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幕間 ゴールデンウィーク編
#23 お出かけしよう
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連休の初日と二日目で課題を終わらせたボクは家でのんびりと過ごしていた。四月も終わり、今日は五月一日。読んでるファッション誌ではもう夏のコーディネートが紹介されている。デザイナーである母のところに、献本が届くのだ。お母さんにそれを渡されているから、本屋さんでもファッション誌は買わない。女の子になってからの習慣と化したファッション誌を眺める時間もけっこう大事だ。流行はさておき、可愛い服の組み合わせを模索するのはなかなか楽しい時間でもあるし。
最低限購入を決心した服に目印をつけていると、枕元に置いてあるスマホが鳴りだした。頻繁に着信の来る人には、それぞれに固有のメロディを設定しているので、誰からなのかすぐに分かる。威風堂々の場合は……麻琴からだ。お互いスマホなのにメッセージより電話をしてくる。ボクがまだガラケーだった時のくせだろうか。
「もしもし。何の用?」
「なんか冷たいな……まあいいや。明日さ、デート行こうぜ」
ツーツーツー
切った。電話を。何をほざくんだ……むしろ何故にボクはドキドキしているんだ……。いくら麻琴がボクのことを好きだからって、別にそれを意識する必要なんてないだろう? 自問自答を繰り広げているうちに、再びスマホが着信を告げる。
「切るこたないだろ!?」
「悪かったわね……。いいわよ……行く。どこにするの?」
「あそこ……。ほら……アウトレット!!」
ちょっと遠いな……。まぁ、行くって言っちゃったけど……。
「分かったわ。他の皆には、ボクから誘ってみる」
主に明音さんや初美さん、千歳ちゃんやもなかちゃんかな。研修のお疲れ様会にするのもいいかな。
「二人っきりじゃないのか……気にしないけどね。つかあたしハーレムじゃん!! 大丈夫、悠希が正妻だから!!」
「うるさいうるさいうるさーい!! 何がハーレムよ!? もう……おやすみ……」
うぅ……なにを考えているのよ……ボクは……。そもそも、麻琴は"僕"に好きだと言ってくれた――この際、その直後のことは気にしない――なのに、"僕"は何処に行ってしまったのだろう……。でも、麻琴は今のボクも……あぁ分かんないよ。ベッドに仰向けになり、照明に手をかざしてみる。陰になっても分かる程の白磁のような白くて小さな手……元から女爪だったが、より小さくキレイになった爪……どれもが磨き抜かれた美少女のもので、"今の自分"であるボクの一部だ。ふぅ……今さら考えたって戻れる道理なんてない。人生は流れを読んで、いかに流れに沿えるかが分かれ目だ。流されたって……いいじゃないか……。うん、それでいいんだ。グループLINEだともなかちゃんがいないから、個別にメッセージを送り、明音さんと初美さんからは来るという返信を受け取った。千歳ちゃんともなかちゃんは忙しいようだ。それからボクはクローゼットの扉を開けて、明日ほ服選びに取りかかった。なによりも明日の服選びだ。明日は天気予報では行楽日和の晴天で気温もそれなりに上がるらしい。もう半袖の時期だろう。
「これに……これで……。よし、決まり!!」
翌朝の午前9時過ぎ、ボク達四人は駅のホームにて電車を待っていた。麻琴が遅刻したせいで乗る筈の電車を逃したのだ。そんな訳で麻琴の奢りでアイスを食べている。
「にしても、今日の悠希は可愛いな」
麻琴が今日何度目か分からない一言を発した。
今日のボクの格好は淡い水色のワンピースに白いカーディガンを重ねている。ちなみに顔はすっぴん。一方の麻琴はパンツスタイルで、長い脚が一段と長く見える。当然ながらプレゼンティッドbyボク。初美さんも似たような感じで、スレンダーな体型に非常に似合った服装になっている。驚いたのは明音さんの格好だ。白くてふわふわとレースに飾られた……いわゆるロリータファッションなのだ。いや、似合ってる。超似合ってる。着ている本人のキャラもふわふわとしているし。って、そうじゃなくて……熱が籠りそうだからちょっと心配になったのだ。
電車の中ではお互いの部活での話をした。部活で広がる交友関係っていいよね。ボク以外の三人は運動部なので、そこは少しだけ疎外感を感じる。そんな中で筋トレの話を始めようとした麻琴には呆れた。あからさまに不服そうな顔をしたら明音さんが気付いて筋トレの話は終了した。普段はユルいけど、さすが学年主席だ。気配りができてる。休日とはいえ、地方の在来線の乗車率なんてたかが知れてる。ちょっぴり声は大きかったけど、いっぱい笑っているうちに小一時間の電車の旅は終わりを告げた。
やってきたアウトレットは隣接する市のど真ん中にあり、交通の便は非常にいい。しかし、
「流石に盆地だわ……。暑い……」
四方を山に囲まれた盆地故の暑さ……取り敢えず私はカーディガンを脱いだ。初美さんから羨ましそうな呟きが聞こえたが気にしない。女子だけだからって露出度高過ぎるのかな? 日焼け止め塗った方がよかったかも。でもそんなこと気にしてられない。こういうのは張り切っていかないとね!
「さぁて、買い物しよっか!!」
最低限購入を決心した服に目印をつけていると、枕元に置いてあるスマホが鳴りだした。頻繁に着信の来る人には、それぞれに固有のメロディを設定しているので、誰からなのかすぐに分かる。威風堂々の場合は……麻琴からだ。お互いスマホなのにメッセージより電話をしてくる。ボクがまだガラケーだった時のくせだろうか。
「もしもし。何の用?」
「なんか冷たいな……まあいいや。明日さ、デート行こうぜ」
ツーツーツー
切った。電話を。何をほざくんだ……むしろ何故にボクはドキドキしているんだ……。いくら麻琴がボクのことを好きだからって、別にそれを意識する必要なんてないだろう? 自問自答を繰り広げているうちに、再びスマホが着信を告げる。
「切るこたないだろ!?」
「悪かったわね……。いいわよ……行く。どこにするの?」
「あそこ……。ほら……アウトレット!!」
ちょっと遠いな……。まぁ、行くって言っちゃったけど……。
「分かったわ。他の皆には、ボクから誘ってみる」
主に明音さんや初美さん、千歳ちゃんやもなかちゃんかな。研修のお疲れ様会にするのもいいかな。
「二人っきりじゃないのか……気にしないけどね。つかあたしハーレムじゃん!! 大丈夫、悠希が正妻だから!!」
「うるさいうるさいうるさーい!! 何がハーレムよ!? もう……おやすみ……」
うぅ……なにを考えているのよ……ボクは……。そもそも、麻琴は"僕"に好きだと言ってくれた――この際、その直後のことは気にしない――なのに、"僕"は何処に行ってしまったのだろう……。でも、麻琴は今のボクも……あぁ分かんないよ。ベッドに仰向けになり、照明に手をかざしてみる。陰になっても分かる程の白磁のような白くて小さな手……元から女爪だったが、より小さくキレイになった爪……どれもが磨き抜かれた美少女のもので、"今の自分"であるボクの一部だ。ふぅ……今さら考えたって戻れる道理なんてない。人生は流れを読んで、いかに流れに沿えるかが分かれ目だ。流されたって……いいじゃないか……。うん、それでいいんだ。グループLINEだともなかちゃんがいないから、個別にメッセージを送り、明音さんと初美さんからは来るという返信を受け取った。千歳ちゃんともなかちゃんは忙しいようだ。それからボクはクローゼットの扉を開けて、明日ほ服選びに取りかかった。なによりも明日の服選びだ。明日は天気予報では行楽日和の晴天で気温もそれなりに上がるらしい。もう半袖の時期だろう。
「これに……これで……。よし、決まり!!」
翌朝の午前9時過ぎ、ボク達四人は駅のホームにて電車を待っていた。麻琴が遅刻したせいで乗る筈の電車を逃したのだ。そんな訳で麻琴の奢りでアイスを食べている。
「にしても、今日の悠希は可愛いな」
麻琴が今日何度目か分からない一言を発した。
今日のボクの格好は淡い水色のワンピースに白いカーディガンを重ねている。ちなみに顔はすっぴん。一方の麻琴はパンツスタイルで、長い脚が一段と長く見える。当然ながらプレゼンティッドbyボク。初美さんも似たような感じで、スレンダーな体型に非常に似合った服装になっている。驚いたのは明音さんの格好だ。白くてふわふわとレースに飾られた……いわゆるロリータファッションなのだ。いや、似合ってる。超似合ってる。着ている本人のキャラもふわふわとしているし。って、そうじゃなくて……熱が籠りそうだからちょっと心配になったのだ。
電車の中ではお互いの部活での話をした。部活で広がる交友関係っていいよね。ボク以外の三人は運動部なので、そこは少しだけ疎外感を感じる。そんな中で筋トレの話を始めようとした麻琴には呆れた。あからさまに不服そうな顔をしたら明音さんが気付いて筋トレの話は終了した。普段はユルいけど、さすが学年主席だ。気配りができてる。休日とはいえ、地方の在来線の乗車率なんてたかが知れてる。ちょっぴり声は大きかったけど、いっぱい笑っているうちに小一時間の電車の旅は終わりを告げた。
やってきたアウトレットは隣接する市のど真ん中にあり、交通の便は非常にいい。しかし、
「流石に盆地だわ……。暑い……」
四方を山に囲まれた盆地故の暑さ……取り敢えず私はカーディガンを脱いだ。初美さんから羨ましそうな呟きが聞こえたが気にしない。女子だけだからって露出度高過ぎるのかな? 日焼け止め塗った方がよかったかも。でもそんなこと気にしてられない。こういうのは張り切っていかないとね!
「さぁて、買い物しよっか!!」
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