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二学期といえば文化祭だよね
#45 新学期事件(2)
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始業式での校長先生の話しはあまり覚えていないけれど、夏休みにあった様々な大会の結果を表彰していたのは覚えている。だって、初美さんが壇上にいたのだから。一年生ながらも、レギュラーとして活躍しているらしい。ちなみに、生徒会長の挨拶は佐原さんの担当なため、実村先輩の姿を見ることはなかった。
教室へ戻ると、課題を集められた。麻琴もきちんと提出できたようで、一安心といったとこか。初美さんが若干、提出できていないようで、副担の石川先生に頭を下げていた。数学の課題を忘れたのだろうか。明音さんに写させてもらえばいいのに……。ま、大会で忙しかったんだろうなぁ。
「はい、じゃあ今日は解散だ。車に気を付けて帰れよ」
夏バテ気味なのか、気だるげな村瀬先生の挨拶で解散となった。でも、
「村瀬先生、実村先輩は生徒会室にいますか?」
ボク達には用事があるのだ。この村瀬先生、他の先生からの信頼が意外と篤く、生徒会の担当教師でもある。ま、あまり仕事はないらしいが。それほどに、実村先輩が有能なようだ。とはいえ、もう生徒会長じゃないから、帰っている可能性もある。
「ぁあ? あぁ、アイツらなら……いるだろう。そろそろ学園祭もあるからな。三年は二年のサポートに入りつつ、生徒会長としての心得を示していくもんだからな」
あ、もうそんな時期なんだ……。鍵宮の学園祭は10月に行われ、二日間の文化の部と一日限りの体育の部があるのだ。体育の部を体育の日に行うため、必然的に文化の部は土日にあたる。開催まで二ヶ月を切った。忙しいのだろうけど……よし!
「麻琴、行こう!」
「OK! 村瀬先生、さよならっ」
教室を後にして、ボクと麻琴は生徒会室へ向かった。教室棟である南校舎の三階、階段を昇った真正面に生徒会室は位置する。何故か取り付けてあるインターホンを押してみる。いたって平凡なベルの音が鳴り、扉を開けたのは先輩本人だった。
「おや、いらっしゃい。執行部に加わりたいのかな?」
先輩の第一印象は、とっても綺麗な人……というものだった。生徒会選挙の時は遠くからであったけど、間近で見るとその印象はますます強くなる。麻琴と同じくらいスラッとしていて、白い肌は新月の夜のような髪と絶妙な対比になっている。切れ長の瞳も相まって、和服の似合いそうな人だ。胸元も含めて、とか言ったら失礼だね。
「いえ、本日は……先輩に用がありまして」
ボクが会長を観察している間に、麻琴が話を進めだした。
「分かっているさ。場所を変えよう。二人ともちょっと来てくれ」
移動した先は使われていない空き教室。机すらないここで、ボクらは対面する。
「つい二人ともと言ってしまったが、私は姫宮と直接話をしたいのだがな」
「取り敢えず聞いてください。あたしと悠希はお互いに、なくてはならない存在です。つまり、悠希はあたし以外の人の想いに応えられないのです。だから、先輩……ごめんなさい!!」
普段以上に好き放題を言う麻琴に、ツッコミを入れたくなったが、入れたら状況が悪くなるのは明らかだ。流れに委ねるんだ。
「そうなんです。だから……実村先輩、ごめんなさい!」
麻琴に倣ってボクも頭を下げる。……もしボクが男性の状態で、先輩に告白されたら……なんて一瞬、考えたけれどこんな状況にならなければそもそも出会いもしなかっただろう。
「時間を取らせてすまなかった。私も女の子が好きということで悩んだ経験があってな。今は吹っ切れて堂々と君に惚れる程なのだが。そうか、君たちはもう……。うむ、幸せになってくれよな」
竹を割ったような、さっぱりとかつ毅然としたその姿は、ボク達には辿り着けない程の美しさを放っていた。
教室へ戻ると、課題を集められた。麻琴もきちんと提出できたようで、一安心といったとこか。初美さんが若干、提出できていないようで、副担の石川先生に頭を下げていた。数学の課題を忘れたのだろうか。明音さんに写させてもらえばいいのに……。ま、大会で忙しかったんだろうなぁ。
「はい、じゃあ今日は解散だ。車に気を付けて帰れよ」
夏バテ気味なのか、気だるげな村瀬先生の挨拶で解散となった。でも、
「村瀬先生、実村先輩は生徒会室にいますか?」
ボク達には用事があるのだ。この村瀬先生、他の先生からの信頼が意外と篤く、生徒会の担当教師でもある。ま、あまり仕事はないらしいが。それほどに、実村先輩が有能なようだ。とはいえ、もう生徒会長じゃないから、帰っている可能性もある。
「ぁあ? あぁ、アイツらなら……いるだろう。そろそろ学園祭もあるからな。三年は二年のサポートに入りつつ、生徒会長としての心得を示していくもんだからな」
あ、もうそんな時期なんだ……。鍵宮の学園祭は10月に行われ、二日間の文化の部と一日限りの体育の部があるのだ。体育の部を体育の日に行うため、必然的に文化の部は土日にあたる。開催まで二ヶ月を切った。忙しいのだろうけど……よし!
「麻琴、行こう!」
「OK! 村瀬先生、さよならっ」
教室を後にして、ボクと麻琴は生徒会室へ向かった。教室棟である南校舎の三階、階段を昇った真正面に生徒会室は位置する。何故か取り付けてあるインターホンを押してみる。いたって平凡なベルの音が鳴り、扉を開けたのは先輩本人だった。
「おや、いらっしゃい。執行部に加わりたいのかな?」
先輩の第一印象は、とっても綺麗な人……というものだった。生徒会選挙の時は遠くからであったけど、間近で見るとその印象はますます強くなる。麻琴と同じくらいスラッとしていて、白い肌は新月の夜のような髪と絶妙な対比になっている。切れ長の瞳も相まって、和服の似合いそうな人だ。胸元も含めて、とか言ったら失礼だね。
「いえ、本日は……先輩に用がありまして」
ボクが会長を観察している間に、麻琴が話を進めだした。
「分かっているさ。場所を変えよう。二人ともちょっと来てくれ」
移動した先は使われていない空き教室。机すらないここで、ボクらは対面する。
「つい二人ともと言ってしまったが、私は姫宮と直接話をしたいのだがな」
「取り敢えず聞いてください。あたしと悠希はお互いに、なくてはならない存在です。つまり、悠希はあたし以外の人の想いに応えられないのです。だから、先輩……ごめんなさい!!」
普段以上に好き放題を言う麻琴に、ツッコミを入れたくなったが、入れたら状況が悪くなるのは明らかだ。流れに委ねるんだ。
「そうなんです。だから……実村先輩、ごめんなさい!」
麻琴に倣ってボクも頭を下げる。……もしボクが男性の状態で、先輩に告白されたら……なんて一瞬、考えたけれどこんな状況にならなければそもそも出会いもしなかっただろう。
「時間を取らせてすまなかった。私も女の子が好きということで悩んだ経験があってな。今は吹っ切れて堂々と君に惚れる程なのだが。そうか、君たちはもう……。うむ、幸せになってくれよな」
竹を割ったような、さっぱりとかつ毅然としたその姿は、ボク達には辿り着けない程の美しさを放っていた。
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