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12話
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風の刃と氷の礫でゴブリンジェネラルを牽制する。今の私の魔法じゃゴブリンジェネラルに痛打を与えることは難しい。でも、動きを制限することさえできれば――
「せりゃあ!」
和花ちゃんの剣閃がゴブリンジェネラルの肌を切り裂き、緑色の血が流れる。和花ちゃんの剣が一撃、二撃とゴブリンジェネラルを捉える。だが、手首を返して切り上げようとする和花ちゃんの剣にゴブリンジェネラルが剣を重ねてきた。膂力の差でつばぜり合いは和花ちゃんにとって分が悪い。バックステップで距離を空けようとするところに、私が火の魔法を放って援護する。
「助かる!」
和花ちゃんは距離を空けると、体勢を整えて今度は自分からゴブリンジェネラルに斬り込んでいく。低い姿勢から素早い剣撃がゴブリンジェネラルを追い詰める。ゴブリンジェネラルは防戦一方だ。和花ちゃんの剣はこの戦いの中でますます冴えわたってきている。攻撃も回避もよりシャープな動きでできるようになってきているように感じる。
「和花ちゃん!!」
ゴブリンジェネラルが振り下ろした剣を回避した先に、ゴブリンシャーマンが魔法で石の礫を放つ。私がそれを風魔法ではじき返す。
「ありがとう芽依!」
樹の上でタイミングを狙っていたのだろう、ゴブリンといえど戦略を練っている。私は氷の槍を生み出してゴブリンシャーマンを貫く。これまでの傾向として、ゴブリン族は火を苦手としているようだ。火魔法をより恐れるし、ゴブリンシャーマンも火の魔法を使ってくることはない。
「そろそろ決めないとね」
ゴブリンジェネラルと幾合か切り結んだ和花ちゃんは一旦後ろに飛んで距離を空け、剣を上段に構える。
「芽依、あれをやろう」
それは和花ちゃんが剣を、私が魔法を使えると分かってから時折練習していた連携技。ここまでの傾向から私は火の魔法を選んだ。和花ちゃんが上段に構えた剣に火の魔法が絡みつくように這う。剣が赤く染まり、和花ちゃんが裂帛の気合と共に踏み込む。
「はぁぁ! 魔法剣・焔ぁ!!」
ゴブリンジェネラルが剣でガードしようとするより先に、和花ちゃんの剣が炎とともにゴブリンジェネラルを斬る。
和花ちゃんの魔法剣・焔はゴブリンジェネラルを袈裟切りに両断していた。
「ふぅ、結構タフだったね」
和花ちゃんが私のところに戻ってくる。念のため剣は鞘に納めずにいるが、その顔は達成感に満ち溢れていた。
「うん、和花ちゃんお疲れさま」
和花ちゃんは満足げに微笑むと、その場にぺたりと座り込んでしまった。どうやら疲れてしまったらしい。無理もないだろう、あれだけの数のゴブリン相手に大立ち回りを演じていたのだから。私は和花ちゃんに肩を貸すと周囲を警戒しながら比較的形を保っている民家に入った。少しくらい休まないと、他の冒険者たちと合流するのも難しいだろう。
「少し休もうか」
「そうね。芽依、膝枕してくれる?」
「もちろん、おいで」
私は和花ちゃんの頭を膝に載せて、和花ちゃんの頭を優しく撫でる。警戒は怠らないけど、どうやらあのジェネラルがこのエリアの親玉だったのだろう。ゴブリンたちが闊歩する気配はない。
「休んだら、他の冒険者たちと合流しようね」
「うん……もう少し、斬りたい、から……」
まどろみながらも物騒なことを言う和花ちゃんの頭を再び優しく撫でる。その剣が魔物にだけ向き続けることを願いながら。
「せりゃあ!」
和花ちゃんの剣閃がゴブリンジェネラルの肌を切り裂き、緑色の血が流れる。和花ちゃんの剣が一撃、二撃とゴブリンジェネラルを捉える。だが、手首を返して切り上げようとする和花ちゃんの剣にゴブリンジェネラルが剣を重ねてきた。膂力の差でつばぜり合いは和花ちゃんにとって分が悪い。バックステップで距離を空けようとするところに、私が火の魔法を放って援護する。
「助かる!」
和花ちゃんは距離を空けると、体勢を整えて今度は自分からゴブリンジェネラルに斬り込んでいく。低い姿勢から素早い剣撃がゴブリンジェネラルを追い詰める。ゴブリンジェネラルは防戦一方だ。和花ちゃんの剣はこの戦いの中でますます冴えわたってきている。攻撃も回避もよりシャープな動きでできるようになってきているように感じる。
「和花ちゃん!!」
ゴブリンジェネラルが振り下ろした剣を回避した先に、ゴブリンシャーマンが魔法で石の礫を放つ。私がそれを風魔法ではじき返す。
「ありがとう芽依!」
樹の上でタイミングを狙っていたのだろう、ゴブリンといえど戦略を練っている。私は氷の槍を生み出してゴブリンシャーマンを貫く。これまでの傾向として、ゴブリン族は火を苦手としているようだ。火魔法をより恐れるし、ゴブリンシャーマンも火の魔法を使ってくることはない。
「そろそろ決めないとね」
ゴブリンジェネラルと幾合か切り結んだ和花ちゃんは一旦後ろに飛んで距離を空け、剣を上段に構える。
「芽依、あれをやろう」
それは和花ちゃんが剣を、私が魔法を使えると分かってから時折練習していた連携技。ここまでの傾向から私は火の魔法を選んだ。和花ちゃんが上段に構えた剣に火の魔法が絡みつくように這う。剣が赤く染まり、和花ちゃんが裂帛の気合と共に踏み込む。
「はぁぁ! 魔法剣・焔ぁ!!」
ゴブリンジェネラルが剣でガードしようとするより先に、和花ちゃんの剣が炎とともにゴブリンジェネラルを斬る。
和花ちゃんの魔法剣・焔はゴブリンジェネラルを袈裟切りに両断していた。
「ふぅ、結構タフだったね」
和花ちゃんが私のところに戻ってくる。念のため剣は鞘に納めずにいるが、その顔は達成感に満ち溢れていた。
「うん、和花ちゃんお疲れさま」
和花ちゃんは満足げに微笑むと、その場にぺたりと座り込んでしまった。どうやら疲れてしまったらしい。無理もないだろう、あれだけの数のゴブリン相手に大立ち回りを演じていたのだから。私は和花ちゃんに肩を貸すと周囲を警戒しながら比較的形を保っている民家に入った。少しくらい休まないと、他の冒険者たちと合流するのも難しいだろう。
「少し休もうか」
「そうね。芽依、膝枕してくれる?」
「もちろん、おいで」
私は和花ちゃんの頭を膝に載せて、和花ちゃんの頭を優しく撫でる。警戒は怠らないけど、どうやらあのジェネラルがこのエリアの親玉だったのだろう。ゴブリンたちが闊歩する気配はない。
「休んだら、他の冒険者たちと合流しようね」
「うん……もう少し、斬りたい、から……」
まどろみながらも物騒なことを言う和花ちゃんの頭を再び優しく撫でる。その剣が魔物にだけ向き続けることを願いながら。
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