11 / 14
第十話 紅葉の想い/叶美の想い
しおりを挟む
わたしが住んでいる高等部菊花寮は一人部屋が割り当てられている。だからつい油断して散らかしちゃうのを、この一週間、放課後を使って掃除した。……図書委員の仕事の後だからなかなか時間を取るのは難しかったけど、まがりなりに星花に通う先輩として恥ずかしいところのないように頑張ったつもりだ。……それでもまぁ緊張する。同級生はわたしのちょっとずぼらなとこも知ってるし、菊花に住んでいる女の子たちはわりと勉強以外でちょっと抜けたところもあるし。ただ、年下の女の子相手にはきちんとした“お姉さま”でありたいの。
「服装、よし。寝癖なし、うん。いい感じ」
うすくドットの入った白いブラウスは青のリボンタイが上品に見せてくれるし、ターコイズのジャケットと合わせれば甘すぎず大人っぽさを演出できる。スカートはちょっと透け感のある膝下丈が落ち着いた雰囲気だし、夏先取りって感じ。靴下はシンプルに白。
「なんか緊張しちゃうなぁ。大丈夫だよね……?」
――ピンポ~ン♪――
「あ、来た! はーい」
扉を開けると、居たのは紅葉ちゃんだけだった。
「かおりはもう少し仕度に時間がかかるみたいで」
そう言って一礼してから部屋に入る紅葉ちゃん。上品な淡いグリーンのワンピースが時季っぽい。襟や袖口など要所に白が散りばめられていて、レースの装飾もとても綺麗だ。
「ワンピース、似合ってるね。紅葉ちゃんでもグリーン着るんだね」
「ふふ、この季節ですから」
そんなやり取りをしながら居間に通して、飲み物のしたくをする。紅葉ちゃんのために用意したこれを喜んでくれるかな?
「あ、抹茶ラテ」
「いやだった? 抹茶が好きって前に言ってたから」
「い、いえ、好きです。ありがとうございます」
アイス抹茶ラテを紅葉ちゃんの前において、自分はアイスココアを飲む。
「菊花寮に入ったの初めてです。……広いですね」
いつものように丁寧に編まれた三つ編みを指先で弄びながら、落ち着かなそうに部屋を見渡す紅葉ちゃん。わたしもかおりちゃんに部屋へ引っ張られた時は少し緊張したから……まぁ、緊張するよね。
「「あ、あのっ」」
……被ったぁ!
「お姉さま先どうぞ」
「え、いいよ。紅葉ちゃんからで」
少し俯いてやっぱり緊張したような面持ちで、紅葉ちゃんが口を開いた。
「お、お姉さま、す……好きです!」
耳に届いたその声は、かすかに震えていたけれど……確かにわたしへの好意の言葉だった。
「物語の中にしかないと思っていた感情が実際にあって……私、分からなくなってしまって……でも、お姉さまなら……お姉さまとなら!」
「紅葉ちゃん……わ、わたし」
「分かってます。女同士なんて……でも、でもっ」
「違うの紅葉ちゃん!」
わたしだって……。紅葉ちゃんのこと……でも……。
「いいんです……伝えられたから。自分の言葉で言えたからっ」
そう言って駆け出す紅葉ちゃんの背中を追うことがわたしには出来なかった……。言えないよね、紅葉ちゃんのこともかおりちゃんのことも好きだなんて……。
「服装、よし。寝癖なし、うん。いい感じ」
うすくドットの入った白いブラウスは青のリボンタイが上品に見せてくれるし、ターコイズのジャケットと合わせれば甘すぎず大人っぽさを演出できる。スカートはちょっと透け感のある膝下丈が落ち着いた雰囲気だし、夏先取りって感じ。靴下はシンプルに白。
「なんか緊張しちゃうなぁ。大丈夫だよね……?」
――ピンポ~ン♪――
「あ、来た! はーい」
扉を開けると、居たのは紅葉ちゃんだけだった。
「かおりはもう少し仕度に時間がかかるみたいで」
そう言って一礼してから部屋に入る紅葉ちゃん。上品な淡いグリーンのワンピースが時季っぽい。襟や袖口など要所に白が散りばめられていて、レースの装飾もとても綺麗だ。
「ワンピース、似合ってるね。紅葉ちゃんでもグリーン着るんだね」
「ふふ、この季節ですから」
そんなやり取りをしながら居間に通して、飲み物のしたくをする。紅葉ちゃんのために用意したこれを喜んでくれるかな?
「あ、抹茶ラテ」
「いやだった? 抹茶が好きって前に言ってたから」
「い、いえ、好きです。ありがとうございます」
アイス抹茶ラテを紅葉ちゃんの前において、自分はアイスココアを飲む。
「菊花寮に入ったの初めてです。……広いですね」
いつものように丁寧に編まれた三つ編みを指先で弄びながら、落ち着かなそうに部屋を見渡す紅葉ちゃん。わたしもかおりちゃんに部屋へ引っ張られた時は少し緊張したから……まぁ、緊張するよね。
「「あ、あのっ」」
……被ったぁ!
「お姉さま先どうぞ」
「え、いいよ。紅葉ちゃんからで」
少し俯いてやっぱり緊張したような面持ちで、紅葉ちゃんが口を開いた。
「お、お姉さま、す……好きです!」
耳に届いたその声は、かすかに震えていたけれど……確かにわたしへの好意の言葉だった。
「物語の中にしかないと思っていた感情が実際にあって……私、分からなくなってしまって……でも、お姉さまなら……お姉さまとなら!」
「紅葉ちゃん……わ、わたし」
「分かってます。女同士なんて……でも、でもっ」
「違うの紅葉ちゃん!」
わたしだって……。紅葉ちゃんのこと……でも……。
「いいんです……伝えられたから。自分の言葉で言えたからっ」
そう言って駆け出す紅葉ちゃんの背中を追うことがわたしには出来なかった……。言えないよね、紅葉ちゃんのこともかおりちゃんのことも好きだなんて……。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
実る果実に百合を添えて
楠富 つかさ
恋愛
私、佐野いちごが入学した女子校には生徒が思い思いのメンバーを集めてお茶会をする文化があって、私が誘われた”果実会”はフルーツに縁のある名前の人が集まっている。
そんな果実会にはあるジンクスがあって……それは”いちご”の名前を持つ生徒と付き合えば幸せになれる!? 待って、私、女の子と付き合うの!?
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
君の瞳のその奥に
楠富 つかさ
恋愛
地方都市、空の宮市に位置する中高一貫の女子校『星花女子学園』で繰り広げられる恋模様。それは時に甘く……時に苦い。
失恋を引き摺ったまま誰かに好意を寄せられたとき、その瞳に映るのは誰ですか?
片想いの相手に彼女が出来た。その事実にうちひしがれながらも日常を送る主人公、西恵玲奈。彼女は新聞部の活動で高等部一年の須川美海と出会う。人の温もりを欲する二人が出会い……新たな恋が芽吹く。
深淵ニ舞フ昏キ乙女ノ狂詩曲 ~厨二少女だって百合したい!~
楠富 つかさ
恋愛
運命的な出会いを果たした二人の少女。そう、彼女たちは中二病の重症患者であった。方や右眼と左腕を疼かせる神の使い、方や左目と右腕が疼くネクロマンサー。彼女たちの、中二病としてそして一人の少女としての、魂の物語を綴る。
火花散る剣戟の少女達
楠富 つかさ
ファンタジー
異世界から侵略してくる魔獣たちと戦う少女たち、彼女らは今日も剣と異能で戦いに挑む。
魔獣を討伐する軍人を養成する学校に通う少女の恋と戦いのお話です。
この作品はノベルアップ+さんにも掲載しています。
百合色雪月花は星空の下に
楠富 つかさ
青春
友達少ない系女子の星野ゆきは高校二年生に進級したものの、クラスに仲のいい子がほとんどいない状況に陥っていた。そんなゆきが人気の少ない場所でお昼を食べようとすると、そこには先客が。ひょんなことから出会った地味っ子と家庭的なギャルが送る青春百合恋愛ストーリー、開幕!
星空の花壇 ~星花女子アンソロジー~
楠富 つかさ
恋愛
なろう、ハーメルン、アルファポリス等、投稿サイトの垣根を越えて展開している世界観共有百合作品企画『星花女子プロジェクト』の番外編短編集となります。
単体で読める作品を意識しておりますが、他作品を読むことによりますます楽しめるかと思います。
雪と桜のその間
楠富 つかさ
青春
地方都市、空の宮市に位置する中高一貫の女子校『星花女子学園』で繰り広げられる恋模様。
主人公、佐伯雪絵は美術部の部長を務める高校3年生。恋をするにはもう遅い、そんなことを考えつつ来る文化祭や受験に向けて日々を過ごしていた。そんな彼女に、思いを寄せる後輩の姿が……?
真面目な先輩と無邪気な後輩が織りなす美術部ガールズラブストーリー、開幕です!
第12回恋愛小説大賞にエントリーしました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる