37 / 84
037 六級冒険者になった!
しおりを挟む
エヒュラ村と違ってフレッサには武器防具屋が複数あって、たまたま俺たちが入った店には錬金術師が作成した武具も売られていた。
なかでも気になったのは、それこそ俺たちが討伐していたフォレストウルフやコボルトの骨や牙を素材に作られた片手剣だ。犬狼の片手剣という装備で、基礎攻撃力は15と俺の持っている鉄の剣より高いのに、ものすごく軽量だ。半分とまではいかないが、七割くらいの重量だ。これならマリーでも軽々と振るえるだろう。
「なるほど……これが錬金武器なのか」
価格は小銀貨2枚と買えなくはない金額。
「レックスさんが今使っている剣を私が引き取りますから、この剣を買ったらどうですか?」
マリーの後押しもあって、この剣を買うことにした。確かに、エヒュラ村で剣を買った時もマリーが使える軽めの剣を選んだからなぁ。おさがりを渡すのに少しだけ申し訳なさがあるけど、マリーがいいって言うんだからよしとしよう。
なおセフィリアはヴェオ樫という樹から作られた弓と短杖、そして矢を100本買うと言うのでお会計はトータルで小銀貨4枚と大銅貨3枚となった。……塩を売っていなかったらとっくに無一文だな。どこか別の街に行ったらまた塩ないし胡椒を売るとしよう。最低限の金策手段があれば心の余裕にもなるし、防具の買い替えも検討できるからな。
装備も新たに冒険者ギルドへ向かう。相変わらず盛況だが、依頼の掲示板周辺に人は少ない。……依頼も少ない。
「六級の依頼は……ゴブリン討伐か。しかもこの辺じゃなくてサイエー村? どこだ?」
「サイエー村はフレッサから西に行った村ですね。朝いちばんに出発すれば日帰りできますけど、今から行くと向こうに着くのは日暮れ時か宵の口になっちゃいますね」
冒険者ギルドに張り出された地図を見ながら、マリーが教えてくれる。地図かぁ。遠出するなら持っていたいところではあるなぁ。いっそ自分たちで作るか。……マイホームスキルの消耗品生成でノートとか紙とか筆記用具とか出せるかな。あとで確認しておこう。
「他の依頼は……薬草採取と水樽の運搬かぁ。どっちも七級だけど、どうする?」
マリーに問いかける。マリーは、ちょっと考えてから依頼を受ける判断を下した。マリーの達成数にはカウントされないけど、とにかく俺とセフィリアの昇級を優先した形だ。受付嬢に手続きをしてもらい、俺たちは早速出発した。
武器を新調したのに討伐系の依頼を受けないっていうのが寂しいところではあるが、水樽の運搬は街の中でやる依頼にしては報酬が大銅貨5枚と高額でありがたい。……が。
「これ、しんどい……な」
フレッサの街には南北に川が通っていて、南に流れる川下にはそれこそ俺とマリーが出会った森がある。逆に川上である北東を目指せば山とダンジョンがあるらしい。その途中には湖があって、ノイトン村という場所があるらしい。
で、水樽はノイトン村から川を下って船で運ばれ、船からおろして運搬するのだ。これがなかなか大変で、一つ一つの樽が重いのも当然なのだが、船から持ち上げるのが難しい。足元がぐらつくなかで樽を持ち上げるのだが、意外とマリーはあっさり運ぶし、セフィリアはどうやら風魔術を操って重さを軽減しているらしい。
「大銅貨5枚じゃ……ちっと足りないだろ……ひぃ、ひぃ……」
三人でざっくり三十樽を運んで依頼を達成。運送屋から達成の書面をもらい、疲れた身体をひきずって薬草探しにとりかかる。
草原でたまに襲ってくるワイルドラビットを討伐しつつ、ドイエ草を採取する。昨日も採取したのでより効率的に採ることができた。
「はぁ、日も傾いてきたしギルド戻るか」
「そうね、早く戻りましょう」
「はい!」
ギルドで依頼の達成報酬として大銅貨5枚と小銅貨5枚、そしてワイルドラビットの素材買い取りで大銅貨1枚をもらった。ギルドカードも更新してもらい、無事に六級冒険者の仲間入りだ。^みたいなマークが一本だったのが二本になった。六級冒険者になったことで、五級の依頼も受けられるようにはなったが、討伐系の依頼は倒せる相手かきっちり見極めないといけないな。
「そんじゃホームに戻るか」
次の部屋拡張に必要なホームポイントは100……頑張って成長しないとな。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
レックスたちの所持金
前:小金貨1枚 大銀貨5枚 小銀貨0枚 大銅貨0枚 小銅貨7枚
収入:大銅貨6枚 小銅貨5枚
支出:小銀貨4枚 大銅貨3枚
後:小金貨1枚 大銀貨4枚 小銀貨5枚 大銅貨13枚 小銅貨12枚
なかでも気になったのは、それこそ俺たちが討伐していたフォレストウルフやコボルトの骨や牙を素材に作られた片手剣だ。犬狼の片手剣という装備で、基礎攻撃力は15と俺の持っている鉄の剣より高いのに、ものすごく軽量だ。半分とまではいかないが、七割くらいの重量だ。これならマリーでも軽々と振るえるだろう。
「なるほど……これが錬金武器なのか」
価格は小銀貨2枚と買えなくはない金額。
「レックスさんが今使っている剣を私が引き取りますから、この剣を買ったらどうですか?」
マリーの後押しもあって、この剣を買うことにした。確かに、エヒュラ村で剣を買った時もマリーが使える軽めの剣を選んだからなぁ。おさがりを渡すのに少しだけ申し訳なさがあるけど、マリーがいいって言うんだからよしとしよう。
なおセフィリアはヴェオ樫という樹から作られた弓と短杖、そして矢を100本買うと言うのでお会計はトータルで小銀貨4枚と大銅貨3枚となった。……塩を売っていなかったらとっくに無一文だな。どこか別の街に行ったらまた塩ないし胡椒を売るとしよう。最低限の金策手段があれば心の余裕にもなるし、防具の買い替えも検討できるからな。
装備も新たに冒険者ギルドへ向かう。相変わらず盛況だが、依頼の掲示板周辺に人は少ない。……依頼も少ない。
「六級の依頼は……ゴブリン討伐か。しかもこの辺じゃなくてサイエー村? どこだ?」
「サイエー村はフレッサから西に行った村ですね。朝いちばんに出発すれば日帰りできますけど、今から行くと向こうに着くのは日暮れ時か宵の口になっちゃいますね」
冒険者ギルドに張り出された地図を見ながら、マリーが教えてくれる。地図かぁ。遠出するなら持っていたいところではあるなぁ。いっそ自分たちで作るか。……マイホームスキルの消耗品生成でノートとか紙とか筆記用具とか出せるかな。あとで確認しておこう。
「他の依頼は……薬草採取と水樽の運搬かぁ。どっちも七級だけど、どうする?」
マリーに問いかける。マリーは、ちょっと考えてから依頼を受ける判断を下した。マリーの達成数にはカウントされないけど、とにかく俺とセフィリアの昇級を優先した形だ。受付嬢に手続きをしてもらい、俺たちは早速出発した。
武器を新調したのに討伐系の依頼を受けないっていうのが寂しいところではあるが、水樽の運搬は街の中でやる依頼にしては報酬が大銅貨5枚と高額でありがたい。……が。
「これ、しんどい……な」
フレッサの街には南北に川が通っていて、南に流れる川下にはそれこそ俺とマリーが出会った森がある。逆に川上である北東を目指せば山とダンジョンがあるらしい。その途中には湖があって、ノイトン村という場所があるらしい。
で、水樽はノイトン村から川を下って船で運ばれ、船からおろして運搬するのだ。これがなかなか大変で、一つ一つの樽が重いのも当然なのだが、船から持ち上げるのが難しい。足元がぐらつくなかで樽を持ち上げるのだが、意外とマリーはあっさり運ぶし、セフィリアはどうやら風魔術を操って重さを軽減しているらしい。
「大銅貨5枚じゃ……ちっと足りないだろ……ひぃ、ひぃ……」
三人でざっくり三十樽を運んで依頼を達成。運送屋から達成の書面をもらい、疲れた身体をひきずって薬草探しにとりかかる。
草原でたまに襲ってくるワイルドラビットを討伐しつつ、ドイエ草を採取する。昨日も採取したのでより効率的に採ることができた。
「はぁ、日も傾いてきたしギルド戻るか」
「そうね、早く戻りましょう」
「はい!」
ギルドで依頼の達成報酬として大銅貨5枚と小銅貨5枚、そしてワイルドラビットの素材買い取りで大銅貨1枚をもらった。ギルドカードも更新してもらい、無事に六級冒険者の仲間入りだ。^みたいなマークが一本だったのが二本になった。六級冒険者になったことで、五級の依頼も受けられるようにはなったが、討伐系の依頼は倒せる相手かきっちり見極めないといけないな。
「そんじゃホームに戻るか」
次の部屋拡張に必要なホームポイントは100……頑張って成長しないとな。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
レックスたちの所持金
前:小金貨1枚 大銀貨5枚 小銀貨0枚 大銅貨0枚 小銅貨7枚
収入:大銅貨6枚 小銅貨5枚
支出:小銀貨4枚 大銅貨3枚
後:小金貨1枚 大銀貨4枚 小銀貨5枚 大銅貨13枚 小銅貨12枚
112
お気に入りに追加
360
あなたにおすすめの小説

異世界でリサイクルショップ!俺の高価買取り!
理太郎
ファンタジー
坂木 新はリサイクルショップの店員だ。
ある日、買い取りで査定に不満を持った客に恨みを持たれてしまう。
仕事帰りに襲われて、気が付くと見知らぬ世界のベッドの上だった。

スライムと異世界冒険〜追い出されたが実は強かった
Miiya
ファンタジー
学校に一人で残ってた時、突然光りだし、目を開けたら、王宮にいた。どうやら異世界召喚されたらしい。けど鑑定結果で俺は『成長』 『テイム』しかなく、弱いと追い出されたが、実はこれが神クラスだった。そんな彼、多田真司が森で出会ったスライムと旅するお話。
*ちょっとネタばれ
水が大好きなスライム、シンジの世話好きなスライム、建築もしてしまうスライム、小さいけど鉱石仕分けたり探索もするスライム、寝るのが大好きな白いスライム等多種多様で個性的なスライム達も登場!!
*11月にHOTランキング一位獲得しました。
*なるべく毎日投稿ですが日によって変わってきますのでご了承ください。一話2000~2500で投稿しています。
*パソコンからの投稿をメインに切り替えました。ですので字体が違ったり点が変わったりしてますがご了承ください。

爺さんの異世界建国記 〜荒廃した異世界を農業で立て直していきます。いきなりの土作りはうまくいかない。
秋田ノ介
ファンタジー
88歳の爺さんが、異世界に転生して農業の知識を駆使して建国をする話。
異世界では、戦乱が絶えず、土地が荒廃し、人心は乱れ、国家が崩壊している。そんな世界を司る女神から、世界を救うように懇願される。爺は、耳が遠いせいで、村長になって村人が飢えないようにしてほしいと頼まれたと勘違いする。
その願いを叶えるために、農業で村人の飢えをなくすことを目標にして、生活していく。それが、次第に輪が広がり世界の人々に希望を与え始める。戦争で成人男性が極端に少ない世界で、13歳のロッシュという若者に転生した爺の周りには、ハーレムが出来上がっていく。徐々にその地に、流浪をしている者たちや様々な種族の者たちが様々な思惑で集まり、国家が出来上がっていく。
飢えを乗り越えた『村』は、王国から狙われることとなる。強大な軍事力を誇る王国に対して、ロッシュは知恵と知識、そして魔法や仲間たちと協力して、その脅威を乗り越えていくオリジナル戦記。
完結済み。全400話、150万字程度程度になります。元は他のサイトで掲載していたものを加筆修正して、掲載します。一日、少なくとも二話は更新します。

異世界は流されるままに
椎井瑛弥
ファンタジー
貴族の三男として生まれたレイは、成人を迎えた当日に意識を失い、目が覚めてみると剣と魔法のファンタジーの世界に生まれ変わっていたことに気づきます。ベタです。
日本で堅実な人生を送っていた彼は、無理をせずに一歩ずつ着実に歩みを進むつもりでしたが、なぜか思ってもみなかった方向に進むことばかり。ベタです。
しっかりと自分を持っているにも関わらず、なぜか思うようにならないレイの冒険譚、ここに開幕。
これを書いている人は縦書き派ですので、縦書きで読むことを推奨します。
異世界をスキルブックと共に生きていく
大森 万丈
ファンタジー
神様に頼まれてユニークスキル「スキルブック」と「神の幸運」を持ち異世界に転移したのだが転移した先は海辺だった。見渡しても海と森しかない。「最初からサバイバルなんて難易度高すぎだろ・・今着てる服以外何も持ってないし絶対幸運働いてないよこれ、これからどうしよう・・・」これは地球で平凡に暮らしていた佐藤 健吾が死後神様の依頼により異世界に転生し神より授かったユニークスキル「スキルブック」を駆使し、仲間を増やしながら気ままに異世界で暮らしていく話です。神様に貰った幸運は相変わらず仕事をしません。のんびり書いていきます。読んで頂けると幸いです。


巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する
高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。
手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。

俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる
十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる