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本編
010 初めてのチップ
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七月も下旬になるとそろそろ中間試験のことを考えてシフトは少なめにしてもらうようになる。その分、夏休みになればたくさんシフトに入るようになるだろうけど。
「ランちゃん、これをあのお客様へお願い」
サラさんに言われてドリンクと料理をおひとりで来店しているお客様のもとへ持っていく。今日はモエさんとサラさんがキッチンに入ってくれている。
「お待たせいたしました。メロンソーダとチキンサンドです」
「あ、ありがとう」
どことなく元気のなさそうなお客様。私はお客様の正面に座り、何かありましたか? と尋ねる。
「いやぁ、実はずっと応援していたアイドルに不祥事があって……」
「ど、どんなですか?」
「違法薬物の所持で捕まっちゃったの……。すごくショックで……。デビューした頃から、ううん。デビューする前の頃からずっと応援していて、ライブにも何度も行ったし、本当にグループとしてじゃなくて彼が好きで応援していたから……辛いんだ。グループとしての活動はこれからも続くだろうけど、今後発表される曲から彼の声が聞こえないと思うと……。冠番組だって始まってまだ一年経ってないのに……。でも、どれだけ好きだったとしても、やっぱり薬物で捕まるっていうのは、さすがに幻滅するっていうか……。でも、家にあるグッズをどうしたものかと思うと……捨てるなんて無理だよ……」
お客様はここ最近ワイドショーを騒がせているニュース、とある男性アイドルグループのメンバーが違法薬物の所持で逮捕されたことに相当ショックを受けているようだった。
私自身もそのグループのことは中学生くらいからたまに曲を聴くくらいには知っていたけど、そこまで入れ込んでいるわけじゃないから捕まったんだなぁくらいの感覚だったけど、もし好きなバンドのボーカルが逮捕されようものなら、きっと今のお客様くらいショックでへこむだろうなぁ。
「えっと、おっぱい揉みます?」
「うーん、そうする……」
お客様の手が私の胸を下から支えるように伸びる。ふにゅっと軽く揉むと、少しだけお客様の目に生気が戻ったように見える。
「友達がここをオススメしてくれたんだよねぇ。元気がない時はこういうお店に行くのがいいって」
……その説明のされ方だとめっちゃ風俗店みたいだよなぁ。まぁ、風俗営業のお店、ではあるんだけど。
ここはあくまでコンセプトカフェなんだよなぁ。女性同士だから距離感近くてお触りOKなだけで。
「店員さん……えっと、ランさんね。この曜日なら出勤してるとかある?」
「あ、えっと……大学生なんでこの後は試験でお休みとっちゃうんですけど、夏休みになればたくさんシフト入ると思いますよ」
「そっかぁ。私は仕事が土日休みだから、土日にいてくれたら嬉しいなぁ。指名して一緒にご飯食べるのもできるんでしょう?」
「あ、はい。そうなんですよ」
「じゃあ、これからはランちゃんを応援する。お金、必要なんでしょ? これ、チップ」
そう言ってお客様は私の谷間に五千円札を差し込んだ。初めてもらうチップだ。
「お客様のお名前を教えていただけますか?」
「えっと、じゃあ、ミホって呼んで。ミホちゃんで」
「ミホちゃん、ありがとう」
お会計後のミホちゃんとハグを交わしてお見送りした。また、来てくれたらいいな。
「ランちゃん、これをあのお客様へお願い」
サラさんに言われてドリンクと料理をおひとりで来店しているお客様のもとへ持っていく。今日はモエさんとサラさんがキッチンに入ってくれている。
「お待たせいたしました。メロンソーダとチキンサンドです」
「あ、ありがとう」
どことなく元気のなさそうなお客様。私はお客様の正面に座り、何かありましたか? と尋ねる。
「いやぁ、実はずっと応援していたアイドルに不祥事があって……」
「ど、どんなですか?」
「違法薬物の所持で捕まっちゃったの……。すごくショックで……。デビューした頃から、ううん。デビューする前の頃からずっと応援していて、ライブにも何度も行ったし、本当にグループとしてじゃなくて彼が好きで応援していたから……辛いんだ。グループとしての活動はこれからも続くだろうけど、今後発表される曲から彼の声が聞こえないと思うと……。冠番組だって始まってまだ一年経ってないのに……。でも、どれだけ好きだったとしても、やっぱり薬物で捕まるっていうのは、さすがに幻滅するっていうか……。でも、家にあるグッズをどうしたものかと思うと……捨てるなんて無理だよ……」
お客様はここ最近ワイドショーを騒がせているニュース、とある男性アイドルグループのメンバーが違法薬物の所持で逮捕されたことに相当ショックを受けているようだった。
私自身もそのグループのことは中学生くらいからたまに曲を聴くくらいには知っていたけど、そこまで入れ込んでいるわけじゃないから捕まったんだなぁくらいの感覚だったけど、もし好きなバンドのボーカルが逮捕されようものなら、きっと今のお客様くらいショックでへこむだろうなぁ。
「えっと、おっぱい揉みます?」
「うーん、そうする……」
お客様の手が私の胸を下から支えるように伸びる。ふにゅっと軽く揉むと、少しだけお客様の目に生気が戻ったように見える。
「友達がここをオススメしてくれたんだよねぇ。元気がない時はこういうお店に行くのがいいって」
……その説明のされ方だとめっちゃ風俗店みたいだよなぁ。まぁ、風俗営業のお店、ではあるんだけど。
ここはあくまでコンセプトカフェなんだよなぁ。女性同士だから距離感近くてお触りOKなだけで。
「店員さん……えっと、ランさんね。この曜日なら出勤してるとかある?」
「あ、えっと……大学生なんでこの後は試験でお休みとっちゃうんですけど、夏休みになればたくさんシフト入ると思いますよ」
「そっかぁ。私は仕事が土日休みだから、土日にいてくれたら嬉しいなぁ。指名して一緒にご飯食べるのもできるんでしょう?」
「あ、はい。そうなんですよ」
「じゃあ、これからはランちゃんを応援する。お金、必要なんでしょ? これ、チップ」
そう言ってお客様は私の谷間に五千円札を差し込んだ。初めてもらうチップだ。
「お客様のお名前を教えていただけますか?」
「えっと、じゃあ、ミホって呼んで。ミホちゃんで」
「ミホちゃん、ありがとう」
お会計後のミホちゃんとハグを交わしてお見送りした。また、来てくれたらいいな。
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