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#1 きっかけ
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「うおーん、振られたぁ」
大学のサークル部室に女が二人。片方は失恋ほやほやの私、長谷部希。もう一人はサークルの先輩、森真奈美先輩だ。
私が二年生で先輩は三年生、ここ星花女子大学の西洋菓子研究会はメンバーが七人程度の少人数サークル。メンバー間の仲はいいので、恋愛相談なんかもわりとしやすい。
「女の悲しみは女で癒すっきゃないっしょ」
「へ?」
「希、風俗とか興味ない?」
真奈美先輩がにっこり微笑む。
「いや……さすがにそれはちょっと……」
私はやんわりと拒否する。
「まあ、いきなりこんなこと言われたら驚くよね。働く方を想像した? 違う違う、お客として風俗に行くの」
「え!? そんなことできるんですか!」
思わず食いついてしまう。だって、男の人が行くもんだってイメージがあったし!
「できるよー。海ヶ谷にはレズ風俗のお店が何軒かあってね。店舗型と派遣型とソープとそれぞれあるんだけど、どういうのがいい?」
なんか既に行くことは前提になっている質問なんだけど、私は思わず首を横に振った。
「いやいや、お金なら私が出すから心配しないでよ」
「なおさらなんですけど? な、なにが目的なんですか」
「えぇ? ただ単に後輩を慰めてあげたいだけだよ? でも、私に慰められてもなんか違うんでしょ?」
先輩は優しいし美味しいスイーツのお店に詳しいし、学部も一緒で授業の取り方についても教えてくれていい人なんだけど、見た目が幼女なんだよなぁ。そこが私の好みとは全然違うというか、そういう対象に見れないというか……。
「それじゃあ、希ちゃんの好きなタイプを教えてくれるかな? いい感じの嬢を探すからさ」
「あうぅ……黒髪のロングで巨乳、あと泣きボクロがあって、唇がちょっと厚め」
「身長は?」
「私とほぼ同じくらい。170足らずって感じかなぁ」
先輩がスマホをぽちぽちと操作して、画面を見せてくる。
「この子とかいいんじゃない? 168センチでGカップ。でっけぇ。名前はアイミちゃん。年は君と同じで二十歳だよ。まぁ、嬢の年齢はサバ読んでる可能性大だけど」
「おおぉ……」
そこには黒髪を長く伸ばして前髪ぱっつんにした、色白の女の子がいた。目元に涙ぼくろもあってかわいい。胸も大きい。と、いいますか……。
「こ、この子……愛海ちゃんだよ……」
「知り合い?」
「今日、私を振った子。……はは、そういうこと、か」
振られた時の言葉がリフレインする。『特定の誰かとお付き合いできる状況じゃない』って、不特定多数とそういうことをしているってわけね……はぁ、なんてこった。清楚な雰囲気に惹かれたのに。でも……そういう子が、そういうお店で働いてるって、興奮する。
「この子、指名で」
「お、楽しんでくれたまえ」
大学二年の夏……私は大人の遊びを知った、そう、私を振ったあの子をレズ風俗で指名してみた。
大学のサークル部室に女が二人。片方は失恋ほやほやの私、長谷部希。もう一人はサークルの先輩、森真奈美先輩だ。
私が二年生で先輩は三年生、ここ星花女子大学の西洋菓子研究会はメンバーが七人程度の少人数サークル。メンバー間の仲はいいので、恋愛相談なんかもわりとしやすい。
「女の悲しみは女で癒すっきゃないっしょ」
「へ?」
「希、風俗とか興味ない?」
真奈美先輩がにっこり微笑む。
「いや……さすがにそれはちょっと……」
私はやんわりと拒否する。
「まあ、いきなりこんなこと言われたら驚くよね。働く方を想像した? 違う違う、お客として風俗に行くの」
「え!? そんなことできるんですか!」
思わず食いついてしまう。だって、男の人が行くもんだってイメージがあったし!
「できるよー。海ヶ谷にはレズ風俗のお店が何軒かあってね。店舗型と派遣型とソープとそれぞれあるんだけど、どういうのがいい?」
なんか既に行くことは前提になっている質問なんだけど、私は思わず首を横に振った。
「いやいや、お金なら私が出すから心配しないでよ」
「なおさらなんですけど? な、なにが目的なんですか」
「えぇ? ただ単に後輩を慰めてあげたいだけだよ? でも、私に慰められてもなんか違うんでしょ?」
先輩は優しいし美味しいスイーツのお店に詳しいし、学部も一緒で授業の取り方についても教えてくれていい人なんだけど、見た目が幼女なんだよなぁ。そこが私の好みとは全然違うというか、そういう対象に見れないというか……。
「それじゃあ、希ちゃんの好きなタイプを教えてくれるかな? いい感じの嬢を探すからさ」
「あうぅ……黒髪のロングで巨乳、あと泣きボクロがあって、唇がちょっと厚め」
「身長は?」
「私とほぼ同じくらい。170足らずって感じかなぁ」
先輩がスマホをぽちぽちと操作して、画面を見せてくる。
「この子とかいいんじゃない? 168センチでGカップ。でっけぇ。名前はアイミちゃん。年は君と同じで二十歳だよ。まぁ、嬢の年齢はサバ読んでる可能性大だけど」
「おおぉ……」
そこには黒髪を長く伸ばして前髪ぱっつんにした、色白の女の子がいた。目元に涙ぼくろもあってかわいい。胸も大きい。と、いいますか……。
「こ、この子……愛海ちゃんだよ……」
「知り合い?」
「今日、私を振った子。……はは、そういうこと、か」
振られた時の言葉がリフレインする。『特定の誰かとお付き合いできる状況じゃない』って、不特定多数とそういうことをしているってわけね……はぁ、なんてこった。清楚な雰囲気に惹かれたのに。でも……そういう子が、そういうお店で働いてるって、興奮する。
「この子、指名で」
「お、楽しんでくれたまえ」
大学二年の夏……私は大人の遊びを知った、そう、私を振ったあの子をレズ風俗で指名してみた。
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