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第四章 冥王決定戦篇
冥王決定戦 決勝トーナメント 準々決勝
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冥王決定戦もとうとう準々決勝。次の相手も先代の側近らしい。名をレグッサ。獲物は両手斧。虎のような獣人だ。
『両者構えて! バトル、スタート!!』
レグッサの振り下ろした斧が大地を抉り、衝撃波となって迫ってくる。横方向へ跳びながら札を一枚投げる。
「リフレクション!」
札を起点に相手の衝撃波を跳ね返すバリアが張られる。逆流した衝撃波をレグッサは俺と同じ方向へ跳ぶことで回避する。接近戦を狙うつもりだろう。
「望むところだ!!」
俺の武器は既に双剣。敵が持つ両手斧に負けない一撃の重さを誇る。そして、
「照覇閃影斬!!」
鋭く、速い。
「ぐ……」
女神の力たる閃光を纏う八連撃をまともに喰らい、吹き飛ぶレグッサ。
「お、終わりか?」
戦闘中の隙は即、死に繋がる。そんな状況で吹っ飛んだまま二秒を過ごすというのはまさに自殺行為。存在の力を失うまでの僅かな時間が今、だとでもいうのか?
「せりゃああ!!」
「ぐはっ……!?」
完全に油断していた。突如として後ろから重い一撃を浴びせられた。吹っ飛んだレグッサは術によって生み出された分身であり、本体はほぼダメージを受けていない。
「俺の見た目から、単なるパワーファイターと思ったか? あぁ? 俺様には幻術の才があるんだよ!」
言うや否や、再び分身したレグッサ。二体の獣人が大斧を構え突進してくる。先ほどの一撃はブライトスターの加護もあって、致命傷にはなっていないが、やや眩暈がする。ある種のバッドステータスというところか。
「リジェクトウォール!!」
障壁を展開し、後方へ跳躍。あの相手を真正面から打ち破るのはナンセンスだ。魔術を軸に翻弄して始末する。
「魔力掌握、クラスター・エクスプロージョン!!」
群れを意味するクラスターを名前に持つ炎属性の最上級魔術。複数の爆発で広範囲に威力を持つ。ついでに一つ目の仕掛けを施し、走り出す。
「おりゃあああ!!」
超人的な感覚で、黒煙が立ち込める戦場の中で俺がいる方向へ衝撃波を飛ばしてくるレグッサ。仕掛けは無事だが、あまり距離をとるのも危険かもしれない。だったら、
「直接付与、オーロラセイヴァー!! 連鎖詠唱・直接付与、プリズムセイヴァー!!」
剣を模した魔力の塊で攻撃する系統の魔術を、実物の剣を媒介にすることで消費魔力を軽減すると共に威力をブースト。もっとも、接近して使う必要があるが。
「ぬ、ぐぅ……」
流石に効果ありってところか。ここにも仕掛けを。
「光牙斬! 光波一閃!!」
剣技でダメ押しをしてから距離を取る。だが、俺の目の前にレグッサが現れる。いや、これは幻術による分身だ。咄嗟にそう判断し、一閃。靄のように消え去る虎の獣人。やはりか。
「せいやぁあ!!」
こっちは本物か! 背後からの一撃を双剣を交差させてガード。向きを調節していなす。
「ふん!!」
大地へ振り下ろされた大斧から迸る衝撃波。幅が広く、左右への跳躍では回避不能。だからと言って上へ跳べば、大きな隙が生じる。しかたない、か。
「頼むぞ、ブライトスター!」
星の名を冠する聖剣を地に刺し、結界を展開する。とはいえ、本来の所有者でない俺が展開する結界は、かつて唯燈が展開していたそれと比べて、輝きが著しく弱い。所有による常時効果はそれなりだが、やはり起動効果はムリがあったか……。
「ぐぅ……くはっ」
ダメージは甚大ではないが……皆無でもない。戦闘の長期化は避けなければ。
「せい! てや!」
「はぁ! くらえ!」
大斧の一撃で左腕が使えなくなったという演技をしながら、陣を形成するための仕掛けを行う。右手で握った剣形態のクロディアンで斧をいなしながら、無詠唱で魔術を発動する。そのまま、十分以上が経過した。双剣と大斧が金属音を撒き散らす中、それでも俺は普段の倍の仕掛けを施すことに成功した。
「最大出力、オクタ・ザ・ホーリーセイヴァー!」
俺に使える最大威力の魔術。極光の力を最大限に発揮した八角形の魔法陣に、魔力で生み出された聖剣が降り注ぐ。
「これで、どうだ!」
極光の光が収束し……そこには。
「……ぐ、ぐはっ……」
『レグッサ選手、戦闘不能! 勝ったのは、クライト・ディアライト!!』
倒れ伏すレグッサの姿。殺す気が無かったといえば嘘になる一撃で、まだ絶命しないのか。これで準々決勝……あと二度、俺は勝てるのか?
『両者構えて! バトル、スタート!!』
レグッサの振り下ろした斧が大地を抉り、衝撃波となって迫ってくる。横方向へ跳びながら札を一枚投げる。
「リフレクション!」
札を起点に相手の衝撃波を跳ね返すバリアが張られる。逆流した衝撃波をレグッサは俺と同じ方向へ跳ぶことで回避する。接近戦を狙うつもりだろう。
「望むところだ!!」
俺の武器は既に双剣。敵が持つ両手斧に負けない一撃の重さを誇る。そして、
「照覇閃影斬!!」
鋭く、速い。
「ぐ……」
女神の力たる閃光を纏う八連撃をまともに喰らい、吹き飛ぶレグッサ。
「お、終わりか?」
戦闘中の隙は即、死に繋がる。そんな状況で吹っ飛んだまま二秒を過ごすというのはまさに自殺行為。存在の力を失うまでの僅かな時間が今、だとでもいうのか?
「せりゃああ!!」
「ぐはっ……!?」
完全に油断していた。突如として後ろから重い一撃を浴びせられた。吹っ飛んだレグッサは術によって生み出された分身であり、本体はほぼダメージを受けていない。
「俺の見た目から、単なるパワーファイターと思ったか? あぁ? 俺様には幻術の才があるんだよ!」
言うや否や、再び分身したレグッサ。二体の獣人が大斧を構え突進してくる。先ほどの一撃はブライトスターの加護もあって、致命傷にはなっていないが、やや眩暈がする。ある種のバッドステータスというところか。
「リジェクトウォール!!」
障壁を展開し、後方へ跳躍。あの相手を真正面から打ち破るのはナンセンスだ。魔術を軸に翻弄して始末する。
「魔力掌握、クラスター・エクスプロージョン!!」
群れを意味するクラスターを名前に持つ炎属性の最上級魔術。複数の爆発で広範囲に威力を持つ。ついでに一つ目の仕掛けを施し、走り出す。
「おりゃあああ!!」
超人的な感覚で、黒煙が立ち込める戦場の中で俺がいる方向へ衝撃波を飛ばしてくるレグッサ。仕掛けは無事だが、あまり距離をとるのも危険かもしれない。だったら、
「直接付与、オーロラセイヴァー!! 連鎖詠唱・直接付与、プリズムセイヴァー!!」
剣を模した魔力の塊で攻撃する系統の魔術を、実物の剣を媒介にすることで消費魔力を軽減すると共に威力をブースト。もっとも、接近して使う必要があるが。
「ぬ、ぐぅ……」
流石に効果ありってところか。ここにも仕掛けを。
「光牙斬! 光波一閃!!」
剣技でダメ押しをしてから距離を取る。だが、俺の目の前にレグッサが現れる。いや、これは幻術による分身だ。咄嗟にそう判断し、一閃。靄のように消え去る虎の獣人。やはりか。
「せいやぁあ!!」
こっちは本物か! 背後からの一撃を双剣を交差させてガード。向きを調節していなす。
「ふん!!」
大地へ振り下ろされた大斧から迸る衝撃波。幅が広く、左右への跳躍では回避不能。だからと言って上へ跳べば、大きな隙が生じる。しかたない、か。
「頼むぞ、ブライトスター!」
星の名を冠する聖剣を地に刺し、結界を展開する。とはいえ、本来の所有者でない俺が展開する結界は、かつて唯燈が展開していたそれと比べて、輝きが著しく弱い。所有による常時効果はそれなりだが、やはり起動効果はムリがあったか……。
「ぐぅ……くはっ」
ダメージは甚大ではないが……皆無でもない。戦闘の長期化は避けなければ。
「せい! てや!」
「はぁ! くらえ!」
大斧の一撃で左腕が使えなくなったという演技をしながら、陣を形成するための仕掛けを行う。右手で握った剣形態のクロディアンで斧をいなしながら、無詠唱で魔術を発動する。そのまま、十分以上が経過した。双剣と大斧が金属音を撒き散らす中、それでも俺は普段の倍の仕掛けを施すことに成功した。
「最大出力、オクタ・ザ・ホーリーセイヴァー!」
俺に使える最大威力の魔術。極光の力を最大限に発揮した八角形の魔法陣に、魔力で生み出された聖剣が降り注ぐ。
「これで、どうだ!」
極光の光が収束し……そこには。
「……ぐ、ぐはっ……」
『レグッサ選手、戦闘不能! 勝ったのは、クライト・ディアライト!!』
倒れ伏すレグッサの姿。殺す気が無かったといえば嘘になる一撃で、まだ絶命しないのか。これで準々決勝……あと二度、俺は勝てるのか?
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