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アンソロジー
餅つき(1) Side:茉胡里×みのり 立成18年1月
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新春、年明け早々。私が通う星花女子学園にもほど近い商店街ではちょっとしたお祭が行われていた。近くに神社もあることから、縁日と言ってもいいかもしれない。その神社の境内で、
「よいしょ!」
「はいっ」
「よいしょ!」
「はいっ」
「よいしょ!」
「はいっ」
私は餅つきの返し手をやっていた。せっせと杵を振り下ろすのは、商店街の酒屋さんの一人娘にして、紆余曲折あって私の恋人になった愛粕茉胡里。私は恋人になってからも変わらずまこねぇと呼んでいる。
「よいしょ!」
「はいっ」
「よいしょ!」
「はいっ」
「よいしょぉ゛!! こんなもんだろ」
一頻り餅を搗いたまこねぇはボトルに入れた甘酒をぐびぐびと飲み下し、一息ついた。
「おぉい!! 次行くぞぉ!!」
少し遠くで餅米をふかしていた商店街組合のおじさんの声が響く。完成した餅は既に婦人会の皆さん(私の母が代表)で一口大に小分けされ始めた。
「ったくよぉ、ちったぁ休ませろよな。野郎どもは何してやがんだ」
「しょうがないよ。御神輿だってあるし。ここも高齢化の波がきてるわけで」
「でもよぉ、餅つきなんざコツ掴めば爺だって出来んぞ」
「じゃあまこねぇにも出来るよね」
「しゃぁねぇえな」
それからもう一回戦、餅つきをこなすと、商店街のおじさんが
「次は最初の潰しだけやって、つくのは子供らにやらせてみるといいよ。勿論、近くで見てあげて欲しいけど」
「んぁ? わぁったよ」
最初の潰しの段階が餅の味を決める工程なので、それは私も参加する。杵の頭よりの位置を持って体重をかけて餅米を潰す。極力真ん中に寄せて、最初の何回かをまこねぇがつくと、辺りを見渡して一人のツインテールの女の子に声をかける。
「そこの嬢ちゃん、ついてみないか?」
「はあ? アタシ? やらないわよ。行くわよ燐!」
すげなく断れてしまった。というかあの娘って夜ノ森書房さんの娘さんじゃ……。
「はぁい! じゃあわたしがやる!!」
「んだよ、ひかりか。まぁいい。やってみ」
「ありがと。じゃあ由佳里ちゃん。お餅ぺちぺちしてね?」
「え? えぇ。頑張るわ」
由佳里さんという、非常に背の高い人に、餅の返し方を簡単に説明する。ひかりちゃん……大空先輩は意外にも杵を持ってもふらつかず、小気味よく餅つきを楽しそうにやってくれた。
「あぁ、あっちで家で作った豚汁を配ってるので、食べていってくださいね」
神輿での行脚が終わった商店街の青年団が来たので、私らのお役目もご免だ。
「疲れたぁ。腹ぁ減ったぜ。ったく。縁日もいいが、みのりの飯が食いてぇ」
「もう、しょうがないなぁ。じゃあちょっと待って。お母さんに厨房の鍵もらってくるから」
ふふ、今年もいい一年になりそう。
「よいしょ!」
「はいっ」
「よいしょ!」
「はいっ」
「よいしょ!」
「はいっ」
私は餅つきの返し手をやっていた。せっせと杵を振り下ろすのは、商店街の酒屋さんの一人娘にして、紆余曲折あって私の恋人になった愛粕茉胡里。私は恋人になってからも変わらずまこねぇと呼んでいる。
「よいしょ!」
「はいっ」
「よいしょ!」
「はいっ」
「よいしょぉ゛!! こんなもんだろ」
一頻り餅を搗いたまこねぇはボトルに入れた甘酒をぐびぐびと飲み下し、一息ついた。
「おぉい!! 次行くぞぉ!!」
少し遠くで餅米をふかしていた商店街組合のおじさんの声が響く。完成した餅は既に婦人会の皆さん(私の母が代表)で一口大に小分けされ始めた。
「ったくよぉ、ちったぁ休ませろよな。野郎どもは何してやがんだ」
「しょうがないよ。御神輿だってあるし。ここも高齢化の波がきてるわけで」
「でもよぉ、餅つきなんざコツ掴めば爺だって出来んぞ」
「じゃあまこねぇにも出来るよね」
「しゃぁねぇえな」
それからもう一回戦、餅つきをこなすと、商店街のおじさんが
「次は最初の潰しだけやって、つくのは子供らにやらせてみるといいよ。勿論、近くで見てあげて欲しいけど」
「んぁ? わぁったよ」
最初の潰しの段階が餅の味を決める工程なので、それは私も参加する。杵の頭よりの位置を持って体重をかけて餅米を潰す。極力真ん中に寄せて、最初の何回かをまこねぇがつくと、辺りを見渡して一人のツインテールの女の子に声をかける。
「そこの嬢ちゃん、ついてみないか?」
「はあ? アタシ? やらないわよ。行くわよ燐!」
すげなく断れてしまった。というかあの娘って夜ノ森書房さんの娘さんじゃ……。
「はぁい! じゃあわたしがやる!!」
「んだよ、ひかりか。まぁいい。やってみ」
「ありがと。じゃあ由佳里ちゃん。お餅ぺちぺちしてね?」
「え? えぇ。頑張るわ」
由佳里さんという、非常に背の高い人に、餅の返し方を簡単に説明する。ひかりちゃん……大空先輩は意外にも杵を持ってもふらつかず、小気味よく餅つきを楽しそうにやってくれた。
「あぁ、あっちで家で作った豚汁を配ってるので、食べていってくださいね」
神輿での行脚が終わった商店街の青年団が来たので、私らのお役目もご免だ。
「疲れたぁ。腹ぁ減ったぜ。ったく。縁日もいいが、みのりの飯が食いてぇ」
「もう、しょうがないなぁ。じゃあちょっと待って。お母さんに厨房の鍵もらってくるから」
ふふ、今年もいい一年になりそう。
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