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アンソロジー
希望を結んで Side:文緒&美希 立成17年9月
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それは私、五百旗頭文緒にとって三度目の恋にして初めてのキスだった。でもそれは……別れの口づけだった。
「ごめんね、美希……。やっぱり、愛する人から愛されたいの。美希のこと好きだけど、やっぱり愛じゃないの」
梶井美希。私のルームメートでクラスメート。そして……さっきまで恋人。また、友達に戻ったのだ。
「文緒がファーストキスの相手で良かった。普通な私の特別な……ね?」
美希はとりとめて特徴のないいたって普通の女の子だ。クセのないセミロングの髪に整っているが平凡な容姿、平均的な体躯。学内では新聞部とダンス部を掛け持って忙しそうに過ごしている。根が真面目で世話焼きな彼女は、ルームメートとしてずぼらな私を支えてくれた。不慣れな寮生活を半年以上送ることが出来たのは彼女のおかげだったと思う。
「美希にも、いい人が見付かるといいね 」
「うん、文緒も文緒が愛したいと思う人に出会えるといいね」
入学から半年という短い間に私は美希と、寮生の先輩の二人とお付き合いした。先輩は美意識の高い人で、美しさを研究したい私とすぐに意気投合した。けれど、繊細で几帳面な先輩とずぼらな私は少しずつすれ違って二ヶ月で別れた。
その後で、美希に私を一番側で支えたいと告白されて付き合った。甘えたりデートしたり、楽しかったけれど付き合う前と変わり映えしない日々が、少しずつ関係を考え直させた。夏休みが終る頃には私が気付いてしまった。美希のことを愛していないと。
「私は……文緒のことずっと好きだよ。友達として、一人の女の子として」
「私もずっと友達でいてほしい」
嘘偽りない私の本心だ。だからこそ、美希には辛い言葉になってしまったのだろう。
「あのね文緒、友達としてお願いがあるの。失恋したから慰めて」
「うん。いいよ。何か美味しいもの食べようよ。私が奢るよ」
「じゃあ……月見屋食堂さんがいいな」
私は頷いてポシェットに荷物を入れて出かける仕度をする。
「お財布持った? スマホは? 鍵も。電気消すよ?」
「もう、心配性だなぁ。大丈夫だよ。行こう」
美希が望んでくれた、私が愛する人を見付けるのは思ったより近い将来のことになる。
「ごめんね、美希……。やっぱり、愛する人から愛されたいの。美希のこと好きだけど、やっぱり愛じゃないの」
梶井美希。私のルームメートでクラスメート。そして……さっきまで恋人。また、友達に戻ったのだ。
「文緒がファーストキスの相手で良かった。普通な私の特別な……ね?」
美希はとりとめて特徴のないいたって普通の女の子だ。クセのないセミロングの髪に整っているが平凡な容姿、平均的な体躯。学内では新聞部とダンス部を掛け持って忙しそうに過ごしている。根が真面目で世話焼きな彼女は、ルームメートとしてずぼらな私を支えてくれた。不慣れな寮生活を半年以上送ることが出来たのは彼女のおかげだったと思う。
「美希にも、いい人が見付かるといいね 」
「うん、文緒も文緒が愛したいと思う人に出会えるといいね」
入学から半年という短い間に私は美希と、寮生の先輩の二人とお付き合いした。先輩は美意識の高い人で、美しさを研究したい私とすぐに意気投合した。けれど、繊細で几帳面な先輩とずぼらな私は少しずつすれ違って二ヶ月で別れた。
その後で、美希に私を一番側で支えたいと告白されて付き合った。甘えたりデートしたり、楽しかったけれど付き合う前と変わり映えしない日々が、少しずつ関係を考え直させた。夏休みが終る頃には私が気付いてしまった。美希のことを愛していないと。
「私は……文緒のことずっと好きだよ。友達として、一人の女の子として」
「私もずっと友達でいてほしい」
嘘偽りない私の本心だ。だからこそ、美希には辛い言葉になってしまったのだろう。
「あのね文緒、友達としてお願いがあるの。失恋したから慰めて」
「うん。いいよ。何か美味しいもの食べようよ。私が奢るよ」
「じゃあ……月見屋食堂さんがいいな」
私は頷いてポシェットに荷物を入れて出かける仕度をする。
「お財布持った? スマホは? 鍵も。電気消すよ?」
「もう、心配性だなぁ。大丈夫だよ。行こう」
美希が望んでくれた、私が愛する人を見付けるのは思ったより近い将来のことになる。
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