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第二十四話 これからの計画

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ひとっ風呂浴び、食事も済ませた私たちは宿の部屋で改めて今後の作戦会議を行うことにした。

「取り敢えず、森での調査結果を報告しないといけないのよ」

 私がニシェクで結成しようとして出来なかったギルド。とはいえニーナはフリーで活動をしているらしい。基本的に女性しかいないギルドなんて滅多に無いから、ニーナのような美女は引く手あまただがその分問題が多発するらしい。いわゆるサークルクラッシャー的なことだろう。基本的に死と隣り合わせな冒険者というのは、生にも性にもがめついらしい。

「ニーナは冒険者仲間に剣士とか槍使いとかいないの?」

 出来ればどっちも使えるが最高。槍の技術を教わりつつ、剣士として前衛をしてもらうという方向性で。武士のイメージだが剣と弓と槍を全部こなせる者こそ武人みたいな感じがするし。

「そうねぇ、ユールの能力を考えれば当然、女よね。セフレにまぁまぁな剣士がいるんだけど…………あ!!」

 しれっとニーナからセフレという単語が出てびっくりしていると、大きな声にさらにびっくりしてしまう。

「アリジャスに来る道すがらに、きっと東方の人だと思うんだけど少し曲がってる剣、ほらカットラスみたいで少し細い剣。分かるかなぁ? それを腰に差した結構可愛い女の子とすれ違ったのよ」

 東方というワードと曲がった剣……おそらく刀のことなのだろう。この世界にも日本刀が存在するのだろうか。まぁ、日本刀という名前ではないだろうし、ひょっとしたら中華な青竜刀っていう可能性だってある。……あれ? 青竜刀って確かなぎなたみたいな武器じゃなかったっけ。それはさておき、一人旅するだけの技量がある女の子。俄然興味がある。

「アリジャスに来る道すがらって、ニーナさんはどこから来たんですか?」

 レリエが尋ねる。

「私、エレクシスに拠点を置いているのよ」
「てことはライデンブルク……か」

 ステラがぼそりと呟く。
 私のざっくりとした地理の知識だと、この世界にはいくつかの国があって、ニシェクやトルキガあとコーゼスの村なんかはハンブル王国の領地らしい。そしてここアリジャスはハートロード教という宗教の総本山。さらにここから北西へ行けば、さっきステラが口にしたライデンブルク帝国だし、南西に行けばウィッタリア王国だ。
 基本的にこの世界の国々は魔物や魔族という共通の敵が居ることもあり協調的らしい。確かに人間同士で争っている場合じゃない。

「ひとまずアリジャスでシスターを仲間にしたら、ライデンブルクを目指すのがいいかもしれませんね」

 レリエが話をまとめ、発言しなかったクレアもこくこくと頷いている。ニーナも報告さえおわれば後は自由の身らしい。とはいえ、ステラだけが不満げな顔をしているのが私にはなぜだか分からなかった……。
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