上 下
80 / 83
サイドストーリー みんあや編

第3話 部活日和

しおりを挟む
 四月ももう半ば。春の陽気にもなれてきて、葉桜が作る日陰を涼しく感じるようになってきました。そんな中、わたしや綾ちゃん、ユウちゃん、ヒナッチの四人がそれぞれに部活を決めて本入部になり、わたしはマーチングもやるという吹奏楽部に、綾ちゃんは新しい競技に挑むべくハンドボール部へ、ユウちゃんは設備がいいと評判の家庭科部へ、ヒナッチは宣言通り陸上部に、籍を置いて活躍しています。
 綾ちゃんはハンドボールのルールを覚えるのに苦戦中だったり、ユウちゃんは家庭科部のみんなが優しいと笑顔だったり、ヒナッチは次世代のエースと呼ばれてそわそわしていたり、それぞれの色が見えてきたような気がしています。
 授業の方もかなり慣れてきて、この前のテストでは二位になってしまいました。綾ちゃんに教えながら、自分の中に定着させられたからかなぁと思っているんだけど……綾ちゃんはちょっと微妙な結果に終わっちゃったみたい。そんな風に毎日が過ぎていき、今日も部活へ。今日は座奏なので音楽室での練習。

「やぁ、明音ちゃん」

 音楽準備室兼部室に入ると、同じく吹奏楽部の羽生舞梨ちゃんがいた。舞梨ちゃんは芸能関係の活動もしているらしくって、忙しさで一年留年しちゃった女の子。芸能活動の内容をわたしは聞いていないけど、舞梨ちゃんは可愛いから女優とかモデルさんかなぁと見当をつけている。

「どうかした?」
「ううん。なんでもなぁい」

 舞梨ちゃんは綾ちゃんやヒナッチと同じくらいの背だけど、胸の大きさは全然違うなぁと思ったなんて、流石に言えない。他の部員たちもどんどん集まってきた。同じ中学だったのは二組の三ヶ月(みこぜ)花梨(かりん)ちゃんだけ。塾で仲良くなった三代(みしろ)和紗(かずさ)ちゃんとも一緒だから心強い。

「さてと、今日も頑張りますか!」
 チューニングを済ませ、六月のコンクールへ向けて練習を始める。


「「「ありがとうございました!!!」」」

 顧問である音楽の先生と礼をして、今日の活動は終了です。毎週金曜日と日曜がお休みで、週五日の練習は、長時間じゃないから集中しているとあっという間に終わってしまう。フルートをケースにしまうと、花梨ちゃんが

「四月限定の桜アイスクレープ、もう販売が終わっちゃうからもう一回食べに行かない?」

 と誘ってきた。わたしや綾ちゃん、花梨ちゃんの家がある地区には知る人ぞ知るクレープのお店があって、月毎の限定メニューが人気なのだ。四月は桜風味のアイスをトッピングした春色全開のクレープ。四月になってすぐに食べたけど、美味しかったなぁ。

「うん、行こう!!」
「なにそれ、いいな!!」

 二人でそんな話しをしていると、舞梨ちゃんが話に飛び込んできた。

「クレープ食べに行くんでしょ?」
「そうですけど……遠いですよ?」
「そっかぁ……。しかもウチ自転車通学じゃないからなぁ」

 舞梨ちゃんが腕を組んで考えこむ。持ち上げられたおっぱいについ視線がつられてしまう。しばらく考えた末に、ぱんと手を合わせた。どうやら何か閃いたらしい。

「やっぱり行く。昨日はランニングサボっちゃったから、そのついで。走っていくことにするね」

 おぉ……芸能人の覚悟は違う。

「えっと、じゃあ行きましょうか。お疲れ様でした」
「お疲れ様でしたぁ」
「ばいばーい!」

 そんな感じでわたしと花梨ちゃん、そして舞梨ちゃんでクレープ屋さん目指しつつ帰宅することになった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話

矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」 「あら、いいのかしら」 夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……? 微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。 ※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。 ※小説家になろうでも同内容で投稿しています。 ※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

隣の席の女の子がエッチだったのでおっぱい揉んでみたら発情されました

ねんごろ
恋愛
隣の女の子がエッチすぎて、思わず授業中に胸を揉んでしまったら…… という、とんでもないお話を書きました。 ぜひ読んでください。

女子高生は卒業間近の先輩に告白する。全裸で。

矢木羽研
恋愛
図書委員の女子高生(小柄ちっぱい眼鏡)が、卒業間近の先輩男子に告白します。全裸で。 女の子が裸になるだけの話。それ以上の行為はありません。 取って付けたようなバレンタインネタあり。 カクヨムでも同内容で公開しています。

3年振りに帰ってきた地元で幼馴染が女の子とエッチしていた

ねんごろ
恋愛
3年ぶりに帰ってきた地元は、何かが違っていた。 俺が変わったのか…… 地元が変わったのか…… 主人公は倒錯した日常を過ごすことになる。 ※他Web小説サイトで連載していた作品です

妹の作った謎薬でTSした僕を幼馴染の双子兄妹が狙っている。

楠富 つかさ
キャラ文芸
 異世界帰りの妹が作った錬金薬で女体化してしまった主人公、そんな主人公には幼馴染が二人いて……  性転換する前の主人公に好意を抱いていた女子と、性転換後の主人公に好意を抱く男子、そんな三角関係のTSラブコメです。 ※表紙イラストはAI生成による主人公のイメージ画像です。美少女がちょっと少年みたいな動作をしているそんな感じ。

これ以上ヤったら●っちゃう!

ヘロディア
恋愛
彼氏が変態である主人公。 いつも自分の部屋に呼んで戯れていたが、とうとう彼の部屋に呼ばれてしまい…

[完結済み]男女比1対99の貞操観念が逆転した世界での日常が狂いまくっている件

森 拓也
キャラ文芸
俺、緒方 悟(おがた さとる)は意識を取り戻したら男女比1対99の貞操観念が逆転した世界にいた。そこでは男が稀少であり、何よりも尊重されていて、俺も例外ではなかった。 学校の中も、男子生徒が数人しかいないからまるで雰囲気が違う。廊下を歩いてても、女子たちの声だけが聞こえてくる。まるで別の世界みたいに。 そんな中でも俺の周りには優しいな女子たちがたくさんいる。特に、幼馴染の美羽はずっと俺のことを気にかけてくれているみたいで……

処理中です...