだ。ここは金属武器の専門店なのだ。
店内では鋼の長剣も売られていた。ちらっと鑑定すると攻撃力は43と出た。鋼でできた剣と言えばRPGだと中盤に突入する頃合いの愛剣って感じだ。お値段は小銀貨5枚。流石にちょっと早いな。試しに持たせてもらったが、これを片手で振り回すのは少し難しそうだ。
「じゃあ、また明日取りに来ます」
武器屋を後にして俺たちはあらためて宿屋、夕焼けナランハ亭に向かった。
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