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幼馴染で恋人の和花ちゃんと異世界に来た私、柏原芽依はいきなり二度目の命の危機に瀕していた。異世界の森で目を覚ました私たちは、この国の騎士に見つかり怪しい人物として追われてしまったのだ。
「くっ、仕方がない。多少の手荒な真似は許せ!! 覚悟!!」
そう言いながら騎士の一人が斬りかかってきた。けれど次の瞬間には、私の横を通り過ぎた彼が地面に倒れ伏した。
「えっ? なに? 何が起きたの?」
「……今の力、なんなの」
どうやら和花ちゃんが騎士を転ばせたらしい。騎士の手を離れた剣を拾い上げる和花ちゃん。その剣を振り上げ、騎士目掛けて振り下ろした。鎧ごと倒れた騎士を切り裂き、血しぶきがあがる。
「ちょ、和花ちゃん!?」
「大丈夫だよ芽衣。ちょっとだけ大人しくしていてね」
和花ちゃんはまるで作業のように、剣を構えてもう一人の騎士目掛けて駆け出す。振りぬいた剣先が騎士の腕を捉える。
「ぐわあぁぁぁ!!!」
「うわぁ、すごい悲鳴。ふふ、痛そうだね」
「ひぃ! 化け物め!!」
騎士は恐怖からか、背を向けて逃げ出そうとする。この世界で生まれ魔物や人と戦っていたであろう騎士すら逃げ出すほどに、今の和花ちゃんは恐ろしいんだろう。
「逃げるんだ。まぁ……逃がさないけど」
和花ちゃんが握る剣に血とは異なる赤い何かがまとわりつく。それは次第に炎のように燃え上がり、刃の形を成していく。
「和花ちゃん、それって」
「……これが女神さまの言っていた加護なのかな?」
和花ちゃんはその剣で逃げ出した騎士を一閃した。そしてその体は真っ二つに裂け、地面へと崩れ落ちたのだった。
「芽衣、怪我はない?」
返り血を浴びた和花ちゃんが振り返りながら訊ねる。恐ろしくも美しい姿に私は言葉を失ってしまった。現実感なんて全くなくて……であるからこそ絵になるというか、心が震える。
「……和花ちゃんこそ、平気なの?」
「うん、不思議と怖さはなかったかな。むしろ昂ってるかも」
そう言って笑う和花ちゃんの顔は、どこか虚ろな感じがした。
「とにかくここを離れよう。まだ他にもいるかもしれないし」
「そ、そうだね」
かすかな怯えは……何に対してなのか、今は考えないことにした。
「くっ、仕方がない。多少の手荒な真似は許せ!! 覚悟!!」
そう言いながら騎士の一人が斬りかかってきた。けれど次の瞬間には、私の横を通り過ぎた彼が地面に倒れ伏した。
「えっ? なに? 何が起きたの?」
「……今の力、なんなの」
どうやら和花ちゃんが騎士を転ばせたらしい。騎士の手を離れた剣を拾い上げる和花ちゃん。その剣を振り上げ、騎士目掛けて振り下ろした。鎧ごと倒れた騎士を切り裂き、血しぶきがあがる。
「ちょ、和花ちゃん!?」
「大丈夫だよ芽衣。ちょっとだけ大人しくしていてね」
和花ちゃんはまるで作業のように、剣を構えてもう一人の騎士目掛けて駆け出す。振りぬいた剣先が騎士の腕を捉える。
「ぐわあぁぁぁ!!!」
「うわぁ、すごい悲鳴。ふふ、痛そうだね」
「ひぃ! 化け物め!!」
騎士は恐怖からか、背を向けて逃げ出そうとする。この世界で生まれ魔物や人と戦っていたであろう騎士すら逃げ出すほどに、今の和花ちゃんは恐ろしいんだろう。
「逃げるんだ。まぁ……逃がさないけど」
和花ちゃんが握る剣に血とは異なる赤い何かがまとわりつく。それは次第に炎のように燃え上がり、刃の形を成していく。
「和花ちゃん、それって」
「……これが女神さまの言っていた加護なのかな?」
和花ちゃんはその剣で逃げ出した騎士を一閃した。そしてその体は真っ二つに裂け、地面へと崩れ落ちたのだった。
「芽衣、怪我はない?」
返り血を浴びた和花ちゃんが振り返りながら訊ねる。恐ろしくも美しい姿に私は言葉を失ってしまった。現実感なんて全くなくて……であるからこそ絵になるというか、心が震える。
「……和花ちゃんこそ、平気なの?」
「うん、不思議と怖さはなかったかな。むしろ昂ってるかも」
そう言って笑う和花ちゃんの顔は、どこか虚ろな感じがした。
「とにかくここを離れよう。まだ他にもいるかもしれないし」
「そ、そうだね」
かすかな怯えは……何に対してなのか、今は考えないことにした。
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