3 / 84
003 邂逅
しおりを挟む
外に出るとすぐにゴブリンと遭遇した。いきなり戦闘かと思ったが、鑑定スキルがあるから安心できる。相手を知り己を知れば百戦危うべからず
名前:なし
種族:ゴブリン
職業:なし
Lv:3
HP:80/80
MP:20/20
攻撃力:3
防御力:2
素早さ:4
魔法力:2
精神力:1
器用さ:5
アクティブスキル:棍棒術2
パッシブスキル:なし
レベルは上といえど、パラメーター的には十分に戦える相手だ。草むらに身を潜めてククリを抜刀する。狙うは脳天、振りかぶる――
「せいやぁ!!!」
鑑定で見ているHPがみるみる減っていって0になる。するとゴブリンは断末魔を上げて息絶えた。よっしゃ。おぉ、レベルが2になった。
「あ、身体強化(序)だ。良かったぁ、まったく補正なしで戦わないといけないかと思ってた……。助かったぁ……」
パッシブスキルはレベルアップで習得なのかな。取り敢えず、効果は全てのステータスがほんの少しだけ上がるようだ。これでまた一歩強くなったわけだが、レベルが1上がった程度じゃ家は成長してないだろう。
まだまだ戦闘しなければなぁと思ってモンスターを探し始めた矢先に、俺の耳に悲鳴が聞こえた。
「ど、どっちだ? あっちか?」
森はやけに声が反響して、どこから声が聞こえたのか確証はないが、とにもかくにも声の出どころ目掛けて駆け出す。
素早さの値にどれだけ影響があるか分からないが、俺の足はさほど速くない。というか、森が走りづらい……。
「ひ、ひと!!」
すこし走ると声の主であろう女の子がこちらに向かって走っているのに遭遇した。その後ろにはゴブリンが複数……少し遠いけど鑑定!
「あ、さっきのより強い……」
一体くらいなら不意打ちでザクっとやれるが、複数を相手に戦うのはまだ経験もないし無理だろう。これは三十六計逃げるに如かずってか!
「俺の手をつかめ!」
俺は咄嵯に少女の手を取り、そのまま引っ張った。急に引かれてバランスを崩した彼女には申し訳ないが、そんなことを気にしている場合ではない。取り敢えずは転ばずに走っているのだから。
「え!?」
「しっかり掴まってろ。マイホーム!!」
「うわわわっ」
現れた光のゲートに二人で飛び込む。勢いがつきすぎて玄関で倒れ込むが、取り敢えず背後にゴブリンの姿は無し。
しかし、俺の腕の中には先程助けた彼女がいる。小柄だが出るところは出ている十代半ばくらいの女の子。顔立ちはとても整っていて、可愛い部類に入るだろう。髪色は茶髪だが、異世界だからか不良みたいな雰囲気は一切ない。ただ、顔色は悪いし裸足で逃げ回っていたのか足元は傷だらけだ。彼女は何が起こったのか理解できずにキョトンとしている。そりゃそうだ、さっきまで森の中にいたはずなのに、一瞬で家の中なんだから。
彼女を抱き起こしながら、俺は靴を脱いで上がる。いつまでも玄関でってわけにもいかないし。……まぁ、取り敢えず彼女を敷布団の足の方に座らせて、俺はフローリングに直に座る。
「えっと、俺はたつ……うーん、レックスって呼んでくれ」
タツヤって名前は好きだが、流石に異世界でタツヤはないだろ……。まぁ、鑑定スキル持ち相手に名乗ったらすぐ看破されるけど。そん時はまぁ、そん時に考えよう。
「レックス……なんか、古い名前ですね。おじいちゃんが孫につけるような……」
「そうなのか? それならそれで……まぁいいや。で、君は?」
「私は、マリーといいます。姓はないです。えっと、駆け出し冒険者です……」
嘘をついているようには思えないけど、取り敢えず鑑定させてもらおうかな。
俺は彼女のステータスを確認するため、じっと目を凝らす。うん、確かに駆け出しの冒険者で間違いなさそうだ。それにしても、この子本当に美人だな。ひょっとして異世界って美男美女ばっかりなのか。
名前:マリー
職業:冒険者
Lv:3
HP:52/133
MP:17/17
攻撃力:8
防御力:8(+2)
素早さ:11
魔法力:13
精神力:7
器用さ:15
アクティブスキル:剣術(序)
パッシブスキル:商才(小) 交渉(微) 回避(序)
おお、まさしく駆け出しって感じだ。スキルに剣術があるが、見た感じ丸腰だし……防具らしい防具も身に着けていない。
どういった事情で逃げていたのか、聞いてみる……か?
「何があったか、聞いてもいいか?」
俺の質問に、マリーは一度深呼吸してから口を開いた。
名前:なし
種族:ゴブリン
職業:なし
Lv:3
HP:80/80
MP:20/20
攻撃力:3
防御力:2
素早さ:4
魔法力:2
精神力:1
器用さ:5
アクティブスキル:棍棒術2
パッシブスキル:なし
レベルは上といえど、パラメーター的には十分に戦える相手だ。草むらに身を潜めてククリを抜刀する。狙うは脳天、振りかぶる――
「せいやぁ!!!」
鑑定で見ているHPがみるみる減っていって0になる。するとゴブリンは断末魔を上げて息絶えた。よっしゃ。おぉ、レベルが2になった。
「あ、身体強化(序)だ。良かったぁ、まったく補正なしで戦わないといけないかと思ってた……。助かったぁ……」
パッシブスキルはレベルアップで習得なのかな。取り敢えず、効果は全てのステータスがほんの少しだけ上がるようだ。これでまた一歩強くなったわけだが、レベルが1上がった程度じゃ家は成長してないだろう。
まだまだ戦闘しなければなぁと思ってモンスターを探し始めた矢先に、俺の耳に悲鳴が聞こえた。
「ど、どっちだ? あっちか?」
森はやけに声が反響して、どこから声が聞こえたのか確証はないが、とにもかくにも声の出どころ目掛けて駆け出す。
素早さの値にどれだけ影響があるか分からないが、俺の足はさほど速くない。というか、森が走りづらい……。
「ひ、ひと!!」
すこし走ると声の主であろう女の子がこちらに向かって走っているのに遭遇した。その後ろにはゴブリンが複数……少し遠いけど鑑定!
「あ、さっきのより強い……」
一体くらいなら不意打ちでザクっとやれるが、複数を相手に戦うのはまだ経験もないし無理だろう。これは三十六計逃げるに如かずってか!
「俺の手をつかめ!」
俺は咄嵯に少女の手を取り、そのまま引っ張った。急に引かれてバランスを崩した彼女には申し訳ないが、そんなことを気にしている場合ではない。取り敢えずは転ばずに走っているのだから。
「え!?」
「しっかり掴まってろ。マイホーム!!」
「うわわわっ」
現れた光のゲートに二人で飛び込む。勢いがつきすぎて玄関で倒れ込むが、取り敢えず背後にゴブリンの姿は無し。
しかし、俺の腕の中には先程助けた彼女がいる。小柄だが出るところは出ている十代半ばくらいの女の子。顔立ちはとても整っていて、可愛い部類に入るだろう。髪色は茶髪だが、異世界だからか不良みたいな雰囲気は一切ない。ただ、顔色は悪いし裸足で逃げ回っていたのか足元は傷だらけだ。彼女は何が起こったのか理解できずにキョトンとしている。そりゃそうだ、さっきまで森の中にいたはずなのに、一瞬で家の中なんだから。
彼女を抱き起こしながら、俺は靴を脱いで上がる。いつまでも玄関でってわけにもいかないし。……まぁ、取り敢えず彼女を敷布団の足の方に座らせて、俺はフローリングに直に座る。
「えっと、俺はたつ……うーん、レックスって呼んでくれ」
タツヤって名前は好きだが、流石に異世界でタツヤはないだろ……。まぁ、鑑定スキル持ち相手に名乗ったらすぐ看破されるけど。そん時はまぁ、そん時に考えよう。
「レックス……なんか、古い名前ですね。おじいちゃんが孫につけるような……」
「そうなのか? それならそれで……まぁいいや。で、君は?」
「私は、マリーといいます。姓はないです。えっと、駆け出し冒険者です……」
嘘をついているようには思えないけど、取り敢えず鑑定させてもらおうかな。
俺は彼女のステータスを確認するため、じっと目を凝らす。うん、確かに駆け出しの冒険者で間違いなさそうだ。それにしても、この子本当に美人だな。ひょっとして異世界って美男美女ばっかりなのか。
名前:マリー
職業:冒険者
Lv:3
HP:52/133
MP:17/17
攻撃力:8
防御力:8(+2)
素早さ:11
魔法力:13
精神力:7
器用さ:15
アクティブスキル:剣術(序)
パッシブスキル:商才(小) 交渉(微) 回避(序)
おお、まさしく駆け出しって感じだ。スキルに剣術があるが、見た感じ丸腰だし……防具らしい防具も身に着けていない。
どういった事情で逃げていたのか、聞いてみる……か?
「何があったか、聞いてもいいか?」
俺の質問に、マリーは一度深呼吸してから口を開いた。
261
お気に入りに追加
352
あなたにおすすめの小説

異世界でリサイクルショップ!俺の高価買取り!
理太郎
ファンタジー
坂木 新はリサイクルショップの店員だ。
ある日、買い取りで査定に不満を持った客に恨みを持たれてしまう。
仕事帰りに襲われて、気が付くと見知らぬ世界のベッドの上だった。

スライムと異世界冒険〜追い出されたが実は強かった
Miiya
ファンタジー
学校に一人で残ってた時、突然光りだし、目を開けたら、王宮にいた。どうやら異世界召喚されたらしい。けど鑑定結果で俺は『成長』 『テイム』しかなく、弱いと追い出されたが、実はこれが神クラスだった。そんな彼、多田真司が森で出会ったスライムと旅するお話。
*ちょっとネタばれ
水が大好きなスライム、シンジの世話好きなスライム、建築もしてしまうスライム、小さいけど鉱石仕分けたり探索もするスライム、寝るのが大好きな白いスライム等多種多様で個性的なスライム達も登場!!
*11月にHOTランキング一位獲得しました。
*なるべく毎日投稿ですが日によって変わってきますのでご了承ください。一話2000~2500で投稿しています。
*パソコンからの投稿をメインに切り替えました。ですので字体が違ったり点が変わったりしてますがご了承ください。

少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する
高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。
手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。

異世界は流されるままに
椎井瑛弥
ファンタジー
貴族の三男として生まれたレイは、成人を迎えた当日に意識を失い、目が覚めてみると剣と魔法のファンタジーの世界に生まれ変わっていたことに気づきます。ベタです。
日本で堅実な人生を送っていた彼は、無理をせずに一歩ずつ着実に歩みを進むつもりでしたが、なぜか思ってもみなかった方向に進むことばかり。ベタです。
しっかりと自分を持っているにも関わらず、なぜか思うようにならないレイの冒険譚、ここに開幕。
これを書いている人は縦書き派ですので、縦書きで読むことを推奨します。

おっさんなのに異世界召喚されたらしいので適当に生きてみることにした
高鉢 健太
ファンタジー
ふと気づけば見知らぬ石造りの建物の中に居た。どうやら召喚によって異世界転移させられたらしかった。
ラノベでよくある展開に、俺は呆れたね。
もし、あと20年早ければ喜んだかもしれん。だが、アラフォーだぞ?こんなおっさんを召喚させて何をやらせる気だ。
とは思ったが、召喚した連中は俺に生贄の美少女を差し出してくれるらしいじゃないか、その役得を存分に味わいながら異世界の冒険を楽しんでやろう!

フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ
25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。
目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。
ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。
しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。
ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。
そんな主人公のゆったり成長期!!

毎日スキルが増えるのって最強じゃね?
七鳳
ファンタジー
異世界に転生した主人公。
テンプレのような転生に驚く。
そこで出会った神様にある加護をもらい、自由気ままに生きていくお話。
※ストーリー等見切り発車な点御容赦ください。
※感想・誤字訂正などお気軽にコメントください!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる