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#6 愛と希望あふれる未来
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二度目のシャワーを浴びて私たちはラブホテルを後にした。
「あ、あのさ……ここからは飯澤愛海としてのお誘いなんだけど。この後お茶でもどうかな?」
「そうだねぇ、じゃあ大学の同期としてご一緒させてもらおっかな」
そう言って私たちは近場のコーヒーショップに入った。アイミちゃん――愛海ちゃんはブラックで、私はカフェラテを頼んで席に着く。
改めてこうして見ると本当に美人だ。スタイルもいいし、何より顔が可愛い。こんな子がどうして風俗の仕事をしているのか気にはなるが、アイミちゃんと愛海ちゃんを分けて考えるって本人に言ってしまった手前、あんまり聞きにくいかなぁ。まぁでも、ここまできて聞かないのも逆に変な気がするんだよね。
「愛海ちゃんはどうしてこの仕事をやってるの?」
とりあえずさらっと聞くことにした。
「高校の時にね、お金持ちの先輩に援助してもらってたの」
「え? 学内でってこと? 愛海ちゃんって系列の高校から持ちあがりじゃなかったっけ?」
「そうだよ。いわゆるハーレムを形成している”お姉さま”がいて、その先輩の身の回りのお世話とか夜伽とか、そういうことして幾ばくかのお金をもらってたの」
私の通っている大学は系列で中高等部があるが、イメージとしてはお嬢様学校だ。お金をもらってまで先輩とそういう関係になるっていうのは、なかなか考えづらい。
「私、奨学金をもらってて。うちの学校、その辺の手厚さも魅力でしょう? でも大学は学費のちょっとした減免くらいだから、自分で稼ぎたくて……何ができるだろうって思ったら……そういうことくらいしかなくて。でも、稼げるから……」
愛海ちゃんは淡々と話すけど、その内容はあまりにも衝撃的だ。妹さんはどうやら公立の共学校に通っているらしいが、彼女もアルバイトしながら頑張っているとのこと。ぬるい環境で育ってバイト代を女遊びに使うような私とは大違いだ。いや、本当に。
「ごめんね、なんだかすっごく重い話させちゃったね」
「ううん、希ちゃんこそ、聞いてくれてありがとう。なんかすっきりしたかも」
「そっか、ならよかったかな。これからもいっぱい指名するよ」
愛海ちゃんは少し驚いた顔をした後、嬉しそうに微笑んだ。
「ありがとう。今日は私もすごく楽しかった。本当なら……その、プライベートでもしてほしいくらいだよ。私、希ちゃんのこと本気で好きになってたみたい」
愛海ちゃんのその言葉に思わず葛藤してしまう。先に好きになったのは私からで、今はひょっとしていわゆる両想いなのかもしれない。でも、私は……。私はゆっくりと首を横に振った。
「ダメだよ。だって君はプロなんだから。プライベートでお客さんとエッチしちゃ、ダメだよ……」
「希ちゃん……」
愛海ちゃんは悲しそうな表情を浮かべたが、すぐに笑顔を作って言った。
「そうだよね。ごめん、さっきのは忘れて」
私たちはそのまま別れた。帰り道、私は何度も愛海ちゃんの言葉を思い出していた。
(私、希ちゃんのこと本気で好きになってたみたい)
やっぱりもったいなかったかなぁと後悔もある。カラダの相性は最高だったわけだし。そんなことを思いながら電車を待っていると、SNSに通知が来た。お店の監督のもとに運用しているアイミちゃんのアカウントからだった。
『本日はご指名ありがとうございました。次はもっとサービスしちゃいます♡』
よーし、頑張って稼いで貢いじゃうぞぉ。ならもっと実入りのいいバイトを……あ、閃いた!!
「本日は百合プレイ鑑賞コースでのご指名ありがとうございます。ミライです」
「アイミです。最初にいくつか注意事項を説明させてもらいますね」
「は、はい。アイミラのプレイが生で見られるなんて……嬉しすぎですぅ」
今、私も愛海ちゃんと同じお店で働いている。源氏名はミライ、アイミちゃんとはアイミラコンビとしてカプ厨のお客様に度々指名をもらっている。同業者であり売り上げを競うライバルでもあり、互いを最も指名するお客でもあり、そして最愛のパートナー。私を振った女の子をレズ風俗で指名したら、勢いあまって私も風俗で働くことになりました。でも、すっごく充実してます!!
「あ、あのさ……ここからは飯澤愛海としてのお誘いなんだけど。この後お茶でもどうかな?」
「そうだねぇ、じゃあ大学の同期としてご一緒させてもらおっかな」
そう言って私たちは近場のコーヒーショップに入った。アイミちゃん――愛海ちゃんはブラックで、私はカフェラテを頼んで席に着く。
改めてこうして見ると本当に美人だ。スタイルもいいし、何より顔が可愛い。こんな子がどうして風俗の仕事をしているのか気にはなるが、アイミちゃんと愛海ちゃんを分けて考えるって本人に言ってしまった手前、あんまり聞きにくいかなぁ。まぁでも、ここまできて聞かないのも逆に変な気がするんだよね。
「愛海ちゃんはどうしてこの仕事をやってるの?」
とりあえずさらっと聞くことにした。
「高校の時にね、お金持ちの先輩に援助してもらってたの」
「え? 学内でってこと? 愛海ちゃんって系列の高校から持ちあがりじゃなかったっけ?」
「そうだよ。いわゆるハーレムを形成している”お姉さま”がいて、その先輩の身の回りのお世話とか夜伽とか、そういうことして幾ばくかのお金をもらってたの」
私の通っている大学は系列で中高等部があるが、イメージとしてはお嬢様学校だ。お金をもらってまで先輩とそういう関係になるっていうのは、なかなか考えづらい。
「私、奨学金をもらってて。うちの学校、その辺の手厚さも魅力でしょう? でも大学は学費のちょっとした減免くらいだから、自分で稼ぎたくて……何ができるだろうって思ったら……そういうことくらいしかなくて。でも、稼げるから……」
愛海ちゃんは淡々と話すけど、その内容はあまりにも衝撃的だ。妹さんはどうやら公立の共学校に通っているらしいが、彼女もアルバイトしながら頑張っているとのこと。ぬるい環境で育ってバイト代を女遊びに使うような私とは大違いだ。いや、本当に。
「ごめんね、なんだかすっごく重い話させちゃったね」
「ううん、希ちゃんこそ、聞いてくれてありがとう。なんかすっきりしたかも」
「そっか、ならよかったかな。これからもいっぱい指名するよ」
愛海ちゃんは少し驚いた顔をした後、嬉しそうに微笑んだ。
「ありがとう。今日は私もすごく楽しかった。本当なら……その、プライベートでもしてほしいくらいだよ。私、希ちゃんのこと本気で好きになってたみたい」
愛海ちゃんのその言葉に思わず葛藤してしまう。先に好きになったのは私からで、今はひょっとしていわゆる両想いなのかもしれない。でも、私は……。私はゆっくりと首を横に振った。
「ダメだよ。だって君はプロなんだから。プライベートでお客さんとエッチしちゃ、ダメだよ……」
「希ちゃん……」
愛海ちゃんは悲しそうな表情を浮かべたが、すぐに笑顔を作って言った。
「そうだよね。ごめん、さっきのは忘れて」
私たちはそのまま別れた。帰り道、私は何度も愛海ちゃんの言葉を思い出していた。
(私、希ちゃんのこと本気で好きになってたみたい)
やっぱりもったいなかったかなぁと後悔もある。カラダの相性は最高だったわけだし。そんなことを思いながら電車を待っていると、SNSに通知が来た。お店の監督のもとに運用しているアイミちゃんのアカウントからだった。
『本日はご指名ありがとうございました。次はもっとサービスしちゃいます♡』
よーし、頑張って稼いで貢いじゃうぞぉ。ならもっと実入りのいいバイトを……あ、閃いた!!
「本日は百合プレイ鑑賞コースでのご指名ありがとうございます。ミライです」
「アイミです。最初にいくつか注意事項を説明させてもらいますね」
「は、はい。アイミラのプレイが生で見られるなんて……嬉しすぎですぅ」
今、私も愛海ちゃんと同じお店で働いている。源氏名はミライ、アイミちゃんとはアイミラコンビとしてカプ厨のお客様に度々指名をもらっている。同業者であり売り上げを競うライバルでもあり、互いを最も指名するお客でもあり、そして最愛のパートナー。私を振った女の子をレズ風俗で指名したら、勢いあまって私も風俗で働くことになりました。でも、すっごく充実してます!!
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