30 / 61
アンソロジー
その雫に水晶の輝きを満たして Side:七恵×琥珀 立成20年4月
しおりを挟む
「ねぇ、凪……私、同じクラスの琥珀ちゃんっているでしょう? あの娘がさ、泣いている姿がどうしても見たいんだよね」
「いや、意味が分からないんだけど」
私、小森凪がルームメイトの青山七恵に相談された内容は普通じゃ考えられないものだった。曰く、その名のように美しい宝石のような瞳の彼女が流す涙は、同じく宝石のように美しいのではなかろうか。曰く、悲しくて流す涙じゃなくてもよくて、嬉しい時や欠伸をした時に目尻に溜まるそれでもかまわない。曰く、そしてその涙を私は舐めてみたい、味わってみたい、とのこと。
「私のルームメイト、変態だったんだなぁ」
私たちが通う学校は私立の星花女子学園。中等部から入学した私たちは三年間を同じ部屋で過ごし、そして高等部に進学し寮が変わってなおルームメイトになった。お互いのことをなかなかに理解し、特段の秘密もなく、私に同性の恋人ができても素直に祝福してくれた、よく出来た人物ではあるのだが……そんな性癖を抱えていたとは。
「だってあの琥珀ちゃんだよ」
……蓮杖琥珀。高等部から入学した彼女はクラス――否、学年でもトップクラスの美貌の持ち主としてよく話題に上がる。光の加減で色味の変わる髪と瞳はまさしく琥珀の輝き。とはいえ。
「彼女、泣くどころか笑うこともあまりないらしいじゃない」
「そこなんだよ。感情の起伏があまりないのがまたお人形さんめいて美しいのだけれど」
「で、そんな彼女を泣かせたいと」
「人聞きの悪い言い方しないでよね」
立成20年の4月26日。これは不器用な二人の少女達が過ごす日々を少しだけ離れた位置から見守る暇人の日記のようなもの。
翌日、七恵と一緒に登校した私はクラスをぐるっと見渡す。40人弱のクラスには、当然のごとく派閥めいたものがある。私や七恵は純然たる文系の括りに含まれることが多く、自然と周りもそんな女の子たちで固まっていた。件の蓮杖琥珀は高等部入学組の派閥とも自然と美少女が集まる派閥でもなく、だからといって孤立しているわけでもなく、極めて器用な世渡りをしているように感じる。むしろ、周囲が彼女の妖精めいた美しさに手をこまねいているような感じがしてならない。派閥の力はメンバーの女子力によって決まるなんて話を聞いたことがある。……女子力は戦闘力だなんて言っている人もいたっけ。
「ねぇ蓮杖さん。あ、琥珀ちゃんって呼んで良い? あんまり話したことなかったよね。私、青山七恵、よろしくね」
七恵は早速アプローチにかかった。七恵のコミュ力はかつての私がすぐに心を開いた程で、まさに折り紙付きといえよう。きっとどんなぼっちもコミュ障も彼女の前では話せるだろう。それでいて人の輪の中心にはいない彼女を時折不思議に思うのだが。
「青山さんですね。覚えていますよ。自己紹介でコーヒーが苦手だと」
「え、まさか全員分覚えてるの? すごいね」
「なんとなく印象に残っただけですよ」
「じゃ、じゃあ、この娘は?」
4月のこの時期、まだ席替えはしていない。青山も小森も蓮杖からかなり遠い。なんなら教室内で対角線にあるといってもいい。そんな私が何故、七恵と蓮杖琥珀の会話を知り得ているか、それは私がすぐ隣にいるからである。
「小森凪さんね。図書委員さんでしたよね?」
玲瓏とした、という修飾語がよく似合う美しい声色。それを紡ぐ唇もまたルージュなしであるにもかかわらず、艶やかで目が離せなくなってしまいそうだ。人間味ある色気、可憐さというよりも芸術品めいた精緻な美を持つと言えよう。あげく記憶力まで優秀となると最先端のアンドロイドなのかもしれないなんて……流石に馬鹿げているのは承知の上だ。
「あ、そうそう。来週は遠足があるでしょ? 一緒の班になれたら嬉しいな」
天啓を得たりとでも思ったのか、七恵の声は普段より大きくなっていた。普段から大きい方であるのに。ホームルーム前の喧噪が一段階、静まった気がした。
「考えてみますね」
蓮杖琥珀はそう言って微笑んでみせた。絵画のような隙の無い……やはりどこか人間味を感じさせない笑みであった。
「おーい、ホームルームの時間だ。席に着け」
担任の先生が来たため話は中断。結局、その日はそれ以上、彼女と話すことは無かった。
その日、私が所属する文芸部と七恵が所属するイラスト部、それぞれ活動を終えて寮に帰ると私から話しを切り出した。
「あの娘と遠足の班を組むつもり?」
中等部、高等部それぞれ一年生は5月の頭に遠足へ行くことになっている。学年でまとまってではなく、行き先はクラス別で中等部は県内、高等部は隣県にまで足を伸ばす。行き先は歴史的名所であったり博物館や水族館であったり、生徒の希望ではなく担任がくじ引きで決めているらしい。私たちのクラスは水族館に行くことが決まった。市内にも水族館はあるが隣県のそれにはなんと観覧車まであるという。高いところが苦手な私にはノーサンキューなのだけど。
「凪は嫌? 琥珀ちゃんが一緒だと」
「別に。私からすれば綾乃以外等しく普通。……まぁ、七恵は例外だけど」
「彼女ガチLOVE勢こえぇ……」
「綾乃に会いたくなってきたし今日は菊花へお泊まりに行こうかな。クラスが別で寂しいし。……そういえば彼女、どこに住んでるんだろうね」
「確かに。少なくとも桜花寮じゃない。菊花じゃないかな。頭良いんだし」
「実家生ってこともあるだろうけどね」
結論の出ない問をさっさと切り上げ、私はルームメイトに見送られて彼女が住む部屋に向かった。この学園には菊花寮と桜花寮という二種類の寮があり、ざっくり大別すると菊花が個室で桜花が二人部屋となっている。寮内のお泊まりに関しては比較的ゆるめの書類記入で事足りるため、友達同士、恋人同士……二人でなく三人以上で夜通し語り明かすなど、なにかと移動がある。特に恋人同士で一晩を共にする場合は――。
翌日、腰の痛みを引きずりながらも登校すると、七恵が蓮杖琥珀と話していた。
「おはよう七恵」
素通りする理由も特になく、普通に声をかける。
「おはよう凪。夕べはお楽しみでしたかい?」
「そうよ。蓮杖さん、でいいかしら。おはよう」
「おはようございます。琥珀でいいですよ。好きなんです、この名前は」
宙ぶらりんでいた彼女への二人称が琥珀でようやく定まり、遠足の話題を私から振ってみた。
「そうですね、せっかく誘っていただいたのですから。ご一緒させてもらおうと思っています。わたし、どうにも人を避けてしまいがちで。なので、誘ってもらえて嬉しかったんです」
この言葉に私は内心たいへん驚愕していた。まず人を避けてしまいがちという発言。琥珀自身は誰とでも分け隔て無く接しているように見えていたのだが。いや、だからこそ彼女は自分から避けているように思い込んでしまっているのだろうか。そして、彼女が素直に喜びを言葉にしたこと。人形めいた、なんて形容を何度かしている分、驚きが増していた。
「そう言ってもらえて私も嬉しいよ。ね、凪」
七恵の満面の笑みに私も相好を崩す。とはいえ、遠足だけで七恵が目標を達成できるかどうか。そもそも水族館に泣く要素なんて存在しない。楽天家の七恵が何か策を練っているとも思えない。何か私が考えてみようか。何だかんだで大切なルームメイトなのだから。それにきっと、七恵自身気付いていないのだろうけど、彼女が琥珀に向ける目にかすかな恋心が透けて見える。何年か前に顔のいい人にめっぽう弱いなんて言ってはいたけど、本当にそうなんだなぁと感心してしまった。
その日の最後の時間に行われたロングホームルームで遠足の班決めが終わり、私と七恵が部屋に戻ってから遠足での行動について話し合いだした。
「正直言って、水族館と涙は関係ないじゃんね。どうやって泣かせようか考えてる?」
「だからあくどい感じに聞こえる言い方をしないでってば」
琥珀が私と同じく高所恐怖症であれば観覧車の高い位置で泣いてくれるかもしれないけれど、そうであるなら普通に考えて乗ることはあるまい。
「感動的な光景とかあればいいんだけど」
「ペンギンの産卵とか?」
「……なさそうだよね」
それから何度も七恵といかにして琥珀に泣いてもらおうか考え続け、やれ派手に転んでみるだの行きのバスで怪談をするだの、しょうもない意見を出しては切り捨てしていく中でなかなかにまともだと判断されたのが、その水族館の名物であるイルカショーだ。きっと感動に涙するはずだ。……きっと、多分。
「琥珀は純粋そうだし、意外と楽に泣いてくれるかもよ?」
「琥珀ちゃんの流す涙……どんな味なんだろう」
「……しょっぱいだろうよ」
「そういう問題じゃないんだよ。文芸部なんだからその辺の趣向というか行間というか、雰囲気で察してよぉ」
再び琥珀の美しさについて騒ぎ立てる七恵の話を聞き流しながら、このルームメイトの恋路を応援していいのか分からなくなりつつあった。七恵自身、琥珀には及ばないにせよ十分に容貌は整っており、平均より幾分か高い身長と相まってスマートに見えるのだが、物静かな琥珀に対して七恵の騒がしい性格はどうなのだろうかなんて不安が鎌首をもたげるのだ。……まぁ、それを分かった上でも応援してしまうんだろう。それだけ私はもう七恵にほだされているのだから。
そんなこんなでとうとう遠足当日となり、私たち高等部一年の生徒はバスに揺られて隣県まで赴き、規模の大きさと観覧車で有名な水族館にやってきた。
「これから自由時間です。皆さん、それぞれ星花女子の生徒として恥ずかしくない行動を心がけて下さい」
担任の先生に釘を刺されつつも私たち三人は水族館の順路に沿って移動し始めた。なんだかんだで団子になっちゃうのではなかろうかと思ってはいたけれど、入り口付近にも売店があったり、通路が広かったりと、そこまで圧迫感や窮屈さを感じることなく動くことができた。海に面したこの水族館の特徴は、シームレスの水槽に広がる海そのものといった空間だ。
「すごいですね。人魚になったような気分です」
ただ単に「まるで海の中にいるようだ」という表現をしなかった琥珀に私も首肯した。魚の鱗が光を反射して幻想的な灯りに照らされる。確かに有名な水族館ではあるが、どこか期待していなかった私を良い意味で裏切ってくれた。
「すごい! 綺麗だね、琥珀ちゃん!」
はじけるような笑顔を浮かべながら私たちより数メートル前を歩く七恵。心から楽しんでいるようで何よりだが、自分の目的を忘れているのではないかと少し不安になる。
「この先、マンボウが見れるらしいよ!!」
意図したものかどうか分からないけれど、七恵は楽しそうに私たちの手を握り、駆けだした。なし崩し的ではあるが七恵を真ん中に三人で手を繋いで水槽を見ることになった。さっきまでの魚たちが群れを成して泳ぐ様も美しいのだが、大きなマンボウやエイが悠々と泳ぐ様というものはまた別種の美しさがある。頭上を通り過ぎる彼らを見ていると、えも言われぬ浮遊感のようなものを感じる。三人で手を繋いで水面を漂っているかのような。
「この三人でさ、海……行ってみたいかも。プールでもいいけどさ」
七恵も同じようなことを思ったのか、不意にそんなことを口にした。
「いいですね……。なんだか、わたしもそう思います」
琥珀も同じ気持ちになったらしい。それが嬉しかったようで七恵は既にいつ海に行くかなんて言い出したけど、取り敢えず夏になってからと制して足を進めることにした。次のエリアはがらっと雰囲気が変わって深海魚の展示をしているほんのりと薄暗い空間。普段はなかなか目にしない魚たちの姿は知的好奇心をくすぐる。生態が未だに謎というのは本当に面白い。説明文を見るため七恵と繋いでいた手をほどいた。
「あ、ちょ、凪ってば」
私が手を離したことで急に琥珀の手を握っているのが恥ずかしくなったのか、琥珀とも手を離してしまったようだ。初心なヤツめ。
「深海魚の生態、興味深いですね」
「琥珀はこういうの好きなの?」
「そうですね、いつか生きたリュウグウノツカイを見てみたいものです」
名前を聞いてすぐに姿は思い浮かんだこの場にはいない深海魚に思いをはせつつ、文字を追う私たちを遠目に水槽を眺める七恵のことを、琥珀へ直接聞いてみた。
「七恵のこと、どう思う? 鬱陶しくなければいいのだけど」
「鬱陶しいなんてとんでもない。あんな優しい方と出会うのはいつ振りでしょうか。……わたしは感情を表現することや人と上手く接することが苦手なので」
これまで接してきて、琥珀の対人能力が低いと思ったことは一度もない。確かに表情は人形めいた部分がありお世辞にも柔らかいとは言いがたいけれど、喜怒哀楽が決してないわけではないはずだ。少なくとも嬉しそうに笑ってくれたこともあったし、今はかすかに悲しげな顔をしているように見える。
「そんなことないんじゃないかな。私は琥珀といて楽しいし、七恵はもっと楽しいと思ってるはずだよ。ほら、行こうか。次のエリアはイルカショーが見られるって」
今日のメインイベントといっても過言ではない。琥珀は感情の動かし方が不器用ではあるが、非常に素直な心の持ち主だと思う。だからきっと、感動はするだろうし、泣く場面か分からなかった場合でも七恵がまず泣くからきっと泣いていいんだと察してくれるだろう。……ただ、琥珀が泣いたとしても七恵がその雫を口にできるかは全くの未知数だけど。
「あれ、今日のイルカショーはトレーナーさんもイルカにとってもデビュー戦らしいね。……デビュー戦って言い方をするかはさておき」
唐突に押し寄せる不安の波。案の定とでも言うべきか、トレーナーとイルカは息ぴったりとは言えず、ジャンプは低いは意図しないタイミングでこちらに水をかけてくるは、放ったボールをトレーナーに直撃させるは……それはもう惨憺たるものだった。また別の意味で泣きたくなってきた。
「では最後に二頭揃っての輪くぐりからの大ジャンプを披露させていただきます」
それでもなお新人トレーナーさんの心は折れていないようで、ショーのプログラムを最後までやりきるという強い意志が声に出ていた。それが高い知能を持つというイルカに届いたのかどうかは分からないものの、宙に放られた二つのフラフープを二頭のイルカがするりとくぐり、ホイッスルの力強い音と共に二頭が今日一番のハイジャンプを見せた。派手に上がった水しぶきと共に会場は割れんばかりの拍手が飛び交った。あまりにもできすぎた感動的場面だ。ひょっとしたらイルカも不安だったのかもしれない。最初の挨拶から失敗続きの間はずっとトレーナーさんの声は震えていた。最後だけは、その震えが全くなかった。
「すごい、すごかったよぉ。うぅ……良かったよぉ」
考えていたものとは違ったものだが、七恵は泣き出した。心の底から流している涙なのだろう。琥珀も泣いてはいないが優しい目をしている。その目が向けられているのは……ステージではなく七恵だった。それが不思議で、私は琥珀に訪ねた。
「この光景に涙する女子校生は珍しいかしら?」
「感情を素直に表せる青山さんが羨ましいのです」
「ふぇ?」
「青山さんのありのままの振る舞いを見ているとなんだか心が温かくなるような感じがするのです」
流石に恋心ではないだろうけど、特別な興味があるんだろうという発言に七恵はますます目を丸くする。七恵自身がまだ琥珀への気持ちが固まっていない分どういう思いが渦巻いているのか分からないけど、きっと喜びが大きすぎてショートしているのではなかろうか。
遠足前夜の会話を思い出す。
「遠足の最後にさ、琥珀と二人で観覧車に乗りなよ。私は送り出すからさ。二人きりのゴンドラで告白でもしちゃえ」
「え!? 琥珀ちゃんに? 涙を飲ませてくださいって? 危ない人じゃん」
「……七恵、琥珀のこと好きとかそういうんじゃないの?」
私の言葉に唸る七恵はやっぱり自分の気持ちが分かっていないようで困惑していた。私も初めてした恋が女の子相手で当然戸惑ったけど、自分の想いに正解も不正解もないって今なら分かるから、あとはきっと七恵自身が自分だけの答えを見付けなきゃいけないんだと思う。
水族館の順路を抜けて売店でお揃いのキーホルダーを買ったり、私は綾乃へのお土産を買い七恵は部活へお土産を買ったりした。バスでのおしゃべりや売店でお土産を物色している間に私たちは琥珀について多くを聞いた。今は菊花寮に住んでおり部活には所属していない。海洋生物が好きでお揃いのキーホルダーはシロイルカを模したものになった。
「最後に観覧車に乗ろうよ!」
「私はパス。琥珀、一緒に乗ってあげて」
「あ、はい。行きましょう、青山さん」
二人を見送った私はメッセージアプリを起動して綾乃とぽちぽちメッセのやりとりをしながら、さっき買ったばかりのシロイルカのキーホルダーを眺めながらゆっくりとした時間を過ごした。
5月も半ば、五月晴れの温かい休日に私たちは温水プールの施設へやってきた。私、七恵、琥珀、綾乃の四人でだ。いわゆるダブルデートというやつだ。泳げない私はただただ水面を漂うばかりでプールに来た意味を綾乃に問われてばかりだったが、まぁ彼女の水着姿を見られただけでも十分だ。
「ちょっと、綾乃。私の日記読まないでよ」
「ごめんごめん、ネタ帳かと思って」
愛らしい顔に笑みを浮かべる綾乃。しぶしぶという形で許すが、彼女が私の日記を時折読むのはもう致し方ないのだろう。クラスも寮も違うから会える時間は少ないし、書いていれば私だって綾乃の日記を読みたくなるだろう。
「そういえばさ、七恵は琥珀の涙を飲んだの?」
「それは聞いてないや。どんな味だったんだろうね」
「凪だったらなんて表現する?」
私は少しだけ考えてから、無難でありふれた表現ではあるが最も適切なフレーズを口にした。
「やっぱり、初恋の味……じゃないかな」
「いや、意味が分からないんだけど」
私、小森凪がルームメイトの青山七恵に相談された内容は普通じゃ考えられないものだった。曰く、その名のように美しい宝石のような瞳の彼女が流す涙は、同じく宝石のように美しいのではなかろうか。曰く、悲しくて流す涙じゃなくてもよくて、嬉しい時や欠伸をした時に目尻に溜まるそれでもかまわない。曰く、そしてその涙を私は舐めてみたい、味わってみたい、とのこと。
「私のルームメイト、変態だったんだなぁ」
私たちが通う学校は私立の星花女子学園。中等部から入学した私たちは三年間を同じ部屋で過ごし、そして高等部に進学し寮が変わってなおルームメイトになった。お互いのことをなかなかに理解し、特段の秘密もなく、私に同性の恋人ができても素直に祝福してくれた、よく出来た人物ではあるのだが……そんな性癖を抱えていたとは。
「だってあの琥珀ちゃんだよ」
……蓮杖琥珀。高等部から入学した彼女はクラス――否、学年でもトップクラスの美貌の持ち主としてよく話題に上がる。光の加減で色味の変わる髪と瞳はまさしく琥珀の輝き。とはいえ。
「彼女、泣くどころか笑うこともあまりないらしいじゃない」
「そこなんだよ。感情の起伏があまりないのがまたお人形さんめいて美しいのだけれど」
「で、そんな彼女を泣かせたいと」
「人聞きの悪い言い方しないでよね」
立成20年の4月26日。これは不器用な二人の少女達が過ごす日々を少しだけ離れた位置から見守る暇人の日記のようなもの。
翌日、七恵と一緒に登校した私はクラスをぐるっと見渡す。40人弱のクラスには、当然のごとく派閥めいたものがある。私や七恵は純然たる文系の括りに含まれることが多く、自然と周りもそんな女の子たちで固まっていた。件の蓮杖琥珀は高等部入学組の派閥とも自然と美少女が集まる派閥でもなく、だからといって孤立しているわけでもなく、極めて器用な世渡りをしているように感じる。むしろ、周囲が彼女の妖精めいた美しさに手をこまねいているような感じがしてならない。派閥の力はメンバーの女子力によって決まるなんて話を聞いたことがある。……女子力は戦闘力だなんて言っている人もいたっけ。
「ねぇ蓮杖さん。あ、琥珀ちゃんって呼んで良い? あんまり話したことなかったよね。私、青山七恵、よろしくね」
七恵は早速アプローチにかかった。七恵のコミュ力はかつての私がすぐに心を開いた程で、まさに折り紙付きといえよう。きっとどんなぼっちもコミュ障も彼女の前では話せるだろう。それでいて人の輪の中心にはいない彼女を時折不思議に思うのだが。
「青山さんですね。覚えていますよ。自己紹介でコーヒーが苦手だと」
「え、まさか全員分覚えてるの? すごいね」
「なんとなく印象に残っただけですよ」
「じゃ、じゃあ、この娘は?」
4月のこの時期、まだ席替えはしていない。青山も小森も蓮杖からかなり遠い。なんなら教室内で対角線にあるといってもいい。そんな私が何故、七恵と蓮杖琥珀の会話を知り得ているか、それは私がすぐ隣にいるからである。
「小森凪さんね。図書委員さんでしたよね?」
玲瓏とした、という修飾語がよく似合う美しい声色。それを紡ぐ唇もまたルージュなしであるにもかかわらず、艶やかで目が離せなくなってしまいそうだ。人間味ある色気、可憐さというよりも芸術品めいた精緻な美を持つと言えよう。あげく記憶力まで優秀となると最先端のアンドロイドなのかもしれないなんて……流石に馬鹿げているのは承知の上だ。
「あ、そうそう。来週は遠足があるでしょ? 一緒の班になれたら嬉しいな」
天啓を得たりとでも思ったのか、七恵の声は普段より大きくなっていた。普段から大きい方であるのに。ホームルーム前の喧噪が一段階、静まった気がした。
「考えてみますね」
蓮杖琥珀はそう言って微笑んでみせた。絵画のような隙の無い……やはりどこか人間味を感じさせない笑みであった。
「おーい、ホームルームの時間だ。席に着け」
担任の先生が来たため話は中断。結局、その日はそれ以上、彼女と話すことは無かった。
その日、私が所属する文芸部と七恵が所属するイラスト部、それぞれ活動を終えて寮に帰ると私から話しを切り出した。
「あの娘と遠足の班を組むつもり?」
中等部、高等部それぞれ一年生は5月の頭に遠足へ行くことになっている。学年でまとまってではなく、行き先はクラス別で中等部は県内、高等部は隣県にまで足を伸ばす。行き先は歴史的名所であったり博物館や水族館であったり、生徒の希望ではなく担任がくじ引きで決めているらしい。私たちのクラスは水族館に行くことが決まった。市内にも水族館はあるが隣県のそれにはなんと観覧車まであるという。高いところが苦手な私にはノーサンキューなのだけど。
「凪は嫌? 琥珀ちゃんが一緒だと」
「別に。私からすれば綾乃以外等しく普通。……まぁ、七恵は例外だけど」
「彼女ガチLOVE勢こえぇ……」
「綾乃に会いたくなってきたし今日は菊花へお泊まりに行こうかな。クラスが別で寂しいし。……そういえば彼女、どこに住んでるんだろうね」
「確かに。少なくとも桜花寮じゃない。菊花じゃないかな。頭良いんだし」
「実家生ってこともあるだろうけどね」
結論の出ない問をさっさと切り上げ、私はルームメイトに見送られて彼女が住む部屋に向かった。この学園には菊花寮と桜花寮という二種類の寮があり、ざっくり大別すると菊花が個室で桜花が二人部屋となっている。寮内のお泊まりに関しては比較的ゆるめの書類記入で事足りるため、友達同士、恋人同士……二人でなく三人以上で夜通し語り明かすなど、なにかと移動がある。特に恋人同士で一晩を共にする場合は――。
翌日、腰の痛みを引きずりながらも登校すると、七恵が蓮杖琥珀と話していた。
「おはよう七恵」
素通りする理由も特になく、普通に声をかける。
「おはよう凪。夕べはお楽しみでしたかい?」
「そうよ。蓮杖さん、でいいかしら。おはよう」
「おはようございます。琥珀でいいですよ。好きなんです、この名前は」
宙ぶらりんでいた彼女への二人称が琥珀でようやく定まり、遠足の話題を私から振ってみた。
「そうですね、せっかく誘っていただいたのですから。ご一緒させてもらおうと思っています。わたし、どうにも人を避けてしまいがちで。なので、誘ってもらえて嬉しかったんです」
この言葉に私は内心たいへん驚愕していた。まず人を避けてしまいがちという発言。琥珀自身は誰とでも分け隔て無く接しているように見えていたのだが。いや、だからこそ彼女は自分から避けているように思い込んでしまっているのだろうか。そして、彼女が素直に喜びを言葉にしたこと。人形めいた、なんて形容を何度かしている分、驚きが増していた。
「そう言ってもらえて私も嬉しいよ。ね、凪」
七恵の満面の笑みに私も相好を崩す。とはいえ、遠足だけで七恵が目標を達成できるかどうか。そもそも水族館に泣く要素なんて存在しない。楽天家の七恵が何か策を練っているとも思えない。何か私が考えてみようか。何だかんだで大切なルームメイトなのだから。それにきっと、七恵自身気付いていないのだろうけど、彼女が琥珀に向ける目にかすかな恋心が透けて見える。何年か前に顔のいい人にめっぽう弱いなんて言ってはいたけど、本当にそうなんだなぁと感心してしまった。
その日の最後の時間に行われたロングホームルームで遠足の班決めが終わり、私と七恵が部屋に戻ってから遠足での行動について話し合いだした。
「正直言って、水族館と涙は関係ないじゃんね。どうやって泣かせようか考えてる?」
「だからあくどい感じに聞こえる言い方をしないでってば」
琥珀が私と同じく高所恐怖症であれば観覧車の高い位置で泣いてくれるかもしれないけれど、そうであるなら普通に考えて乗ることはあるまい。
「感動的な光景とかあればいいんだけど」
「ペンギンの産卵とか?」
「……なさそうだよね」
それから何度も七恵といかにして琥珀に泣いてもらおうか考え続け、やれ派手に転んでみるだの行きのバスで怪談をするだの、しょうもない意見を出しては切り捨てしていく中でなかなかにまともだと判断されたのが、その水族館の名物であるイルカショーだ。きっと感動に涙するはずだ。……きっと、多分。
「琥珀は純粋そうだし、意外と楽に泣いてくれるかもよ?」
「琥珀ちゃんの流す涙……どんな味なんだろう」
「……しょっぱいだろうよ」
「そういう問題じゃないんだよ。文芸部なんだからその辺の趣向というか行間というか、雰囲気で察してよぉ」
再び琥珀の美しさについて騒ぎ立てる七恵の話を聞き流しながら、このルームメイトの恋路を応援していいのか分からなくなりつつあった。七恵自身、琥珀には及ばないにせよ十分に容貌は整っており、平均より幾分か高い身長と相まってスマートに見えるのだが、物静かな琥珀に対して七恵の騒がしい性格はどうなのだろうかなんて不安が鎌首をもたげるのだ。……まぁ、それを分かった上でも応援してしまうんだろう。それだけ私はもう七恵にほだされているのだから。
そんなこんなでとうとう遠足当日となり、私たち高等部一年の生徒はバスに揺られて隣県まで赴き、規模の大きさと観覧車で有名な水族館にやってきた。
「これから自由時間です。皆さん、それぞれ星花女子の生徒として恥ずかしくない行動を心がけて下さい」
担任の先生に釘を刺されつつも私たち三人は水族館の順路に沿って移動し始めた。なんだかんだで団子になっちゃうのではなかろうかと思ってはいたけれど、入り口付近にも売店があったり、通路が広かったりと、そこまで圧迫感や窮屈さを感じることなく動くことができた。海に面したこの水族館の特徴は、シームレスの水槽に広がる海そのものといった空間だ。
「すごいですね。人魚になったような気分です」
ただ単に「まるで海の中にいるようだ」という表現をしなかった琥珀に私も首肯した。魚の鱗が光を反射して幻想的な灯りに照らされる。確かに有名な水族館ではあるが、どこか期待していなかった私を良い意味で裏切ってくれた。
「すごい! 綺麗だね、琥珀ちゃん!」
はじけるような笑顔を浮かべながら私たちより数メートル前を歩く七恵。心から楽しんでいるようで何よりだが、自分の目的を忘れているのではないかと少し不安になる。
「この先、マンボウが見れるらしいよ!!」
意図したものかどうか分からないけれど、七恵は楽しそうに私たちの手を握り、駆けだした。なし崩し的ではあるが七恵を真ん中に三人で手を繋いで水槽を見ることになった。さっきまでの魚たちが群れを成して泳ぐ様も美しいのだが、大きなマンボウやエイが悠々と泳ぐ様というものはまた別種の美しさがある。頭上を通り過ぎる彼らを見ていると、えも言われぬ浮遊感のようなものを感じる。三人で手を繋いで水面を漂っているかのような。
「この三人でさ、海……行ってみたいかも。プールでもいいけどさ」
七恵も同じようなことを思ったのか、不意にそんなことを口にした。
「いいですね……。なんだか、わたしもそう思います」
琥珀も同じ気持ちになったらしい。それが嬉しかったようで七恵は既にいつ海に行くかなんて言い出したけど、取り敢えず夏になってからと制して足を進めることにした。次のエリアはがらっと雰囲気が変わって深海魚の展示をしているほんのりと薄暗い空間。普段はなかなか目にしない魚たちの姿は知的好奇心をくすぐる。生態が未だに謎というのは本当に面白い。説明文を見るため七恵と繋いでいた手をほどいた。
「あ、ちょ、凪ってば」
私が手を離したことで急に琥珀の手を握っているのが恥ずかしくなったのか、琥珀とも手を離してしまったようだ。初心なヤツめ。
「深海魚の生態、興味深いですね」
「琥珀はこういうの好きなの?」
「そうですね、いつか生きたリュウグウノツカイを見てみたいものです」
名前を聞いてすぐに姿は思い浮かんだこの場にはいない深海魚に思いをはせつつ、文字を追う私たちを遠目に水槽を眺める七恵のことを、琥珀へ直接聞いてみた。
「七恵のこと、どう思う? 鬱陶しくなければいいのだけど」
「鬱陶しいなんてとんでもない。あんな優しい方と出会うのはいつ振りでしょうか。……わたしは感情を表現することや人と上手く接することが苦手なので」
これまで接してきて、琥珀の対人能力が低いと思ったことは一度もない。確かに表情は人形めいた部分がありお世辞にも柔らかいとは言いがたいけれど、喜怒哀楽が決してないわけではないはずだ。少なくとも嬉しそうに笑ってくれたこともあったし、今はかすかに悲しげな顔をしているように見える。
「そんなことないんじゃないかな。私は琥珀といて楽しいし、七恵はもっと楽しいと思ってるはずだよ。ほら、行こうか。次のエリアはイルカショーが見られるって」
今日のメインイベントといっても過言ではない。琥珀は感情の動かし方が不器用ではあるが、非常に素直な心の持ち主だと思う。だからきっと、感動はするだろうし、泣く場面か分からなかった場合でも七恵がまず泣くからきっと泣いていいんだと察してくれるだろう。……ただ、琥珀が泣いたとしても七恵がその雫を口にできるかは全くの未知数だけど。
「あれ、今日のイルカショーはトレーナーさんもイルカにとってもデビュー戦らしいね。……デビュー戦って言い方をするかはさておき」
唐突に押し寄せる不安の波。案の定とでも言うべきか、トレーナーとイルカは息ぴったりとは言えず、ジャンプは低いは意図しないタイミングでこちらに水をかけてくるは、放ったボールをトレーナーに直撃させるは……それはもう惨憺たるものだった。また別の意味で泣きたくなってきた。
「では最後に二頭揃っての輪くぐりからの大ジャンプを披露させていただきます」
それでもなお新人トレーナーさんの心は折れていないようで、ショーのプログラムを最後までやりきるという強い意志が声に出ていた。それが高い知能を持つというイルカに届いたのかどうかは分からないものの、宙に放られた二つのフラフープを二頭のイルカがするりとくぐり、ホイッスルの力強い音と共に二頭が今日一番のハイジャンプを見せた。派手に上がった水しぶきと共に会場は割れんばかりの拍手が飛び交った。あまりにもできすぎた感動的場面だ。ひょっとしたらイルカも不安だったのかもしれない。最初の挨拶から失敗続きの間はずっとトレーナーさんの声は震えていた。最後だけは、その震えが全くなかった。
「すごい、すごかったよぉ。うぅ……良かったよぉ」
考えていたものとは違ったものだが、七恵は泣き出した。心の底から流している涙なのだろう。琥珀も泣いてはいないが優しい目をしている。その目が向けられているのは……ステージではなく七恵だった。それが不思議で、私は琥珀に訪ねた。
「この光景に涙する女子校生は珍しいかしら?」
「感情を素直に表せる青山さんが羨ましいのです」
「ふぇ?」
「青山さんのありのままの振る舞いを見ているとなんだか心が温かくなるような感じがするのです」
流石に恋心ではないだろうけど、特別な興味があるんだろうという発言に七恵はますます目を丸くする。七恵自身がまだ琥珀への気持ちが固まっていない分どういう思いが渦巻いているのか分からないけど、きっと喜びが大きすぎてショートしているのではなかろうか。
遠足前夜の会話を思い出す。
「遠足の最後にさ、琥珀と二人で観覧車に乗りなよ。私は送り出すからさ。二人きりのゴンドラで告白でもしちゃえ」
「え!? 琥珀ちゃんに? 涙を飲ませてくださいって? 危ない人じゃん」
「……七恵、琥珀のこと好きとかそういうんじゃないの?」
私の言葉に唸る七恵はやっぱり自分の気持ちが分かっていないようで困惑していた。私も初めてした恋が女の子相手で当然戸惑ったけど、自分の想いに正解も不正解もないって今なら分かるから、あとはきっと七恵自身が自分だけの答えを見付けなきゃいけないんだと思う。
水族館の順路を抜けて売店でお揃いのキーホルダーを買ったり、私は綾乃へのお土産を買い七恵は部活へお土産を買ったりした。バスでのおしゃべりや売店でお土産を物色している間に私たちは琥珀について多くを聞いた。今は菊花寮に住んでおり部活には所属していない。海洋生物が好きでお揃いのキーホルダーはシロイルカを模したものになった。
「最後に観覧車に乗ろうよ!」
「私はパス。琥珀、一緒に乗ってあげて」
「あ、はい。行きましょう、青山さん」
二人を見送った私はメッセージアプリを起動して綾乃とぽちぽちメッセのやりとりをしながら、さっき買ったばかりのシロイルカのキーホルダーを眺めながらゆっくりとした時間を過ごした。
5月も半ば、五月晴れの温かい休日に私たちは温水プールの施設へやってきた。私、七恵、琥珀、綾乃の四人でだ。いわゆるダブルデートというやつだ。泳げない私はただただ水面を漂うばかりでプールに来た意味を綾乃に問われてばかりだったが、まぁ彼女の水着姿を見られただけでも十分だ。
「ちょっと、綾乃。私の日記読まないでよ」
「ごめんごめん、ネタ帳かと思って」
愛らしい顔に笑みを浮かべる綾乃。しぶしぶという形で許すが、彼女が私の日記を時折読むのはもう致し方ないのだろう。クラスも寮も違うから会える時間は少ないし、書いていれば私だって綾乃の日記を読みたくなるだろう。
「そういえばさ、七恵は琥珀の涙を飲んだの?」
「それは聞いてないや。どんな味だったんだろうね」
「凪だったらなんて表現する?」
私は少しだけ考えてから、無難でありふれた表現ではあるが最も適切なフレーズを口にした。
「やっぱり、初恋の味……じゃないかな」
0
お気に入りに追加
11
あなたにおすすめの小説
放課後の約束と秘密 ~温もり重ねる二人の時間~
楠富 つかさ
恋愛
中学二年生の佑奈は、母子家庭で家事をこなしながら日々を過ごしていた。友達はいるが、特別に誰かと深く関わることはなく、学校と家を行き来するだけの平凡な毎日。そんな佑奈に、同じクラスの大波多佳子が積極的に距離を縮めてくる。
佳子は華やかで、成績も良く、家は裕福。けれど両親は海外赴任中で、一人暮らしをしている。人懐っこい笑顔の裏で、彼女が抱えているのは、誰にも言えない「寂しさ」だった。
「ねぇ、明日から私の部屋で勉強しない?」
放課後、二人は図書室ではなく、佳子の部屋で過ごすようになる。最初は勉強のためだったはずが、いつの間にか、それはただ一緒にいる時間になり、互いにとってかけがえのないものになっていく。
――けれど、佑奈は思う。
「私なんかが、佳子ちゃんの隣にいていいの?」
特別になりたい。でも、特別になるのが怖い。
放課後、少しずつ距離を縮める二人の、静かであたたかな日々の物語。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

AV研は今日もハレンチ
楠富 つかさ
キャラ文芸
あなたが好きなAVはAudioVisual? それともAdultVideo?
AV研はオーディオヴィジュアル研究会の略称で、音楽や動画などメディア媒体の歴史を研究する集まり……というのは建前で、実はとんでもないものを研究していて――
薄暗い過去をちょっとショッキングなピンクで塗りつぶしていくネジの足りない群像劇、ここに開演!!
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

さくらと遥香(ショートストーリー)
youmery
恋愛
「さくらと遥香」46時間TV編で両想いになり、周りには内緒で付き合い始めたさくちゃんとかっきー。
その後のメインストーリーとはあまり関係してこない、単発で読めるショートストーリー集です。
※さくちゃん目線です。
※さくちゃんとかっきーは周りに内緒で付き合っています。メンバーにも事務所にも秘密にしています。
※メインストーリーの長編「さくらと遥香」を未読でも楽しめますが、46時間TV編だけでも読んでからお読みいただくことをおすすめします。
※ショートストーリーはpixivでもほぼ同内容で公開中です。

【ママ友百合】ラテアートにハートをのせて
千鶴田ルト
恋愛
専業主婦の優菜は、娘の幼稚園の親子イベントで娘の友達と一緒にいた千春と出会う。
ちょっと変わったママ友不倫百合ほのぼのガールズラブ物語です。
ハッピーエンドになると思うのでご安心ください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる