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013 マリーはからかい上手?
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脱衣所で体についた水気をぬぐうと俺は服を着て外に出た。
マリーはもうしばらく入っているだろう。正直、こっちの世界にきて初めての入浴だったし、もう少しのんびり入っていたかったのだが……。
「はぁー、異世界はんぱねぇな……」
取り敢えず部屋に戻り、ベッドに倒れ込む。流石にマイホームの布団よりは品質が悪いが、思ったより普通にベッドだ。シーツの下は藁とかそういったものが詰まっているのだろう。ほんの少しだけちくちくする部分もある。
「ステータスオープン」
名前:タツヤ・イエイリ
年齢:25
種族:人間
職業:無職
レベル:5
HP:200/200
MP:40/40
攻撃力:20(+10)
防御力:16(+16)
素早さ:16
魔法力:12
精神力:18
器用さ:20
アクティブスキル:なし
パッシブスキル:鑑定(小) 言語の加護(下) 即死耐性(小) 身体強化(下) 盾適性(微)
ユニークスキル:マイホーム
称号:転移者
装備:粗鉄の長剣、補強された丸盾、麻布の服、簡素な革の脛当て、旅人のブーツ
スキルポイント6
森を抜けてから村に着くまでの戦闘でレベルが一つ上がった、そのタイミングで盾適性というスキルを覚えた。武器は短剣から剣に持ち替えたけど、盾はずっと使っていたおかげだろうか。
得られた10のスキルポイントから、鑑定、身体強化、盾適性をランクアップさせた。鑑定を優先的にランクアップさせているのは一つ狙いがあって、転移者という称号の詳細を知りたいのだ。今のところ、まだ称号がどういう効果なのか分からずにいる。もし、もしだ。この称号に異性から好意を寄せられやすい、みたいな効果があったら……。マリーの感情は作られたものになるんじゃないか、そんなことを考えてしまった。
異世界転生した主人公がハーレムを形成しがちなのは、きっと異世界転生による補正だ。まぁ、俺は転移者だけど。死んだはずの俺が転移者とはどういうことか、これは私見だが異世界に行く前後で容姿が変わったら転生、変わっていなかったら転移なんだと思う。死んだか死んでいないかは関係ない。
そして俺の姿は死ぬ直前から変わっていない。ひょっとしたら、俺の容姿がこっちの世界基準ではわりといい線いっているのかもしれないが、それはあまりに楽観がすぎるのでおいておく。称号によってマリーが好意を寄せているのだとしたら……いいや、あれこれ考えて取り繕ってはいるが、単純に怖いんだ。他人から無条件に好意を寄せられることが、マリーと一線を超えてマリーを満足させられなかったら、落胆されたら、そういったことが怖い。
誰一人として知り合いのいないこの異世界で、マリーの人当たりのよさは太陽のように俺を導いてくれる。俺はそれに甘えてしまう。依存してしまう。だから、俺がマリーの気持ちに応えられなかったとき、それが怖くて怖くてしょうがない。
「はぁ……」
「どうしました?」
「うわぁ!?」
いつの間にかマリーが部屋にいて声を掛けてきた。
「ノックしても返事がなかったものですから、勝手に入ってきちゃいました。すみません……って、ここ私の部屋でもあるんでした」
「あ、いや、うん。大丈夫」
「レックスさんって本当にびっくりさせがいがありますよね。ちょっと面白いです」
年齢だけで言えば女子高生にからかわれる俺……とはいえ、コミュ障の俺がたった一日や二日でこんなに打ち解けてしまうんだ。
「マリーってすごいよ」
「え? 急にどうしたんですか」
「いや、なんでもない。飯にしようぜ」
宿は食事は質素ながらわりと美味しかった。明日に向けて、身体を休めるとしよう。
マリーはもうしばらく入っているだろう。正直、こっちの世界にきて初めての入浴だったし、もう少しのんびり入っていたかったのだが……。
「はぁー、異世界はんぱねぇな……」
取り敢えず部屋に戻り、ベッドに倒れ込む。流石にマイホームの布団よりは品質が悪いが、思ったより普通にベッドだ。シーツの下は藁とかそういったものが詰まっているのだろう。ほんの少しだけちくちくする部分もある。
「ステータスオープン」
名前:タツヤ・イエイリ
年齢:25
種族:人間
職業:無職
レベル:5
HP:200/200
MP:40/40
攻撃力:20(+10)
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素早さ:16
魔法力:12
精神力:18
器用さ:20
アクティブスキル:なし
パッシブスキル:鑑定(小) 言語の加護(下) 即死耐性(小) 身体強化(下) 盾適性(微)
ユニークスキル:マイホーム
称号:転移者
装備:粗鉄の長剣、補強された丸盾、麻布の服、簡素な革の脛当て、旅人のブーツ
スキルポイント6
森を抜けてから村に着くまでの戦闘でレベルが一つ上がった、そのタイミングで盾適性というスキルを覚えた。武器は短剣から剣に持ち替えたけど、盾はずっと使っていたおかげだろうか。
得られた10のスキルポイントから、鑑定、身体強化、盾適性をランクアップさせた。鑑定を優先的にランクアップさせているのは一つ狙いがあって、転移者という称号の詳細を知りたいのだ。今のところ、まだ称号がどういう効果なのか分からずにいる。もし、もしだ。この称号に異性から好意を寄せられやすい、みたいな効果があったら……。マリーの感情は作られたものになるんじゃないか、そんなことを考えてしまった。
異世界転生した主人公がハーレムを形成しがちなのは、きっと異世界転生による補正だ。まぁ、俺は転移者だけど。死んだはずの俺が転移者とはどういうことか、これは私見だが異世界に行く前後で容姿が変わったら転生、変わっていなかったら転移なんだと思う。死んだか死んでいないかは関係ない。
そして俺の姿は死ぬ直前から変わっていない。ひょっとしたら、俺の容姿がこっちの世界基準ではわりといい線いっているのかもしれないが、それはあまりに楽観がすぎるのでおいておく。称号によってマリーが好意を寄せているのだとしたら……いいや、あれこれ考えて取り繕ってはいるが、単純に怖いんだ。他人から無条件に好意を寄せられることが、マリーと一線を超えてマリーを満足させられなかったら、落胆されたら、そういったことが怖い。
誰一人として知り合いのいないこの異世界で、マリーの人当たりのよさは太陽のように俺を導いてくれる。俺はそれに甘えてしまう。依存してしまう。だから、俺がマリーの気持ちに応えられなかったとき、それが怖くて怖くてしょうがない。
「はぁ……」
「どうしました?」
「うわぁ!?」
いつの間にかマリーが部屋にいて声を掛けてきた。
「ノックしても返事がなかったものですから、勝手に入ってきちゃいました。すみません……って、ここ私の部屋でもあるんでした」
「あ、いや、うん。大丈夫」
「レックスさんって本当にびっくりさせがいがありますよね。ちょっと面白いです」
年齢だけで言えば女子高生にからかわれる俺……とはいえ、コミュ障の俺がたった一日や二日でこんなに打ち解けてしまうんだ。
「マリーってすごいよ」
「え? 急にどうしたんですか」
「いや、なんでもない。飯にしようぜ」
宿は食事は質素ながらわりと美味しかった。明日に向けて、身体を休めるとしよう。
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