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プロローグ
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「「んちゅ、ちゅぱ……んじゅ……んむぅ」」
薄暗い部屋に水音だけが響く。お互いが舌を絡ませ合い、お互いの唾液を交換しあうディープキス、普通は愛し合う二人がするような行為。
「んちゅ……じゅる……むぅ……ぷはっ」
「はぁ……はぁ……」
深い口付けが終わり、アタシ達は唇を離す。唇の間に銀色の橋ができ上がる。
「……えへへ」
彼女は頬を赤く染めながら微笑む。でもこの関係は――。
「あぁ、もう時間だね。これ二万円」
「……うん、ありがとう」
「別にお礼なんていいよ。だって、また私に貢いでくれるんでしょう?」
耳元で囁く声に歯噛みする。
「推しとこんなことできちゃうなんて、万結ちゃんはラッキーだよね」
「アタシは……三枝からお金をもらってるんだ。シュリちゃんから貰ってるわけじゃない……」
目の前にいるのはクラスメイトの三枝朱里……アタシが通っているコンカフェで働いている――アタシの推しだ。
「やっぱり万結ちゃんは面白いなぁ。まぁいいや、またお店に来てよ」
三枝はアタシの唇に人差し指を当てて、妖しく微笑む。そんな表情に胸が高鳴ってしまう。
そんなアタシをよそに、三枝はツインテールに結っていた髪をほどく。そしてフルフレームの眼鏡をかけると、明るい雰囲気はどこかへ消え、姿勢もやや猫背になる。
「なんていうか、どっちが本当のお前なんだよ」
「ど、どっちも私、ですから。じゃあ、瀬上さん。また学校で……」
そう言ってアタシの住む安アパートを出ていく三枝。何がどうしてこうなったかというと……複雑な事情があるのだ。思い出すのは二か月くらい前、まだ夏休みにもなっていない7月のことだ――。
薄暗い部屋に水音だけが響く。お互いが舌を絡ませ合い、お互いの唾液を交換しあうディープキス、普通は愛し合う二人がするような行為。
「んちゅ……じゅる……むぅ……ぷはっ」
「はぁ……はぁ……」
深い口付けが終わり、アタシ達は唇を離す。唇の間に銀色の橋ができ上がる。
「……えへへ」
彼女は頬を赤く染めながら微笑む。でもこの関係は――。
「あぁ、もう時間だね。これ二万円」
「……うん、ありがとう」
「別にお礼なんていいよ。だって、また私に貢いでくれるんでしょう?」
耳元で囁く声に歯噛みする。
「推しとこんなことできちゃうなんて、万結ちゃんはラッキーだよね」
「アタシは……三枝からお金をもらってるんだ。シュリちゃんから貰ってるわけじゃない……」
目の前にいるのはクラスメイトの三枝朱里……アタシが通っているコンカフェで働いている――アタシの推しだ。
「やっぱり万結ちゃんは面白いなぁ。まぁいいや、またお店に来てよ」
三枝はアタシの唇に人差し指を当てて、妖しく微笑む。そんな表情に胸が高鳴ってしまう。
そんなアタシをよそに、三枝はツインテールに結っていた髪をほどく。そしてフルフレームの眼鏡をかけると、明るい雰囲気はどこかへ消え、姿勢もやや猫背になる。
「なんていうか、どっちが本当のお前なんだよ」
「ど、どっちも私、ですから。じゃあ、瀬上さん。また学校で……」
そう言ってアタシの住む安アパートを出ていく三枝。何がどうしてこうなったかというと……複雑な事情があるのだ。思い出すのは二か月くらい前、まだ夏休みにもなっていない7月のことだ――。
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