ユニークスキルで異世界マイホーム ~俺と共に育つ家~

楠富 つかさ

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032 達成報告をしよう

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 ギルドの受付でクリアした依頼の書類を渡す。討伐証明部位と呼ばれる特定の素材も提出する。ワイルドラビットなら足で、コボルトなら牙だ。コボルトは爪でもいいのだが、数が多くなってしまうから牙の方が分かりやすいとのこと。そして薬草であるドイエ草も提出する。

「はい確かにいただきました。では討伐証明部位は預かりますので、この木札をお渡しします。依頼の成功報酬ですが、ドイエ草の納品が小銅貨5枚、ワイルドラビットの討伐が小銅貨7枚、コボルトの討伐が小銅貨8枚なので、合わせて大銅貨2枚ですね。どうぞ」

 ギルドの受付嬢から大銅貨2枚を受け取る。……難易度の低い依頼とはいえ成功報酬は少ないなぁ。だが、ここに素材の買い取りが上乗せされるんだもんな。木札を受け取った俺たちは奥の倉庫部分へ向かう。
 なお討伐報酬部位は使いまわして報酬を受け取る悪徳冒険者がかつていたらしく、確実に買い取りに出るらしい。だからこそ安価になってしまうのだが、まぁ致し方ないだろう。
 倉庫でマリーが解体してくれた素材たちを、昨日も対応してくれた禿頭のおっちゃんの前に並べる。
 さっきの討伐証明部位も含めて素材は以下のような数だ。

・ワイルドラビットの毛皮×10
・ワイルドラビットの頭×9
・ワイルドラビットの足×20
・コボルトの牙×19
・コボルトの爪×17

 コボルトは五本指の生き物なのだが、全ての爪に価値があるわけではなく、コボルトが武器とする右手の人差し指と中指に相当する部分だけが買い取りに出される。つまり一匹に対して二つ採取できる。十匹倒したが、いくつかの爪は欠損してしまっていて価値がつかなかった。コボルトの牙やワイルドラビットの頭も全部が全部、価値がつくわけじゃなかった。
 買い取り金額だが、ワイルドラビットの毛皮が全部で大銅貨3枚、頭は小銅貨9枚、足は小銅貨5枚、コボルトは牙が大銅貨3枚と小銅貨8枚、爪が大銅貨3枚と小銅貨4枚となった。買い取りと成功報酬の合計で小銀貨1枚大銅貨3枚小銅貨6枚となった。
 うーん、やはり依頼の成功報酬だけでは収入が少ないな。買い取りありきで低めなのだろうか。とはいえ、命の危険を冒してまで稼ぎたいというほどの状況ではないし、生活できるだけ稼げればいいか。なにより、もしマリーに万が一のことがあったら、たとえ両親を買い戻せるだけのお金を稼げても意味がない。

「レックスさん、今日はお疲れ様でした」
「おぅ、おつかれさん。これであと二つ依頼を達成すれば六級なんだな?」
「そうですね。七級や六級は依頼の数があまり出ないので、一気に三つ達成できたのは運が良かったです」
「なるほど……級が低いうちは依頼が少ないから争奪戦になるのね」

 依頼の中には冒険者ギルドが発行するものもあるが、一般市民からの依頼もある。市民からすれば下級冒険者よりも中級や上級の冒険者に依頼を受けてもらいたいのだろう。そうすると下級冒険者は受けられる依頼が少なくて、なかなか昇級できない。セフィリアが争奪戦なんて表現するのもうなずける。
 逆に一級や二級の依頼も数が出回らないから争奪戦になりそうだと思ったが、そもそもそこまで上位の冒険者ともなると、ダンジョンで充分稼げるし、場合によっては指名で依頼を受けることもあるらしい。二級から一級への昇級も、成果というか実績に応じてって感じらしい。

「明日も受けられる依頼があるといいのだけれど」
「でもまぁ、依頼は日々更新されますから。きっと大丈夫です!」

 マリーが握りこぶしをつくって力説する。そんな姿が可愛らしくて、俺もセフィリアも笑みをこぼしていた。
 六級から五級になるには六級か五級の依頼を十個クリアした上で、ダンジョンの一層で行われる試験を突破しなければならないそうだ。今回やったコボルトの討伐は六級の依頼だったから、俺とセフィリアが六級に昇級するために必要な依頼があと二件、マリーが六級から五級に昇級するために必要な依頼があと九件という状態だ。
 マリーの昇級も念頭に置くと、六級の依頼を積極的にやるのがよさそうだ。そんなことを打ち合わせして、俺たちはギルドを後にした。
 今日の報酬で日用品を買いそろえるためのショッピングに行くのだ!
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