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アンソロジー
初対面 Side:すみれ&莉那&姫奏 立成16年4月
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春爛漫の四月。ウチ、纐纈すみれは姉も通った星花女子学園の中等部に入学した。7歳上の姉あやめは生徒会副会長を三年生の時つまりは二年前に務めたという。だからウチは姉と違うことがしたくて、決して仲が悪いわけではなくて、むしろ良いのだけれど、比べられるのが嫌でウチは風紀委員の門を叩いた。
「よくぞ来た、新たなる輩よ。このユースティティアが歓迎しよう」
そこにいたのは黒マントを纏ったツインテール頭の魔女のようなシルエット。
ーーパタン!ーー
開けたばかりの引き戸をすぐさま閉めた。扉の向こうからは困惑したような声が聞こえたが、ウチだって内心は相当に困惑していた。ウチはオカルトの類いがトマトほどではないが、ちょっとだけ苦手で、魔女は特に憧れもかすかにあるし実在するとも思うけれど、決してお近づきにはなりたくない。よもや入学して数日で出会ってしまうなんて不運だ。これでは風紀委員になるなんてどだい無理だ。
「やっぱり生徒会か……」
ほんのかすかに、そんなぁという嘆きの声が聞こえた気がしたけれど、気のせいだと言い聞かせてウチは生徒会室へ向かった。そして……。
「ようこそ生徒会執行部へ。歓迎するわ」
出会ってしまったのだ。会長、五行姫奏に。その圧倒的なカリスマに一瞬にして心酔してしまった。
「会長の五行姫奏よ。貴女、名前は?」
「こ、纐纈、すみれです。あの、纐纈あやめの、妹になります」
ウチがそう伝えると、五行先輩は頷いてなるほどと呟いた。よく似た姉妹とは言われるけれど、年がそれなりに離れているから分かる人はあまり多くない。けれども先輩はウチの姉と似た部分を見付けられたらしい。
「あ、あの。さっき風紀委員会の部屋にも寄ったのですが、その……魔女がいまして」
あの魔女がどうにも気になって先輩に尋ねてみた。すると、
「あぁ、莉那のことね。魔女っていうより邪神なんだけど、そうね。悪い子じゃないから」
「は、はぁ」
そういえば今、生徒会室には会長しかいない。なんで……?
「ただ今戻りました。あ、一年生来てくれたんですか。よかったぁ」
「なんや、今年の一年はやる気があってええな」
疑問に思った矢先、生徒会室に眼鏡をかけた真面目そうな人や、外国人っぽい顔立ちなのに関西弁を話す人など、ぞろぞろと入ってきた。
「部活動の勧誘が強引でないか、総出でパトロールしてもらっていたの。さて、生徒会のお勤めについて、説明をしようかしら」
立ち上がったり書類を取り出したり、たったそれだけの所作であるにも関わらず、先輩はとても美しく優雅だった。指の動き足捌き、そこにはウチが目指す完璧な姿があった。
その日からだった。ウチが生徒会長になりたいと思ったのは。父のように選挙を勝ち抜き、人の心を惹きつける、そんな生徒会長になりたいと。
「よくぞ来た、新たなる輩よ。このユースティティアが歓迎しよう」
そこにいたのは黒マントを纏ったツインテール頭の魔女のようなシルエット。
ーーパタン!ーー
開けたばかりの引き戸をすぐさま閉めた。扉の向こうからは困惑したような声が聞こえたが、ウチだって内心は相当に困惑していた。ウチはオカルトの類いがトマトほどではないが、ちょっとだけ苦手で、魔女は特に憧れもかすかにあるし実在するとも思うけれど、決してお近づきにはなりたくない。よもや入学して数日で出会ってしまうなんて不運だ。これでは風紀委員になるなんてどだい無理だ。
「やっぱり生徒会か……」
ほんのかすかに、そんなぁという嘆きの声が聞こえた気がしたけれど、気のせいだと言い聞かせてウチは生徒会室へ向かった。そして……。
「ようこそ生徒会執行部へ。歓迎するわ」
出会ってしまったのだ。会長、五行姫奏に。その圧倒的なカリスマに一瞬にして心酔してしまった。
「会長の五行姫奏よ。貴女、名前は?」
「こ、纐纈、すみれです。あの、纐纈あやめの、妹になります」
ウチがそう伝えると、五行先輩は頷いてなるほどと呟いた。よく似た姉妹とは言われるけれど、年がそれなりに離れているから分かる人はあまり多くない。けれども先輩はウチの姉と似た部分を見付けられたらしい。
「あ、あの。さっき風紀委員会の部屋にも寄ったのですが、その……魔女がいまして」
あの魔女がどうにも気になって先輩に尋ねてみた。すると、
「あぁ、莉那のことね。魔女っていうより邪神なんだけど、そうね。悪い子じゃないから」
「は、はぁ」
そういえば今、生徒会室には会長しかいない。なんで……?
「ただ今戻りました。あ、一年生来てくれたんですか。よかったぁ」
「なんや、今年の一年はやる気があってええな」
疑問に思った矢先、生徒会室に眼鏡をかけた真面目そうな人や、外国人っぽい顔立ちなのに関西弁を話す人など、ぞろぞろと入ってきた。
「部活動の勧誘が強引でないか、総出でパトロールしてもらっていたの。さて、生徒会のお勤めについて、説明をしようかしら」
立ち上がったり書類を取り出したり、たったそれだけの所作であるにも関わらず、先輩はとても美しく優雅だった。指の動き足捌き、そこにはウチが目指す完璧な姿があった。
その日からだった。ウチが生徒会長になりたいと思ったのは。父のように選挙を勝ち抜き、人の心を惹きつける、そんな生徒会長になりたいと。
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