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妹の秘密
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「お風呂入り――っ!!」
私、反町柚葉が妹である夕菜の部屋に顔を覗かせた次の瞬間、私は全力でその扉を閉めていた。ベッドの上で妹は私の下着を嗅ぎながら恍惚とした表情を浮かべていたのだ。それはもう、ドン引きである。驚きを声に出すことすら叶わなかった。すぐに自分の部屋へと逃げ込み、事実の認識に時間を費やした。私の妹は中学二年生。黒目がちな眸は二重で、目元と鼻筋のバランスも整っていて、唇は少し薄め。愛くるしい雰囲気を持ちつつ、年齢相応に成長を感じさせる自慢の妹だ。そんな妹が……。溜息を吐く私の耳に、扉が開閉される音と階段を降りる足音が聞えた。私に気付いていない訳はないと思うが、どうやら先にお風呂へ入るようだ。まさか……。脳裏をよぎった考えが当たっていないことを祈りながら私も洗面所へ向かう。取り敢えず、歯でも磨いて落ち着きたいという気持ちもあって。だが、僅かな祈りは浴室から聞えてくる妹の妙に甘ったるいくぐもった声によって砕け散ることとなった。
「ん。あ――お姉、ちゃん……い、うぅ……はぁ。はぁ……」
ダメだ……夕菜は私をオカズにオナニーしてる……。それはもう、揺るぎない事実だろう。妹も思春期。分かってる。性だとか、自分の体に興味を持つ年頃だ。自分だって一人でシたことがないわけじゃない。とはいえ、割り切れない気持ちだってあるのは事実だ。夢であればどれだけいいことか。確かに、夕菜はシスコンで、未だに同じベッドで寝ようとしたり、お揃いの小物を欲しがったり、お下がりの服を妙に大切にしたり……。取り敢えず、部屋に戻ろう。そうしよう。
「お姉ちゃん、大事な話があるの」
夕菜がお風呂から上がり、二階へやってくると、その足音は真っ直ぐに私の部屋まで訪れた。扉越しに聞えてきた妹の声には初めて聴く覚悟を伴う声だった。私が部屋に通して、椅子に座るよう促すと、妹は思いの丈を私に告げた。
「私、お姉ちゃんが性的な意味で大好きなの。お姉ちゃんに見られた後にスるの、すごく気持ちよかった。……私、お姉ちゃんとエッチしたい」
「夕菜が私のこと、凄く好きだってことは分かってた。ねぇ、なんで私なの?」
「お姉ちゃんは昔から優しくて、温かくて……私の憧れなの。それに、同じシャンプーを使っているはずなのに髪を綺麗で、肌もすべすべ。美人だけど可愛くて、おっぱいも大きくて……。お姉ちゃんは夕菜のこと、嫌い? 嫌いになっちゃった?」
ベッドに腰掛ける私に、夕菜は近づいて跪くように、私に縋るように、祈るように、私の眸をじっと見つめる。……妹のことは、妹として大好きだ。だからこそ、夕菜のためになる最良の答えをださないと。
「夕菜」
「はい!」
私が呼びかけるだけで、肩を跳ね上げる夕菜。緊張しているのだろうか。
「私は夕菜のこと、妹としか思っていないよ。それに、女同士……しかも姉妹で愛し合うなんて……異常だよ」
「どうして異常なの? だって、一番近くにいる一番大事な人なんだよ? 愛したっていいでしょう?」
「姉妹で愛し合うなんて、遺伝子的に変なのよ。それに、女同士じゃ子供もできない。本能的におかしいんだって」
私は絶対、間違ったことなんて言っていない。確かに、妹に彼氏ができて、エッチして、結婚して、甥か姪ができて……私は素直に喜べるだろうか。待て、自分。今、エッチと結婚の順番が逆だったぞ。それも大事だけど、妹の将来の幸せを考えれば私の涙なんていくらでも流そう。だから、夕菜を正しい道に進ませないと。
「お姉ちゃん……遺伝子も本能も……意志より優先なんてされない。私の心は全部、私のものなの。だから……」
そう言って夕菜は私の肩に手をかけ、そのまま力を込めて押し倒した。
「今は……これで我慢する。でも、私の心も気持ちも絶対に変わらないから」
近づく夕菜の顔と、耳朶を打つ夕菜の宣言。そっと触れた唇は熱を持ち、ふわりと甘い香を残して去っていった。
「おやすみ、お姉ちゃん」
「……夕菜。おやすみ」
人生で初めてのキスだった。でも、こみ上げるこの気持ちはなんだろう。100パーセントの嬉しさではない。でも、その辺の男子にされるよりかは良かったのかもしれない。好きな男子なんていない私には尚更、ファーストキスの相手が妹というのは妥当なのかもしれない。
「明日から……普段通りに接するなんて出来るのかなぁ……」
ただそれだけが、不安でしょうがなかった。
私、反町柚葉が妹である夕菜の部屋に顔を覗かせた次の瞬間、私は全力でその扉を閉めていた。ベッドの上で妹は私の下着を嗅ぎながら恍惚とした表情を浮かべていたのだ。それはもう、ドン引きである。驚きを声に出すことすら叶わなかった。すぐに自分の部屋へと逃げ込み、事実の認識に時間を費やした。私の妹は中学二年生。黒目がちな眸は二重で、目元と鼻筋のバランスも整っていて、唇は少し薄め。愛くるしい雰囲気を持ちつつ、年齢相応に成長を感じさせる自慢の妹だ。そんな妹が……。溜息を吐く私の耳に、扉が開閉される音と階段を降りる足音が聞えた。私に気付いていない訳はないと思うが、どうやら先にお風呂へ入るようだ。まさか……。脳裏をよぎった考えが当たっていないことを祈りながら私も洗面所へ向かう。取り敢えず、歯でも磨いて落ち着きたいという気持ちもあって。だが、僅かな祈りは浴室から聞えてくる妹の妙に甘ったるいくぐもった声によって砕け散ることとなった。
「ん。あ――お姉、ちゃん……い、うぅ……はぁ。はぁ……」
ダメだ……夕菜は私をオカズにオナニーしてる……。それはもう、揺るぎない事実だろう。妹も思春期。分かってる。性だとか、自分の体に興味を持つ年頃だ。自分だって一人でシたことがないわけじゃない。とはいえ、割り切れない気持ちだってあるのは事実だ。夢であればどれだけいいことか。確かに、夕菜はシスコンで、未だに同じベッドで寝ようとしたり、お揃いの小物を欲しがったり、お下がりの服を妙に大切にしたり……。取り敢えず、部屋に戻ろう。そうしよう。
「お姉ちゃん、大事な話があるの」
夕菜がお風呂から上がり、二階へやってくると、その足音は真っ直ぐに私の部屋まで訪れた。扉越しに聞えてきた妹の声には初めて聴く覚悟を伴う声だった。私が部屋に通して、椅子に座るよう促すと、妹は思いの丈を私に告げた。
「私、お姉ちゃんが性的な意味で大好きなの。お姉ちゃんに見られた後にスるの、すごく気持ちよかった。……私、お姉ちゃんとエッチしたい」
「夕菜が私のこと、凄く好きだってことは分かってた。ねぇ、なんで私なの?」
「お姉ちゃんは昔から優しくて、温かくて……私の憧れなの。それに、同じシャンプーを使っているはずなのに髪を綺麗で、肌もすべすべ。美人だけど可愛くて、おっぱいも大きくて……。お姉ちゃんは夕菜のこと、嫌い? 嫌いになっちゃった?」
ベッドに腰掛ける私に、夕菜は近づいて跪くように、私に縋るように、祈るように、私の眸をじっと見つめる。……妹のことは、妹として大好きだ。だからこそ、夕菜のためになる最良の答えをださないと。
「夕菜」
「はい!」
私が呼びかけるだけで、肩を跳ね上げる夕菜。緊張しているのだろうか。
「私は夕菜のこと、妹としか思っていないよ。それに、女同士……しかも姉妹で愛し合うなんて……異常だよ」
「どうして異常なの? だって、一番近くにいる一番大事な人なんだよ? 愛したっていいでしょう?」
「姉妹で愛し合うなんて、遺伝子的に変なのよ。それに、女同士じゃ子供もできない。本能的におかしいんだって」
私は絶対、間違ったことなんて言っていない。確かに、妹に彼氏ができて、エッチして、結婚して、甥か姪ができて……私は素直に喜べるだろうか。待て、自分。今、エッチと結婚の順番が逆だったぞ。それも大事だけど、妹の将来の幸せを考えれば私の涙なんていくらでも流そう。だから、夕菜を正しい道に進ませないと。
「お姉ちゃん……遺伝子も本能も……意志より優先なんてされない。私の心は全部、私のものなの。だから……」
そう言って夕菜は私の肩に手をかけ、そのまま力を込めて押し倒した。
「今は……これで我慢する。でも、私の心も気持ちも絶対に変わらないから」
近づく夕菜の顔と、耳朶を打つ夕菜の宣言。そっと触れた唇は熱を持ち、ふわりと甘い香を残して去っていった。
「おやすみ、お姉ちゃん」
「……夕菜。おやすみ」
人生で初めてのキスだった。でも、こみ上げるこの気持ちはなんだろう。100パーセントの嬉しさではない。でも、その辺の男子にされるよりかは良かったのかもしれない。好きな男子なんていない私には尚更、ファーストキスの相手が妹というのは妥当なのかもしれない。
「明日から……普段通りに接するなんて出来るのかなぁ……」
ただそれだけが、不安でしょうがなかった。
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