星空の花壇 ~星花女子アンソロジー~

楠富 つかさ

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アンソロジー

備えあれば 立成17年8月

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 その日、高等部桜花寮の食堂には多くの生徒が集まっていた。

「桜来、どれがいい?」
「さらはあれがいいです」

「あーちゃん、またそれですか?」
「いいじゃないですか。マイクも食べてみます?」


「先輩、これを」
「ありがとう~。美味しいね」

「こういうのも楽しくていいですわぁ」
「ちょ、エヴァちゃん周り見て!」
「茉莉花! ぶつかる!」

「大活躍ね、恵」
「まぁね。菜翠ちゃん、そっちは?」
「平気です。田村先輩はどうですか?」
「こっちも順調よ」

「いのりちゃん、これ」
「ありがとう三枝さん」
「よ、真紀奈。これ食べていい?」


「雪乃、まだ食べるの?」
「い、いいじゃない別に」

「はじめちゃん、これ食べた?」
「あ、奏乃ちゃんありがとう」

「果奈、全然食べてないじゃん」
「そう? 食べてるわよ」

「それにしても、クラッカーにいろいろ乗せて食べるなんてお嬢様っぽいことしてるわね」
「一年生には馴染みないよね」

 防災の日を目前に控える8月最後の日曜日。桜花寮の食堂には保存食とそれを材料に調理された食べ物が所狭しと並んでいた。星花は多くの生徒を抱える学園でもあるが地域の防災拠点としての役割もある。天寿からもたらされる潤沢な資金は、こうして各寮に十分な備蓄ができている。が、それらも当然、賞味期限があるためそれが近付くと皆で食べるようにしているのだ。

「もも缶おいしい……」
「このパン、缶詰なの……うそ……」
「このご飯美味しい。非常食って深化してるわね」
「氷砂糖の安心感……」

 思い思いの楽しみ方をするこの食事会。各寮の密かな楽しみとなっているのだった。
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