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二年生になりました♪
#70 ヴァーチャル⇔リアル
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土曜日、ボクは自宅でファッション誌を読みながらまったりしていた。ひとしきり読み終えると、気になったアイテムの載っているページはドッグイヤーしておく。それから最近買って貰ったばかりのパソコンで、動画共有サイトを起動する。最近はまっているVの者の動画を見始める。動画共有サイトで動画を配信する人の中でも、ヴァーチャルのキャラクターが配信しているという体で、動画を配信する人のことが特にVの者と呼ばれている。やっていることは生身の配信者とそう大差ないのだが、キャラクター性を前面に押し出しておりVの者同士のコラボは、アニメを見ているような楽しさがある。
最近のお気に入りは何奴ネノちゃん。この前の春休みにデビューしたばかりの新人さんで、企業に所属していないいわゆる個人勢だ。幼女然としたキャラクターだがぶっきらぼうな口ぶりがギャップとして魅力。名作ゲームの実況やライトノベルのレビュー動画がメインで、まだまだチャンネルの登録者数は多くないが、注目の一人だと思っている。
「ふぁ~あ。はふ……。なんか久々にオタ活したかも」
男子だった頃より自由な時間が減った気がするのは……単純に高校生が忙しいから、だろうか。ライトノベルや漫画を読む時間はめっきり減ったし、アニメもほとんど見ていない。まぁ、アニメで盛り上がる友達がいないから、というのもあるけれど。ネノちゃんの新着動画を見終えると、SNSをチェックしてパソコンを閉じる。
同級生からはちょっと驚かれるがボクはSNSをやっていない。チャットアプリはあるけれど、自ら発信するタイプのものは手を着けていない。希名子ちゃんはお店のSNS宣伝を一挙に引き受けているそうだし、明音さんと初美さんは日記みたいにSNSを使っているらしい。芸能人じゃなくても、その日のコーディネートをSNS上にアップして、インフルエンサーになる人がいるらしい。
「Vの者のネット上のやりとりも面白いし……いっそアカウント作っちゃおうかな……?」
鍵をかけておけばいいわけだし、コスプレとかにも興味あるし……。そっか、オタク友達が欲しいのかも。
麻琴はライト層でアニメはたまに見るけど、コスプレとか同人には興味ないし……明音さんと初美さんもそんな感じ、もなかちゃんとはそういう話したことないな……。
「うーん、取り敢えずお姉ちゃんに相談してみようかな」
お姉ちゃんは大学生になってからSNSを始めて、大学の友達とのやり取りに使っているらしい。春休みの昼夜逆転生活も終わり、部屋をノックすると普通に返事があった。
「なしたの?」
「あぁ、うん。その、これ……始めようかなって思って」
SNSのアカウント作成画面を見せながら話す。姉の説明を聞きながら、必要事項を入力していく。電話番号とメールアドレスを入力すると、ショートメールで番号が送られてきて、それを入力することで承認されアカウントが無事に作成された。
「取り敢えずあとは好きに使うといいよ。ただ、えっちな写真は載せちゃダメだよ」
「わ、分かってるよ!!」
そもそも鍵かけるつもりだし。オススメされたアカウントからいくつかフォローし、一度スマホの画面を消す。これでいつもはパソコンでやっていた情報収集がスマホで出来る。作ってしまえばあっけないものだ。何をそこまでビビってたんだろう。
「面白いレシピをアップしているアカウントとかもあるから、見てみたら?」
「前にテレビで見たかも。140字レシピでしょう?」
「それそれ」
そろそろお昼ご飯を作るからと姉も連れて一階に降りる。昨日のご飯を使ってオムライスにしよう。お姉ちゃんの好物だし。
「悠希の見た目なら普通のレシピで料理を作って配信するだけで人気になりそうだよねぇ」
「やるならいっそVの者がいいよ」
そんな会話をしながら、てきぱきと調理を進めていく。
「将来の夢が動画配信者っていう子供が多いらしいね」
「あぁ、聞くよね。動画の編集ってすごく大変らしいけどね。稼げる人は生身もVも一握りだし、ボクはどうせなら人のためになる仕事がいいかな。コックとか栄養士とか。まぁ、動画配信者もエンターテイナーなわけで、人のためになる仕事なのかもしれないけど」
「直接、人と関わる仕事がいいよね」
お姉ちゃんにケチャップライスを任せながら、オムレツを焼きつつデミグラスソースを加熱する。三ツ口コンロが大活躍だ。
「お姉ちゃんは卒業したら何やるの?」
「うーん、まぁ、アイドル系のプロダクションで勤めたいかなぁ。世界を股にかけるキャリアウーマンになりたい」
姉の夢というより野望を聞きながら、休日の昼下がりはゆっくりとした時間が過ぎていった。
最近のお気に入りは何奴ネノちゃん。この前の春休みにデビューしたばかりの新人さんで、企業に所属していないいわゆる個人勢だ。幼女然としたキャラクターだがぶっきらぼうな口ぶりがギャップとして魅力。名作ゲームの実況やライトノベルのレビュー動画がメインで、まだまだチャンネルの登録者数は多くないが、注目の一人だと思っている。
「ふぁ~あ。はふ……。なんか久々にオタ活したかも」
男子だった頃より自由な時間が減った気がするのは……単純に高校生が忙しいから、だろうか。ライトノベルや漫画を読む時間はめっきり減ったし、アニメもほとんど見ていない。まぁ、アニメで盛り上がる友達がいないから、というのもあるけれど。ネノちゃんの新着動画を見終えると、SNSをチェックしてパソコンを閉じる。
同級生からはちょっと驚かれるがボクはSNSをやっていない。チャットアプリはあるけれど、自ら発信するタイプのものは手を着けていない。希名子ちゃんはお店のSNS宣伝を一挙に引き受けているそうだし、明音さんと初美さんは日記みたいにSNSを使っているらしい。芸能人じゃなくても、その日のコーディネートをSNS上にアップして、インフルエンサーになる人がいるらしい。
「Vの者のネット上のやりとりも面白いし……いっそアカウント作っちゃおうかな……?」
鍵をかけておけばいいわけだし、コスプレとかにも興味あるし……。そっか、オタク友達が欲しいのかも。
麻琴はライト層でアニメはたまに見るけど、コスプレとか同人には興味ないし……明音さんと初美さんもそんな感じ、もなかちゃんとはそういう話したことないな……。
「うーん、取り敢えずお姉ちゃんに相談してみようかな」
お姉ちゃんは大学生になってからSNSを始めて、大学の友達とのやり取りに使っているらしい。春休みの昼夜逆転生活も終わり、部屋をノックすると普通に返事があった。
「なしたの?」
「あぁ、うん。その、これ……始めようかなって思って」
SNSのアカウント作成画面を見せながら話す。姉の説明を聞きながら、必要事項を入力していく。電話番号とメールアドレスを入力すると、ショートメールで番号が送られてきて、それを入力することで承認されアカウントが無事に作成された。
「取り敢えずあとは好きに使うといいよ。ただ、えっちな写真は載せちゃダメだよ」
「わ、分かってるよ!!」
そもそも鍵かけるつもりだし。オススメされたアカウントからいくつかフォローし、一度スマホの画面を消す。これでいつもはパソコンでやっていた情報収集がスマホで出来る。作ってしまえばあっけないものだ。何をそこまでビビってたんだろう。
「面白いレシピをアップしているアカウントとかもあるから、見てみたら?」
「前にテレビで見たかも。140字レシピでしょう?」
「それそれ」
そろそろお昼ご飯を作るからと姉も連れて一階に降りる。昨日のご飯を使ってオムライスにしよう。お姉ちゃんの好物だし。
「悠希の見た目なら普通のレシピで料理を作って配信するだけで人気になりそうだよねぇ」
「やるならいっそVの者がいいよ」
そんな会話をしながら、てきぱきと調理を進めていく。
「将来の夢が動画配信者っていう子供が多いらしいね」
「あぁ、聞くよね。動画の編集ってすごく大変らしいけどね。稼げる人は生身もVも一握りだし、ボクはどうせなら人のためになる仕事がいいかな。コックとか栄養士とか。まぁ、動画配信者もエンターテイナーなわけで、人のためになる仕事なのかもしれないけど」
「直接、人と関わる仕事がいいよね」
お姉ちゃんにケチャップライスを任せながら、オムレツを焼きつつデミグラスソースを加熱する。三ツ口コンロが大活躍だ。
「お姉ちゃんは卒業したら何やるの?」
「うーん、まぁ、アイドル系のプロダクションで勤めたいかなぁ。世界を股にかけるキャリアウーマンになりたい」
姉の夢というより野望を聞きながら、休日の昼下がりはゆっくりとした時間が過ぎていった。
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