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第八話 不審な影
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「マイティ!! あれがミュイス村じゃないかな!?」
ミュイス村へようこそと書かれた木製のアーチを抜けるとメインストリートになるようだ。新鮮そうな野菜や果物が並び店主と客が談笑している。最前線だというのに結構な活気だ。
「あれ……でもなんか変な気配しない?」
ユフィが耳打ちしてきた内容は私も気になっていたものだった。なんとなくだけど、濃い闇属性の存在がいる、そんな感覚。
「ねぇ、あの娘じゃないかな?」
ユフィが指差したのは青果店で買い物をするゴスロリ娘だった。黒髪を縦ロールにした背の低い少女……。買い物を終えたと同時に声をかけてみた。
「君に訊きたいことがある。時間はいいかな?」
少女は振り向くと何故か微笑んだ。深紅の双眸を、私たちを見透かすように向けてくる。吸血鬼のような、あるいはサキュバスのような、作り物めいた美しさがある。
「あら、買い物帰りの村娘を捕まえて何の用かしら?」
鈴を転がすような可愛らしい声だが、それと同時に圧を感じる。……こんな村娘がいてたまるか、と脳内にワーニングの警告音がけたたましく鳴り響く。そんな警戒心をおくびにも出さずに、私は世間話でもするかのように話を切り出す。
「いや、随分と可愛らしい服を着ているなと思って。どこで買えるのか興味があるのさ。それとも、オーダーメイドかな?」
日本でみたものと遜色ない――むしろより上質に見えるそのゴスロリドレスに、個人的な興味がないと言われればゼロではないが、それよりもシンプルに彼女の底知れない魔力に警戒心を強める。
「ふふ、お連れさんはさておき、貴女には似合いそうね。なら……ついてらっしゃい」
私に向ける眼差しとユフィに向ける眼差しは明らかに温度が違った。闇属性の濃い私には優しく、そして光属性の濃いユフィには敵対心すら見て取れる。私たち二人を相手に、どうするつもりなのか。どこへ連れていくつもりなのか、そしておそらくだが彼女は……。
「この辺りでいいかしらね」
ゴスロリ少女に着いていくこと十分くらいか、すっかりミュイス村から離れて、深い森の中へとやってきた。村を離れるごとに彼女からあふれる魔力が強まり、この周囲にいる魔物は恐れて姿を消してしまっている。ならばいっそ……。
「私たちは魔王討伐の旅をしている。君は、魔王と関係があるんじゃないか?」
クロディアンを構えながら単刀直入に問いかける。ユフィも既に柄に手を置いて警戒している。
「……仕方ないわね。憤怒の剣! せぁあ!!」
ゴスロリ少女は闇色の剣を出現させると、そのまま勢いよく斬りかかってきた。ユフィがすかさず剣を合わせて受け止めると、ふわりとした軌道で彼女は着地する。まるで目には見えない翼があるみたいだ。
「答えは力ずくで聞きだせってことね。ユフィ、勝つよ!!」
「任せて!!」
ミュイス村へようこそと書かれた木製のアーチを抜けるとメインストリートになるようだ。新鮮そうな野菜や果物が並び店主と客が談笑している。最前線だというのに結構な活気だ。
「あれ……でもなんか変な気配しない?」
ユフィが耳打ちしてきた内容は私も気になっていたものだった。なんとなくだけど、濃い闇属性の存在がいる、そんな感覚。
「ねぇ、あの娘じゃないかな?」
ユフィが指差したのは青果店で買い物をするゴスロリ娘だった。黒髪を縦ロールにした背の低い少女……。買い物を終えたと同時に声をかけてみた。
「君に訊きたいことがある。時間はいいかな?」
少女は振り向くと何故か微笑んだ。深紅の双眸を、私たちを見透かすように向けてくる。吸血鬼のような、あるいはサキュバスのような、作り物めいた美しさがある。
「あら、買い物帰りの村娘を捕まえて何の用かしら?」
鈴を転がすような可愛らしい声だが、それと同時に圧を感じる。……こんな村娘がいてたまるか、と脳内にワーニングの警告音がけたたましく鳴り響く。そんな警戒心をおくびにも出さずに、私は世間話でもするかのように話を切り出す。
「いや、随分と可愛らしい服を着ているなと思って。どこで買えるのか興味があるのさ。それとも、オーダーメイドかな?」
日本でみたものと遜色ない――むしろより上質に見えるそのゴスロリドレスに、個人的な興味がないと言われればゼロではないが、それよりもシンプルに彼女の底知れない魔力に警戒心を強める。
「ふふ、お連れさんはさておき、貴女には似合いそうね。なら……ついてらっしゃい」
私に向ける眼差しとユフィに向ける眼差しは明らかに温度が違った。闇属性の濃い私には優しく、そして光属性の濃いユフィには敵対心すら見て取れる。私たち二人を相手に、どうするつもりなのか。どこへ連れていくつもりなのか、そしておそらくだが彼女は……。
「この辺りでいいかしらね」
ゴスロリ少女に着いていくこと十分くらいか、すっかりミュイス村から離れて、深い森の中へとやってきた。村を離れるごとに彼女からあふれる魔力が強まり、この周囲にいる魔物は恐れて姿を消してしまっている。ならばいっそ……。
「私たちは魔王討伐の旅をしている。君は、魔王と関係があるんじゃないか?」
クロディアンを構えながら単刀直入に問いかける。ユフィも既に柄に手を置いて警戒している。
「……仕方ないわね。憤怒の剣! せぁあ!!」
ゴスロリ少女は闇色の剣を出現させると、そのまま勢いよく斬りかかってきた。ユフィがすかさず剣を合わせて受け止めると、ふわりとした軌道で彼女は着地する。まるで目には見えない翼があるみたいだ。
「答えは力ずくで聞きだせってことね。ユフィ、勝つよ!!」
「任せて!!」
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