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部活はハーレムじゃありません!!
#75 課題山積?
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麻琴との関係が相思相愛というか、ちゃんとした恋愛関係だと認識できてから肩が軽くなったような気がしていた。実際には普通に肩も凝るんだけど、そんなボクにとって目下最大の悩みといえば……。
「あぁ、和食でも洋食でも中華でも勝てない!! もうぅ!!!!!!」
調理室をダッシュで出ていく小さな背中を見送りながら、今日もつい溜息をこぼしてしまう。活動日に毎度毎度行われる美星ちゃんとの料理対決。
「あのさ……たまには、その……」
「ステラっちに勝ちを譲ってあげてなんて、言いませんよね先輩?」
ボクと美星ちゃんの料理対決、審査員は一年生三人組が担当することが多い。審査委員長は支倉恵留ちゃん。しっかり者の彼女にぐさっとくぎを刺されると先輩といえどボクから忖度しろとは言えない。
「先輩がわざと負けたらステラっち、もう立ち直れないと思う。自分が負けても、いくらでも立ち直れる強さがあるけど、そういう嘘の優しさには弱いと思う。澄乃もそう思うでしょ?」
「確かに、メグちゃんの言う通りかも。美星ちゃん全力だから、先輩も全力じゃないとよくないと思う。実際、先輩のお料理の方が美味しいですし。ね、静真さん」
「紺屋さんの言う通りです。高須さんの料理が悪いわけじゃないんですけど、こればかりは何とも」
紺屋澄乃ちゃんと宗森静真さん、この二人と美星ちゃんと恵留ちゃんの四人が今年の料理部新入部員だ。見学の時にはほかにも何人か来てくれていたけど、最終的にはこの四人で落ち着いた。
長身かつ前髪であまり素顔が見えない静真さんに当初は一年生三人どころか、ボクら上級生も接しがたさを感じていたけれど、基本的に物静かなだけで料理中の指示はしっかりしたがってくれるし、なんなら質問や確認も積極的にしてくれる。飲み込みもいいし、四月まで料理未経験とは思えないくらいに上達してくれている。
「正直もう六月だし、あまほ先輩とは三か月も会ってないわけで、しかもメールのやり取りとかも滅多にないから……なんかもう、あんまり言われるいわれはないというか……そろそろ和解できる気がしているんですけどね。そか、よっぽどボクの話題が高須家でされているのか。それはそれで怖いような……」
部長の芙蓉先輩に相談してみたら、
「あ、ごめん。私があまほ先輩にいろいろ送ってる。違うんだよ、部内でなんかこう、火だねがあるのって良くないでしょう? ほら、火の始末はちゃんとしなきゃ……なんてね」
情報の流出源が判明した。でも、あまほ先輩って大学に行くために一人暮らしを始めたはず。ひょっとしたら美星ちゃんがあまほ先輩に毎日電話か何かして部活での話をして、そこからボクの話題になっていたりして……。
「ユウちゃんって苦手な料理のジャンルとかないの? それがもし美星ちゃんの得意分野だったら、美星ちゃんが正面から勝てるんじゃないかな。一度でも勝てたら納得してくれるんじゃないかしら」
希名子ちゃんの言葉に、苦手な料理かぁと考えながら今日の後片付けを始める。ボクの料理は基本的に家庭料理の範疇だから拘った料理とか、一般家庭では出ないようなものは作れない。
「そういえばボク、大きい魚はおろせないや。切り身で買ったり、お店の人におろしてもらうし」
アジの三枚おろしはできる。家庭科でやるし、家でアジフライもするし。でも、タイとかブリは無理。大きいし、それをおろせるだけの包丁もない。
「アジでも三枚おろしできれば十分じゃないかな……。作らないなぁってものはないの?」
「それこそ和菓子はボク、門外漢だね。作れないもん。……美星ちゃんってさ、カステラ作れないのかな」
「それは分からないけど、もし和菓子で対決するな私も審査員やらせてもらおうかしら」
苦笑いを浮かべつつ片付けも終わり活動終了。さぁて、麻琴を迎えに行って一緒に帰ろう。
だって、彼女なんだから。
「あぁ、和食でも洋食でも中華でも勝てない!! もうぅ!!!!!!」
調理室をダッシュで出ていく小さな背中を見送りながら、今日もつい溜息をこぼしてしまう。活動日に毎度毎度行われる美星ちゃんとの料理対決。
「あのさ……たまには、その……」
「ステラっちに勝ちを譲ってあげてなんて、言いませんよね先輩?」
ボクと美星ちゃんの料理対決、審査員は一年生三人組が担当することが多い。審査委員長は支倉恵留ちゃん。しっかり者の彼女にぐさっとくぎを刺されると先輩といえどボクから忖度しろとは言えない。
「先輩がわざと負けたらステラっち、もう立ち直れないと思う。自分が負けても、いくらでも立ち直れる強さがあるけど、そういう嘘の優しさには弱いと思う。澄乃もそう思うでしょ?」
「確かに、メグちゃんの言う通りかも。美星ちゃん全力だから、先輩も全力じゃないとよくないと思う。実際、先輩のお料理の方が美味しいですし。ね、静真さん」
「紺屋さんの言う通りです。高須さんの料理が悪いわけじゃないんですけど、こればかりは何とも」
紺屋澄乃ちゃんと宗森静真さん、この二人と美星ちゃんと恵留ちゃんの四人が今年の料理部新入部員だ。見学の時にはほかにも何人か来てくれていたけど、最終的にはこの四人で落ち着いた。
長身かつ前髪であまり素顔が見えない静真さんに当初は一年生三人どころか、ボクら上級生も接しがたさを感じていたけれど、基本的に物静かなだけで料理中の指示はしっかりしたがってくれるし、なんなら質問や確認も積極的にしてくれる。飲み込みもいいし、四月まで料理未経験とは思えないくらいに上達してくれている。
「正直もう六月だし、あまほ先輩とは三か月も会ってないわけで、しかもメールのやり取りとかも滅多にないから……なんかもう、あんまり言われるいわれはないというか……そろそろ和解できる気がしているんですけどね。そか、よっぽどボクの話題が高須家でされているのか。それはそれで怖いような……」
部長の芙蓉先輩に相談してみたら、
「あ、ごめん。私があまほ先輩にいろいろ送ってる。違うんだよ、部内でなんかこう、火だねがあるのって良くないでしょう? ほら、火の始末はちゃんとしなきゃ……なんてね」
情報の流出源が判明した。でも、あまほ先輩って大学に行くために一人暮らしを始めたはず。ひょっとしたら美星ちゃんがあまほ先輩に毎日電話か何かして部活での話をして、そこからボクの話題になっていたりして……。
「ユウちゃんって苦手な料理のジャンルとかないの? それがもし美星ちゃんの得意分野だったら、美星ちゃんが正面から勝てるんじゃないかな。一度でも勝てたら納得してくれるんじゃないかしら」
希名子ちゃんの言葉に、苦手な料理かぁと考えながら今日の後片付けを始める。ボクの料理は基本的に家庭料理の範疇だから拘った料理とか、一般家庭では出ないようなものは作れない。
「そういえばボク、大きい魚はおろせないや。切り身で買ったり、お店の人におろしてもらうし」
アジの三枚おろしはできる。家庭科でやるし、家でアジフライもするし。でも、タイとかブリは無理。大きいし、それをおろせるだけの包丁もない。
「アジでも三枚おろしできれば十分じゃないかな……。作らないなぁってものはないの?」
「それこそ和菓子はボク、門外漢だね。作れないもん。……美星ちゃんってさ、カステラ作れないのかな」
「それは分からないけど、もし和菓子で対決するな私も審査員やらせてもらおうかしら」
苦笑いを浮かべつつ片付けも終わり活動終了。さぁて、麻琴を迎えに行って一緒に帰ろう。
だって、彼女なんだから。
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