3 / 10
#2 桜並木で彼女は煌めく
しおりを挟む
俺たちが通うのは県立快晴館高校。私立みたいな名前だが公立の学校だ。公立の共学校が女子校を併合して誕生した名前だけは新しい学校。東隣に位置する空の宮市が大きな女子校を擁していることもあり、快晴館を含む近隣の公立高は男子がちょっと多め。寿理が変な男に目をつけられないか心配だ。
「私、てっきり寿理ちゃんは星花を受けるかと思ってたよ。お勉強できるし」
「だってお兄ちゃんと別々の学校行くとか考えられないし。あと、私立は高いよ」
「まぁ、ぶっちゃけ近いからな。快晴館」
俺たちが住んでいるのが橋立市の東より。快晴館の校舎は旧東校をそのまま使っているから、徒歩圏内なのだ。それが本当に助かる。自転車ならまだしも、バスや電車での通学おなったら節約重視な我が家には重い負担になる。
「お兄ちゃんが違う学校だったら、お兄ちゃんと同じ学校にしたよ? 暁海ちゃんだってそうでしょう?」
「え? 私は……まあ、近かったからかな? それこそ寿杜がミカガクに行ってたら寿理ちゃんはどうするつもりだったの?」
「いやいやいや、県内屈指の進学校だよ? 多少は勉強できると言ってもお兄ちゃんじゃ無理だよ」
……寿理はブラコンのわりに俺に甘いわけじゃないんだよな。全肯定系ではない。いや、そこもまぁ……寿理らしさなんだろうけど。
ミカガクは寿理が言った通り県内屈指の進学率を誇る男子校。異性という誘惑を断ち切って勉学に励む実直な男子が多いというイメージがほんのりあるが、そこに進学した悪友からモテモテで困るというメッセージが送られてきたことが気がかりだ。どういうことなんだ……。
「ほら、もう着くぞ」
公立高校のいたって普通の門に、その景色から浮いてしまうほどの美貌を誇る少女がもたれていた。桜並木の日本らしい景色とは好対照の金髪が春風になびいている。
「人を待たせるとは無礼千万!! まったく、新入生たちに見られて凄く恥ずかしかったのよ!?」
「なんで貴女がここにいるんですか? 別に待たせた覚えもありませんし、さっさと教室に行けばいいではないですか!?」
正門の側で俺たちを待っていた少女に噛みつく我が妹……。俺たちを待っていたのは同級生の新郷夜空。北欧系のクォーターで母親やその両親と同じプラチナブロンドと碧眼。中学の授業で金髪碧眼は潜性の遺伝だと聞いた気がするが、そんなのおかまいなしだ。それに金髪碧眼のクォーターなんてまさにラノベっぽいじゃないか。スペンサーとかそういう系のミドルネームでもあれば尚更なのだが。
日本人離れした容姿がきちんと似合う、まさに万人が認める美少女だろう。上の上なんて表現じゃ甘い、特上クラスの美少女。その碧眼が俺を真っ直ぐ射貫く。光の加減によっては両目の色が異なって見えるそれは彼女の特徴で大きな魅力だ。
「どうしてこんな煩いのが初野寿杜の妹なのかしらね?」
「なにおぅ? そっちこそガチャガチャした髪型しよってからに!!」
ガチャガチャした髪型……まぁ、夜空は(個人的な偏見を多分に含むが)お嬢様の代名詞とも言うべき縦ロールに髪を巻いているのだ。まぁ、現実的な公立高としては金髪とか華美な髪型はちょっと……と言いたいところなのだろうが、夜空の場合は金髪が地毛だし、髪型も似合いすぎて誰も何も言えないのだ。おっと、寿理が例外中の例外か。
まぁ、そんな首から上だけでもかなり派手で目立つというのに、他の生徒とは別格のお嬢様オーラを放っているのだから、昨日入学式を終えたばかりで不慣れな新入生がついつい見てしまうのも当然だろう。
加えて夜空はスタイルまでいいから男女問わず釘付けになってしまうのだろう。一般的なブレザータイプの制服をぐっと押し上げる膨らみは、それだけである種コスプレっぽさすら出てしまう規格外のサイズ感だ。寿理が水雷艇なら暁海が後期型の駆逐艦、夜空にいたってはビッグセブンとかそういうレベルだ。まさに超弩級。俺も人並に欲求はあるし、大きいことはいいことだと思う。が、それはそれこれはこれな部分もあって……。
春休みの間、少し堕落した生活になっていたなんてメッセもあったが、ウエストはきゅっと引き締まっていて、手足はすらっとしている。普段がどれだけストイックな生活をしているのやら。
肌の色も白いが決して不健康な感じはしない。むしろ本人と溌剌とした雰囲気で輝いているようだ。去年一年で遠巻きとはいえ多くの人を魅了し、密かにファンクラブまであるとウワサだ。なんだかドMの集いらしいから接触は避けたいところだ。
そんな彼女が俺なんかと懇意にしているのは、去年あった様々なトラブルの結果なのだが今は割愛しておこう。ただまあ、寿理とは波長が合わないようで会う度に啀み合っている。初対面は確か去年の夏休みだったかな。暁海以外の女子が我が家に来たことが初めてということもあり、けっこうギスギスした。そもそも寿理は巨乳に風当たりが強いからな。ラノベヒロインでも巨乳キャラは絶対推さないくらいだし。
最初のうちは俺も暁海も仲裁に挑んだのだが、最近ではすっかり諦めモードだ。
「もういいです。先に教室行きますから。またね、お兄ちゃん」
「ふふ、わたくしの価勝ちですわ!」
まったく、何の勝負をしているのやら。
「わたくしたちも行くわよ。ほら初野寿杜! ついでに双葉暁海も!」
人をフルネームで呼ぶクセ、ちょっと直して欲しいんだよなぁ。ま、取り敢えず俺の物語の主要な登場人物はこんな感じだ。クセが強いキャラばっかりだが、それが楽しいのだ。今はそれでいいんだ。
「私、てっきり寿理ちゃんは星花を受けるかと思ってたよ。お勉強できるし」
「だってお兄ちゃんと別々の学校行くとか考えられないし。あと、私立は高いよ」
「まぁ、ぶっちゃけ近いからな。快晴館」
俺たちが住んでいるのが橋立市の東より。快晴館の校舎は旧東校をそのまま使っているから、徒歩圏内なのだ。それが本当に助かる。自転車ならまだしも、バスや電車での通学おなったら節約重視な我が家には重い負担になる。
「お兄ちゃんが違う学校だったら、お兄ちゃんと同じ学校にしたよ? 暁海ちゃんだってそうでしょう?」
「え? 私は……まあ、近かったからかな? それこそ寿杜がミカガクに行ってたら寿理ちゃんはどうするつもりだったの?」
「いやいやいや、県内屈指の進学校だよ? 多少は勉強できると言ってもお兄ちゃんじゃ無理だよ」
……寿理はブラコンのわりに俺に甘いわけじゃないんだよな。全肯定系ではない。いや、そこもまぁ……寿理らしさなんだろうけど。
ミカガクは寿理が言った通り県内屈指の進学率を誇る男子校。異性という誘惑を断ち切って勉学に励む実直な男子が多いというイメージがほんのりあるが、そこに進学した悪友からモテモテで困るというメッセージが送られてきたことが気がかりだ。どういうことなんだ……。
「ほら、もう着くぞ」
公立高校のいたって普通の門に、その景色から浮いてしまうほどの美貌を誇る少女がもたれていた。桜並木の日本らしい景色とは好対照の金髪が春風になびいている。
「人を待たせるとは無礼千万!! まったく、新入生たちに見られて凄く恥ずかしかったのよ!?」
「なんで貴女がここにいるんですか? 別に待たせた覚えもありませんし、さっさと教室に行けばいいではないですか!?」
正門の側で俺たちを待っていた少女に噛みつく我が妹……。俺たちを待っていたのは同級生の新郷夜空。北欧系のクォーターで母親やその両親と同じプラチナブロンドと碧眼。中学の授業で金髪碧眼は潜性の遺伝だと聞いた気がするが、そんなのおかまいなしだ。それに金髪碧眼のクォーターなんてまさにラノベっぽいじゃないか。スペンサーとかそういう系のミドルネームでもあれば尚更なのだが。
日本人離れした容姿がきちんと似合う、まさに万人が認める美少女だろう。上の上なんて表現じゃ甘い、特上クラスの美少女。その碧眼が俺を真っ直ぐ射貫く。光の加減によっては両目の色が異なって見えるそれは彼女の特徴で大きな魅力だ。
「どうしてこんな煩いのが初野寿杜の妹なのかしらね?」
「なにおぅ? そっちこそガチャガチャした髪型しよってからに!!」
ガチャガチャした髪型……まぁ、夜空は(個人的な偏見を多分に含むが)お嬢様の代名詞とも言うべき縦ロールに髪を巻いているのだ。まぁ、現実的な公立高としては金髪とか華美な髪型はちょっと……と言いたいところなのだろうが、夜空の場合は金髪が地毛だし、髪型も似合いすぎて誰も何も言えないのだ。おっと、寿理が例外中の例外か。
まぁ、そんな首から上だけでもかなり派手で目立つというのに、他の生徒とは別格のお嬢様オーラを放っているのだから、昨日入学式を終えたばかりで不慣れな新入生がついつい見てしまうのも当然だろう。
加えて夜空はスタイルまでいいから男女問わず釘付けになってしまうのだろう。一般的なブレザータイプの制服をぐっと押し上げる膨らみは、それだけである種コスプレっぽさすら出てしまう規格外のサイズ感だ。寿理が水雷艇なら暁海が後期型の駆逐艦、夜空にいたってはビッグセブンとかそういうレベルだ。まさに超弩級。俺も人並に欲求はあるし、大きいことはいいことだと思う。が、それはそれこれはこれな部分もあって……。
春休みの間、少し堕落した生活になっていたなんてメッセもあったが、ウエストはきゅっと引き締まっていて、手足はすらっとしている。普段がどれだけストイックな生活をしているのやら。
肌の色も白いが決して不健康な感じはしない。むしろ本人と溌剌とした雰囲気で輝いているようだ。去年一年で遠巻きとはいえ多くの人を魅了し、密かにファンクラブまであるとウワサだ。なんだかドMの集いらしいから接触は避けたいところだ。
そんな彼女が俺なんかと懇意にしているのは、去年あった様々なトラブルの結果なのだが今は割愛しておこう。ただまあ、寿理とは波長が合わないようで会う度に啀み合っている。初対面は確か去年の夏休みだったかな。暁海以外の女子が我が家に来たことが初めてということもあり、けっこうギスギスした。そもそも寿理は巨乳に風当たりが強いからな。ラノベヒロインでも巨乳キャラは絶対推さないくらいだし。
最初のうちは俺も暁海も仲裁に挑んだのだが、最近ではすっかり諦めモードだ。
「もういいです。先に教室行きますから。またね、お兄ちゃん」
「ふふ、わたくしの価勝ちですわ!」
まったく、何の勝負をしているのやら。
「わたくしたちも行くわよ。ほら初野寿杜! ついでに双葉暁海も!」
人をフルネームで呼ぶクセ、ちょっと直して欲しいんだよなぁ。ま、取り敢えず俺の物語の主要な登場人物はこんな感じだ。クセが強いキャラばっかりだが、それが楽しいのだ。今はそれでいいんだ。
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
女子高生は卒業間近の先輩に告白する。全裸で。
矢木羽研
恋愛
図書委員の女子高生(小柄ちっぱい眼鏡)が、卒業間近の先輩男子に告白します。全裸で。
女の子が裸になるだけの話。それ以上の行為はありません。
取って付けたようなバレンタインネタあり。
カクヨムでも同内容で公開しています。
やわらかな春のぬくもりに
楠富 つかさ
恋愛
三度の飯とおっぱいが好き! そんなライト変態な女の子、小比類巻世知が一番好きなおっぱいは部活の先輩のおっぱい。おっぱいだけじゃなく、先輩のすべてが好きだけど、それを伝えたらきっともう触れられない。
本当はへたれな主人公と、優しく包んでくれる先輩の学園百合ラブコメ、開幕です!!
私を振ったあの子をレズ風俗で指名してみた。
楠富 つかさ
恋愛
女子大生、長谷部希は同級生の中原愛海に振られ、そのショックをサークルの先輩に打ち明けると、その先輩からレズ風俗に行くことを勧められる。
希は先輩に言われるがまま愛海の特徴を伝えると、先輩はこの嬢がいいのではと見せてきたその画面にいのは……中原愛海その人だった。
同級生二人がキャストとゲストとして過ごす時間……。
感情とおっぱいは大きい方が好みです ~爆乳のあの娘に特大の愛を~
楠富 つかさ
青春
落語研究会に所属する私、武藤和珠音は寮のルームメイトに片想い中。ルームメイトはおっぱいが大きい。優しくてボディタッチにも寛容……だからこそ分からなくなる。付き合っていない私たちは、どこまで触れ合っていんだろう、と。私は思っているよ、一線超えたいって。まだ君は気づいていないみたいだけど。
世界観共有日常系百合小説、星花女子プロジェクト11弾スタート!
※表紙はAIイラストです。
君との空に春を結んで
楠富 つかさ
恋愛
地方都市、空の宮市に位置する中高一貫の女子校『星花女子学園』で繰り広げられる恋模様。恋愛には人を変える力がある。良くも悪くも。
恋愛が好きな少女、五百旗頭文緒。相思相愛の恋愛に憧れ、告白されれば付き合うものの、その人を好きになれず長続きしないでいた。そんな彼女はある日、一人の少女に声をかける。
不思議な引力で惹かれ合う二人の少女が、青春の日々を赤い糸で結ぶ。
星花女子プロジェクト第6弾、始まります!!
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる