ユニークスキルで異世界マイホーム ~俺と共に育つ家~

楠富 つかさ

文字の大きさ
上 下
41 / 84

041 VSクイックリザード

しおりを挟む
 本来はルーセイドとの中継地点となるサトン村だが、俺たちはマイホームのおかげで拠点いらず。ということは、寄り道だってし放題だ。

「今日こそクイックリザードを倒すぞ」

 フレッサやスタル村を流れる川の別の水系となる川、その一部が池のように広がっている部分がサトン村のちょっと北西にある。というわけでそこに住み着いているクイックリザードを倒すべく、俺たちは進んでいる。もちろん、ファンギーゾルもまだ討伐数が少ないから遭遇し次第狩っている。

「ファンギーゾルはかれこれ八体か。もうちょっとで依頼達成だな」

 ファンギーゾルの討伐証明部位は尻尾だし、クイックリザードも尻尾だという。ギルドで買い取ってもらえるの素材としては、ファンギーゾルは牙でクイックリザードは皮と眼球だという。眼球は錬金術の素材として使えるらしい。

「……なぁ、あれじゃないか?」

 茂みの中で保護色になる濃い緑色の皮に覆われた四足歩行のトカゲっぽい魔物。セフィリアにも確認してもらうが、どうやらあれがクイックリザードらしい。大きさは思っていたより大きくない。ワニくらいを想像していたが、1メートルあるかどうかあやしいくらいのサイズ感だ。皮はウロコ感のあるテクスチャで、ツルツルというよりはザラザラしていそうだ。

「……風の精霊よ、我らに加速の加護をたれさせたまえ――クィックネス!」

 セフィリアに加速の補助魔術をかけてもらって、俺たちは駆け出す。クイックリザードは警戒心が強い魔物らしく、遠距離攻撃で先制すると逃げ出してしまうことが多いらしい。なので今回は先手必勝で一気に距離を詰めて、こちらから仕掛けることにした。
 俺が先行しマリーが続く。皮が買い取り品になるってことは、あまり無暗に斬らない方がいいだろう。そう思って、大上段から突き刺すように頭部を狙う。しかし剣の形状として刺し貫くのはうまくいかず、クイックリザードが身をよじりながらこちらを向く。俺が一旦バックステップで距離を空けたところに、マリーが駆け込んできて剣を振り上げる。クイックリザードの顎から脳天へと刃が滑り、クイックリザードは絶命した。

「マリーの剣、今……光ってなかったか?」
「はい、魔力を込めた剣技ですから。アッパースラストっていいます」

 下から斬り上げることで次の剣技へと繋ぎやすい初級の技らしい。ゲームみたいだなって思わずにはいられないが、いわゆる剣技とか俺も使う盾技みたいな武技は、魔力を放つ都合で出し切った後に身体がつんのめる技後硬直というものがあるようだ。要求される魔力量の少ない初級の技ならほぼないが、大技を使えばその分隙を晒すことになるから、注意して戦わねばならないらしい。

「確か依頼では五体討伐だよな? けっこう時間かかるかもだな」
「そうね、クイックリザードには私の弓もあまり通用しないし、ここはクイックリザードを狙いつつもファンギーゾルをあと二体倒したらサトン村へ行くのがいいかもしれないわね」
「なるほど、取り敢えずそうするか」

 森での狩りはもう少しだけ続きそうだ。まぁ、ほどほどのタイミングでお昼休憩は取るだろうけど。それまでにレベルも上がっているといいのだがなぁ。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

異世界でリサイクルショップ!俺の高価買取り!

理太郎
ファンタジー
坂木 新はリサイクルショップの店員だ。 ある日、買い取りで査定に不満を持った客に恨みを持たれてしまう。 仕事帰りに襲われて、気が付くと見知らぬ世界のベッドの上だった。

スライムと異世界冒険〜追い出されたが実は強かった

Miiya
ファンタジー
学校に一人で残ってた時、突然光りだし、目を開けたら、王宮にいた。どうやら異世界召喚されたらしい。けど鑑定結果で俺は『成長』 『テイム』しかなく、弱いと追い出されたが、実はこれが神クラスだった。そんな彼、多田真司が森で出会ったスライムと旅するお話。 *ちょっとネタばれ 水が大好きなスライム、シンジの世話好きなスライム、建築もしてしまうスライム、小さいけど鉱石仕分けたり探索もするスライム、寝るのが大好きな白いスライム等多種多様で個性的なスライム達も登場!! *11月にHOTランキング一位獲得しました。 *なるべく毎日投稿ですが日によって変わってきますのでご了承ください。一話2000~2500で投稿しています。 *パソコンからの投稿をメインに切り替えました。ですので字体が違ったり点が変わったりしてますがご了承ください。

異世界は流されるままに

椎井瑛弥
ファンタジー
 貴族の三男として生まれたレイは、成人を迎えた当日に意識を失い、目が覚めてみると剣と魔法のファンタジーの世界に生まれ変わっていたことに気づきます。ベタです。  日本で堅実な人生を送っていた彼は、無理をせずに一歩ずつ着実に歩みを進むつもりでしたが、なぜか思ってもみなかった方向に進むことばかり。ベタです。  しっかりと自分を持っているにも関わらず、なぜか思うようにならないレイの冒険譚、ここに開幕。  これを書いている人は縦書き派ですので、縦書きで読むことを推奨します。

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

おっさんなのに異世界召喚されたらしいので適当に生きてみることにした

高鉢 健太
ファンタジー
 ふと気づけば見知らぬ石造りの建物の中に居た。どうやら召喚によって異世界転移させられたらしかった。  ラノベでよくある展開に、俺は呆れたね。  もし、あと20年早ければ喜んだかもしれん。だが、アラフォーだぞ?こんなおっさんを召喚させて何をやらせる気だ。  とは思ったが、召喚した連中は俺に生贄の美少女を差し出してくれるらしいじゃないか、その役得を存分に味わいながら異世界の冒険を楽しんでやろう!

知識スキルで異世界らいふ

チョッキリ
ファンタジー
他の異世界の神様のやらかしで死んだ俺は、その神様の紹介で別の異世界に転生する事になった。地球の神様からもらった知識スキルを駆使して、異世界ライフ

称号チートで異世界ハッピーライフ!~お願いしたスキルよりも女神様からもらった称号がチートすぎて無双状態です~

しらかめこう
ファンタジー
「これ、スキルよりも称号の方がチートじゃね?」 病により急死した主人公、突然現れた女神によって異世界へと転生することに?! 女神から様々なスキルを授かったが、それよりも想像以上の効果があったチート称号によって超ハイスピードで強くなっていく。 そして気づいた時にはすでに世界最強になっていた!? そんな主人公の新しい人生が平穏であるはずもなく、行く先々で様々な面倒ごとに巻き込まれてしまう...?! しかし、この世界で出会った友や愛するヒロインたちとの幸せで平穏な生活を手に入れるためにどんな無理難題がやってこようと最強の力で無双する!主人公たちが平穏なハッピーエンドに辿り着くまでの壮大な物語。 異世界転生の王道を行く最強無双劇!!! ときにのんびり!そしてシリアス。楽しい異世界ライフのスタートだ!! 小説家になろう、カクヨム等、各種投稿サイトにて連載中。毎週金・土・日の18時ごろに最新話を投稿予定!!

フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる 

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ 25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。  目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。 ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。 しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。 ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。 そんな主人公のゆったり成長期!!

処理中です...