6 / 83
不本意ながら花の女子校生です
#6 初登校です
しおりを挟む
お母さんによる修行が始まって二週間が経った。いよいよ、新学期である。
ボクは新品のブレザーに腕を通し、リボンタイを正す。指定カバンに持ち物は全て入れてある。後は、カバンのポケットにケータイをしまい、櫛や絆創膏をブレザーの内ポケットに入れる。
「よし! 準備万端だね」
ちなみに、ケータイには中学時代の男子友達のアドレスがかなり入っていたので、お母さんの指示で機種変更。ついでと言ってはいけないが、スマホに新調することになった。前々から欲しかったから嬉しいのだが……家族と麻琴のアドレスしかないケータイに一抹の寂しさを感じるのは……仕方ないよね。買い換えて一週間しか経っていないので扱いなれていないのだが。
この二週間で家族への呼び方というのも改め、母さんがお母さんになった。姉ちゃんもお姉ちゃんになった、と。基本的に丁寧な言葉遣いを心がけるようにしているし、身だしなみや立ち居振る舞いも、お母さんに徹底的に教え込まれた。あとは力が弱くなってしまったので、重いフライパンを効率的に持つ方法だったり、小柄になった身体に慣れたりと、思いのほか忙しい日々を過ごした。あと、一人称だけは可愛いからと、ボクで通すこととなった。イントネーションが少し僕とは違うらしい。まぁ、ボクはボクでも構わないけど。
「それでは、行ってきます」
玄関を開け高校生としての第一歩を踏み出そうとするのだが……。
「おはよう悠希!! 朝から美人さんなんだから!!」
麻琴の様子が奇っ怪だ……。こんなことをする女の子じゃなかった筈だが……。
「久々ね、悠希と外で話すのは……。二週間も家で缶詰になっていたのね……。思わず缶切りを探しちゃったよ」
麻琴に悠希と呼ばれると、つい昔みたいな振る舞いをしてしまう。
「メールで私のことをユウちゃんって呼んでって伝えてあるはずよ?」
なので、なんか無難なあだ名を付けることで対策しようとしたのだが……当人が使おうとしないのだ。
「どんなことがあっても、悠希と同じ学校っていうのは嬉しいね。しかも、陸上部で成果を上げれば学費免除でしょ? 堪らんねぇ。あ、星鍵に進んだ同級生っていないから、悠希と違うクラスだったら嫌だなぁ」
まあ……それは認める。ていうか話聞かないなぁ。
「にしても制服似合うなぁ。こう、チェック柄のスカートから覗く足がさぁたまらんなぁ! ちゃんとパンツ穿いてるかぁ~?」
「スカート捲らない!! やめてよ……本当に。ていうか、穿いてるからね!!」
まさか麻琴からセクハラを受ける日々を送るなんて、考えてもいなかった……。何度も迫る魔の手をかわしながらの登校。朝からテンションの下がり幅がひどいな……折角の高校生活なのに。まあ、図らずも花の女子高生としてですが。
ボク達の通うことになる星鍵女学園高等部は進学率こそそれほど高くはないが制服も可愛く、校舎も新しいので志願者数はそれなりに多い。……そんな学校に二人もねじ込んでしまう母のコネクションって凄い。意外と風格のある校門を抜け、テニスコート沿いの窓に貼られたクラス分けの紙を遠目から見て名前を探す………あ、
「麻琴。幸か不幸か同じクラスよ」
それはストレートに幸せって言ってよ!! なんて言っちゃう麻琴をスルーして教室へ向かう。なんとなくソワソワした雰囲気とこちらへの視線を感じた。座席表を見ながら着席する……。ボクの前には麻琴が着席した。それは奇しくも初めて麻琴と出会った時と同じだった。
ボクは新品のブレザーに腕を通し、リボンタイを正す。指定カバンに持ち物は全て入れてある。後は、カバンのポケットにケータイをしまい、櫛や絆創膏をブレザーの内ポケットに入れる。
「よし! 準備万端だね」
ちなみに、ケータイには中学時代の男子友達のアドレスがかなり入っていたので、お母さんの指示で機種変更。ついでと言ってはいけないが、スマホに新調することになった。前々から欲しかったから嬉しいのだが……家族と麻琴のアドレスしかないケータイに一抹の寂しさを感じるのは……仕方ないよね。買い換えて一週間しか経っていないので扱いなれていないのだが。
この二週間で家族への呼び方というのも改め、母さんがお母さんになった。姉ちゃんもお姉ちゃんになった、と。基本的に丁寧な言葉遣いを心がけるようにしているし、身だしなみや立ち居振る舞いも、お母さんに徹底的に教え込まれた。あとは力が弱くなってしまったので、重いフライパンを効率的に持つ方法だったり、小柄になった身体に慣れたりと、思いのほか忙しい日々を過ごした。あと、一人称だけは可愛いからと、ボクで通すこととなった。イントネーションが少し僕とは違うらしい。まぁ、ボクはボクでも構わないけど。
「それでは、行ってきます」
玄関を開け高校生としての第一歩を踏み出そうとするのだが……。
「おはよう悠希!! 朝から美人さんなんだから!!」
麻琴の様子が奇っ怪だ……。こんなことをする女の子じゃなかった筈だが……。
「久々ね、悠希と外で話すのは……。二週間も家で缶詰になっていたのね……。思わず缶切りを探しちゃったよ」
麻琴に悠希と呼ばれると、つい昔みたいな振る舞いをしてしまう。
「メールで私のことをユウちゃんって呼んでって伝えてあるはずよ?」
なので、なんか無難なあだ名を付けることで対策しようとしたのだが……当人が使おうとしないのだ。
「どんなことがあっても、悠希と同じ学校っていうのは嬉しいね。しかも、陸上部で成果を上げれば学費免除でしょ? 堪らんねぇ。あ、星鍵に進んだ同級生っていないから、悠希と違うクラスだったら嫌だなぁ」
まあ……それは認める。ていうか話聞かないなぁ。
「にしても制服似合うなぁ。こう、チェック柄のスカートから覗く足がさぁたまらんなぁ! ちゃんとパンツ穿いてるかぁ~?」
「スカート捲らない!! やめてよ……本当に。ていうか、穿いてるからね!!」
まさか麻琴からセクハラを受ける日々を送るなんて、考えてもいなかった……。何度も迫る魔の手をかわしながらの登校。朝からテンションの下がり幅がひどいな……折角の高校生活なのに。まあ、図らずも花の女子高生としてですが。
ボク達の通うことになる星鍵女学園高等部は進学率こそそれほど高くはないが制服も可愛く、校舎も新しいので志願者数はそれなりに多い。……そんな学校に二人もねじ込んでしまう母のコネクションって凄い。意外と風格のある校門を抜け、テニスコート沿いの窓に貼られたクラス分けの紙を遠目から見て名前を探す………あ、
「麻琴。幸か不幸か同じクラスよ」
それはストレートに幸せって言ってよ!! なんて言っちゃう麻琴をスルーして教室へ向かう。なんとなくソワソワした雰囲気とこちらへの視線を感じた。座席表を見ながら着席する……。ボクの前には麻琴が着席した。それは奇しくも初めて麻琴と出会った時と同じだった。
0
お気に入りに追加
77
あなたにおすすめの小説
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
隣の席の女の子がエッチだったのでおっぱい揉んでみたら発情されました
ねんごろ
恋愛
隣の女の子がエッチすぎて、思わず授業中に胸を揉んでしまったら……
という、とんでもないお話を書きました。
ぜひ読んでください。
女子高生は卒業間近の先輩に告白する。全裸で。
矢木羽研
恋愛
図書委員の女子高生(小柄ちっぱい眼鏡)が、卒業間近の先輩男子に告白します。全裸で。
女の子が裸になるだけの話。それ以上の行為はありません。
取って付けたようなバレンタインネタあり。
カクヨムでも同内容で公開しています。
3年振りに帰ってきた地元で幼馴染が女の子とエッチしていた
ねんごろ
恋愛
3年ぶりに帰ってきた地元は、何かが違っていた。
俺が変わったのか……
地元が変わったのか……
主人公は倒錯した日常を過ごすことになる。
※他Web小説サイトで連載していた作品です
妹の作った謎薬でTSした僕を幼馴染の双子兄妹が狙っている。
楠富 つかさ
キャラ文芸
異世界帰りの妹が作った錬金薬で女体化してしまった主人公、そんな主人公には幼馴染が二人いて……
性転換する前の主人公に好意を抱いていた女子と、性転換後の主人公に好意を抱く男子、そんな三角関係のTSラブコメです。
※表紙イラストはAI生成による主人公のイメージ画像です。美少女がちょっと少年みたいな動作をしているそんな感じ。
[完結済み]男女比1対99の貞操観念が逆転した世界での日常が狂いまくっている件
森 拓也
キャラ文芸
俺、緒方 悟(おがた さとる)は意識を取り戻したら男女比1対99の貞操観念が逆転した世界にいた。そこでは男が稀少であり、何よりも尊重されていて、俺も例外ではなかった。
学校の中も、男子生徒が数人しかいないからまるで雰囲気が違う。廊下を歩いてても、女子たちの声だけが聞こえてくる。まるで別の世界みたいに。
そんな中でも俺の周りには優しいな女子たちがたくさんいる。特に、幼馴染の美羽はずっと俺のことを気にかけてくれているみたいで……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる