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#4 魔力酔い
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「――――ん、うぅ」
「あ、起きました? 大丈夫?」
ゆっくりと身体を起こすと、私が自室に運ばれていたことに気付いた。
「寿奈、結構力持ち?」
「へ? そんなんじゃないですよ。綾乃ちゃんが軽すぎます」
普段からあんまり食事に気配りしないせいか……細く貧相な身体になってしまった。そんな自分に軽く苦笑してると、寿奈が両手をパンっと叩いて口を開いた。
「思ったんですけど、ベッド大きいですよね」
「セミダブルだと思うけど? そんなに大きくないわ」
「そうなんだぁ。私のシングルベッドが小さいのかな? あ、椅子借りてるよ」
ベッドの横に椅子を置いて座っていた寿奈の顎に手をあてて、
「一緒に寝る?」
なんて囁いてみた。さっきの行為を思い出して顔を赤らめる寿奈に、
「コンビを組むなら、一緒に住むのもいいと思うの。どう?」
少し真剣な眼差しを向ける。
「でも、せっかく借りたマンションの家賃とか……」
「それなら平気よ。このマンションの管理人、私の親戚だから。言えばなんとかしてもらえるはずだよ」
……正確ではないが、嘘でもないはず。
「そっか。じゃあ……えへへ、お願いします」
「その代わり」
「はい?」
「……家事、頼めるかしら?」
「うん! 私、頑張るね」
こうして私と寿奈の同居が決まったのだが、
「そうだ。綾乃ちゃんが寝ている間にお粥作ったの」
同居しようがしまいが、寿奈に家事を任せていただろう。
「ところで、私……どれくらい寝てたの?」
カーテン越しに差し込む光がほとんど無いことに気付いて、聞きそびれたことを思い出す。大事なことだ。
「えっと、少し揺すっても起きなかったから、ベッドに運んで……本読んで、少しお掃除してみたり……お粥作ったり、また本何冊か読んだりして……。あと、テレビも見てて……6時間くらいかなぁ? もうちょっとかも」
6時間半くらいとしておこう。……そんなに長い時間気を失うなんて。やっぱり性質が近いからって身体に馴染んで私の魔力にはならないのか……。だとしたら……。って、その前に。
「その、ごめんね。迷惑かけちゃった」
「ううん。気にしないで。コンビ、なんでしょう? ちょっと気が早いけど」
「そう、ね。あぁ、それじゃ、お粥……いただこうかな」
「うん、分かった。温め直すね。あ、立てる?」
ベッドから降りて立ち上がる。少し頭痛が残ってはいるが、取り敢えずは大丈夫だ。
「多分、魔力の吸い過ぎだと思う……」
「綾乃ちゃん、すごい勢いで吸ってたね。私、なんだかふわふわしちゃって」
「……ごめん」
「気にしないで。……その、気持ちよかったし」
伏し目がちに呟く寿奈。なんか、ちょっと変な雰囲気になっちゃった。
「そ、そんなことより、お粥!」
「う、うん! そうだよね!」
二人ぎこちなく、寝室を後にした。
「あ、起きました? 大丈夫?」
ゆっくりと身体を起こすと、私が自室に運ばれていたことに気付いた。
「寿奈、結構力持ち?」
「へ? そんなんじゃないですよ。綾乃ちゃんが軽すぎます」
普段からあんまり食事に気配りしないせいか……細く貧相な身体になってしまった。そんな自分に軽く苦笑してると、寿奈が両手をパンっと叩いて口を開いた。
「思ったんですけど、ベッド大きいですよね」
「セミダブルだと思うけど? そんなに大きくないわ」
「そうなんだぁ。私のシングルベッドが小さいのかな? あ、椅子借りてるよ」
ベッドの横に椅子を置いて座っていた寿奈の顎に手をあてて、
「一緒に寝る?」
なんて囁いてみた。さっきの行為を思い出して顔を赤らめる寿奈に、
「コンビを組むなら、一緒に住むのもいいと思うの。どう?」
少し真剣な眼差しを向ける。
「でも、せっかく借りたマンションの家賃とか……」
「それなら平気よ。このマンションの管理人、私の親戚だから。言えばなんとかしてもらえるはずだよ」
……正確ではないが、嘘でもないはず。
「そっか。じゃあ……えへへ、お願いします」
「その代わり」
「はい?」
「……家事、頼めるかしら?」
「うん! 私、頑張るね」
こうして私と寿奈の同居が決まったのだが、
「そうだ。綾乃ちゃんが寝ている間にお粥作ったの」
同居しようがしまいが、寿奈に家事を任せていただろう。
「ところで、私……どれくらい寝てたの?」
カーテン越しに差し込む光がほとんど無いことに気付いて、聞きそびれたことを思い出す。大事なことだ。
「えっと、少し揺すっても起きなかったから、ベッドに運んで……本読んで、少しお掃除してみたり……お粥作ったり、また本何冊か読んだりして……。あと、テレビも見てて……6時間くらいかなぁ? もうちょっとかも」
6時間半くらいとしておこう。……そんなに長い時間気を失うなんて。やっぱり性質が近いからって身体に馴染んで私の魔力にはならないのか……。だとしたら……。って、その前に。
「その、ごめんね。迷惑かけちゃった」
「ううん。気にしないで。コンビ、なんでしょう? ちょっと気が早いけど」
「そう、ね。あぁ、それじゃ、お粥……いただこうかな」
「うん、分かった。温め直すね。あ、立てる?」
ベッドから降りて立ち上がる。少し頭痛が残ってはいるが、取り敢えずは大丈夫だ。
「多分、魔力の吸い過ぎだと思う……」
「綾乃ちゃん、すごい勢いで吸ってたね。私、なんだかふわふわしちゃって」
「……ごめん」
「気にしないで。……その、気持ちよかったし」
伏し目がちに呟く寿奈。なんか、ちょっと変な雰囲気になっちゃった。
「そ、そんなことより、お粥!」
「う、うん! そうだよね!」
二人ぎこちなく、寝室を後にした。
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