ユニークスキルで異世界マイホーム ~俺と共に育つ家~

楠富 つかさ

文字の大きさ
上 下
13 / 84

013 マリーはからかい上手?

しおりを挟む
 脱衣所で体についた水気をぬぐうと俺は服を着て外に出た。
 マリーはもうしばらく入っているだろう。正直、こっちの世界にきて初めての入浴だったし、もう少しのんびり入っていたかったのだが……。

「はぁー、異世界はんぱねぇな……」

 取り敢えず部屋に戻り、ベッドに倒れ込む。流石にマイホームの布団よりは品質が悪いが、思ったより普通にベッドだ。シーツの下は藁とかそういったものが詰まっているのだろう。ほんの少しだけちくちくする部分もある。

「ステータスオープン」

名前:タツヤ・イエイリ
年齢:25
種族:人間
職業:無職
レベル:5
HP:200/200
MP:40/40
攻撃力:20(+10)
防御力:16(+16)
素早さ:16
魔法力:12
精神力:18
器用さ:20
アクティブスキル:なし
パッシブスキル:鑑定(小) 言語の加護(下) 即死耐性(小) 身体強化(下) 盾適性(微)
ユニークスキル:マイホーム
称号:転移者
装備:粗鉄の長剣、補強された丸盾、麻布の服、簡素な革の脛当て、旅人のブーツ
スキルポイント6

 森を抜けてから村に着くまでの戦闘でレベルが一つ上がった、そのタイミングで盾適性というスキルを覚えた。武器は短剣から剣に持ち替えたけど、盾はずっと使っていたおかげだろうか。
 得られた10のスキルポイントから、鑑定、身体強化、盾適性をランクアップさせた。鑑定を優先的にランクアップさせているのは一つ狙いがあって、転移者という称号の詳細を知りたいのだ。今のところ、まだ称号がどういう効果なのか分からずにいる。もし、もしだ。この称号に異性から好意を寄せられやすい、みたいな効果があったら……。マリーの感情は作られたものになるんじゃないか、そんなことを考えてしまった。
 異世界転生した主人公がハーレムを形成しがちなのは、きっと異世界転生による補正だ。まぁ、俺は転移者だけど。死んだはずの俺が転移者とはどういうことか、これは私見だが異世界に行く前後で容姿が変わったら転生、変わっていなかったら転移なんだと思う。死んだか死んでいないかは関係ない。
 そして俺の姿は死ぬ直前から変わっていない。ひょっとしたら、俺の容姿がこっちの世界基準ではわりといい線いっているのかもしれないが、それはあまりに楽観がすぎるのでおいておく。称号によってマリーが好意を寄せているのだとしたら……いいや、あれこれ考えて取り繕ってはいるが、単純に怖いんだ。他人から無条件に好意を寄せられることが、マリーと一線を超えてマリーを満足させられなかったら、落胆されたら、そういったことが怖い。
 誰一人として知り合いのいないこの異世界で、マリーの人当たりのよさは太陽のように俺を導いてくれる。俺はそれに甘えてしまう。依存してしまう。だから、俺がマリーの気持ちに応えられなかったとき、それが怖くて怖くてしょうがない。

「はぁ……」
「どうしました?」
「うわぁ!?」

 いつの間にかマリーが部屋にいて声を掛けてきた。

「ノックしても返事がなかったものですから、勝手に入ってきちゃいました。すみません……って、ここ私の部屋でもあるんでした」
「あ、いや、うん。大丈夫」
「レックスさんって本当にびっくりさせがいがありますよね。ちょっと面白いです」

 年齢だけで言えば女子高生にからかわれる俺……とはいえ、コミュ障の俺がたった一日や二日でこんなに打ち解けてしまうんだ。

「マリーってすごいよ」
「え? 急にどうしたんですか」
「いや、なんでもない。飯にしようぜ」

 宿は食事は質素ながらわりと美味しかった。明日に向けて、身体を休めるとしよう。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

異世界でリサイクルショップ!俺の高価買取り!

理太郎
ファンタジー
坂木 新はリサイクルショップの店員だ。 ある日、買い取りで査定に不満を持った客に恨みを持たれてしまう。 仕事帰りに襲われて、気が付くと見知らぬ世界のベッドの上だった。

スライムと異世界冒険〜追い出されたが実は強かった

Miiya
ファンタジー
学校に一人で残ってた時、突然光りだし、目を開けたら、王宮にいた。どうやら異世界召喚されたらしい。けど鑑定結果で俺は『成長』 『テイム』しかなく、弱いと追い出されたが、実はこれが神クラスだった。そんな彼、多田真司が森で出会ったスライムと旅するお話。 *ちょっとネタばれ 水が大好きなスライム、シンジの世話好きなスライム、建築もしてしまうスライム、小さいけど鉱石仕分けたり探索もするスライム、寝るのが大好きな白いスライム等多種多様で個性的なスライム達も登場!! *11月にHOTランキング一位獲得しました。 *なるべく毎日投稿ですが日によって変わってきますのでご了承ください。一話2000~2500で投稿しています。 *パソコンからの投稿をメインに切り替えました。ですので字体が違ったり点が変わったりしてますがご了承ください。

異世界は流されるままに

椎井瑛弥
ファンタジー
 貴族の三男として生まれたレイは、成人を迎えた当日に意識を失い、目が覚めてみると剣と魔法のファンタジーの世界に生まれ変わっていたことに気づきます。ベタです。  日本で堅実な人生を送っていた彼は、無理をせずに一歩ずつ着実に歩みを進むつもりでしたが、なぜか思ってもみなかった方向に進むことばかり。ベタです。  しっかりと自分を持っているにも関わらず、なぜか思うようにならないレイの冒険譚、ここに開幕。  これを書いている人は縦書き派ですので、縦書きで読むことを推奨します。

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

異世界召喚?やっと社畜から抜け出せる!

アルテミス
ファンタジー
第13回ファンタジー大賞に応募しました。応援してもらえると嬉しいです。 ->最終選考まで残ったようですが、奨励賞止まりだったようです。応援ありがとうございました! ーーーー ヤンキーが勇者として召喚された。 社畜歴十五年のベテラン社畜の俺は、世界に巻き込まれてしまう。 巻き込まれたので女神様の加護はないし、チートもらった訳でもない。幸い召喚の担当をした公爵様が俺の生活の面倒を見てくれるらしいけどね。 そんな俺が異世界で女神様と崇められている”下級神”より上位の"創造神"から加護を与えられる話。 ほのぼのライフを目指してます。 設定も決めずに書き始めたのでブレブレです。気楽〜に読んでください。 6/20-22HOT1位、ファンタジー1位頂きました。有難うございます。

役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !

本条蒼依
ファンタジー
地球とは違う異世界シンアースでの物語。  主人公マルクは神聖の儀で何にも反応しないスキルを貰い、絶望の淵へと叩き込まれる。 その役に立たないスキルで冒険者になるが、役立たずと言われダンジョンで殺されかけるが、そのスキルは唯一無二の万能スキルだった。  そのスキルで成り上がり、ダンジョンで裏切った人間は落ちぶれざまあ展開。 主人公マルクは、そのスキルで色んなことを解決し幸せになる。  ハーレム要素はしばらくありません。

誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!

ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく  高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。  高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。  しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。  召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。 ※カクヨムでも連載しています

処理中です...