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#6 クッキング&ショッピング
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ものを受け取りつつ肉まんを一つ買って食べながら帰る。三十分程度のお出かけだ。
「二人とも、いつになったら帰ってくるのやら。お昼、どうしよう……」
そんな心配をしていると、
「あれ、美羽奈ちゃーん!」
裏門の近くで二人と合流した。
「お昼はどうしたの?」
二人が出掛けてからそう時間は経っていないはず。どこへ行ってきたんだろうか。
「美羽奈ちゃんのお味噌汁が飲みたいから帰ってきちゃった」
と言う深由希。やっぱりあざとい。
「じゃあ最高の味噌汁のために材料の調達からしてくるね!」
「いや、そこから始めなくていいから!」
御友里の素早いツッコミに笑いながら、簡単に味噌汁を作り始める。
「じゃあ、ちょっと待っててね」
青メモックを確認して使える食材から何なら作れるか考える。四分の一になったキャベツを刻み、ウインナーと一緒に炒め玉子を落とす。簡易オムレツにソースをかけて提供。
「はい、おまたせ~」
「「いただきます」」
冬休みということで部屋に引き籠もりがちになってしまうけど、もうじきクリスマスだしご馳走を作って二人にも食べて欲しい。となると買い物に行かなきゃなぁということで。
「二人とも、帰ってきたばかりで悪いけど、食材買いに行くの付き合って」
「了解。荷物持ちは任せな」
「いいよぉ。今日と明日のご馳走の準備だね?」
サムズアップで返答する御友里と笑顔を浮かべる深由希を見ながら、私もつい口角が上がるのだった。
「いやぁ、買ったねぇ」
買い物を終えて午後5時。寮のクリスマスは留まり組が合同で行うが、イブは部屋ごとで送る。女子校だからこそ、彼氏持ちなんて稀有な存在。女子同士で男性アイドルの品評を行うもよし、理想を求めて二次元へ跳ぶのもよし、女子同士で愛しあってもよし、そんなイブが今日なのだ。大量の肉やポテトサラダの材料、ケーキの材料やデコレーション素材も含めて、結構な量を買ってきた。重かったのは根菜と牛乳、それから肉類。卵も買ったから慎重に運んできた。スコッチエッグも作るし、ポテトサラダにもケーキにも必要。ニワトリに感謝。鶏肉も食べるけどね。もっとも、他の寮生も使う食材もあるし、大容量の調味料とかも買い足されている。
「じゃあ、仕込みするから、二人は部屋でごゆっくり」
私がいつもみたいに二人に言うと、
「余計な気を回さなくていいよ。今日ぐらいは手伝うから」
「そうなの、美羽奈ちゃんだけに頑張らせちゃいけないの」
二人は袖を巻くって手伝う意志を示した。なんだろう、ちょっとどころじゃなく嬉しい。
「そうは言っても……この時期の共用キッチンは戦場だから……」
クリスマスとバレンタインは十分に広い寮の共用キッチンに加えて、寮食堂の厨房まで開放しようと、人がごったがえして普段から使わない人はお荷物と化してしまう。
「じゃあ場所の様子を見ながら、御友里はジャガイモの皮を剥いて、ボールに入れて潰して。深由希は人参を切って、星型の型でくりぬいて。余った部分はフードプロセッサーに入れて。ジュースにするから」
「「了解!」」
二人に作業をさせている間に私は、スコッチエッグとミニハンバーグ用にひき肉をビニール袋に入れて捏ねる。胡椒やナツメグも入れて本格的に。ゆで卵もスタンバイ済み。合い挽き肉を一旦置いて唐揚げ用の鶏肉にも下ごしらえを施す。にんにくは少なめに、その代わりにカレー粉を少し入れてスパイシーに仕上げる。フライドポテトは明日出るからいいか。
「ジャガイモ潰し終わったよ」
「え、はやっ!」
そんなに量があるわけはないが、普段の倍近いスピードでマッシュされたジャガイモには驚いた。
「人参はもうちょっとだよぉ」
深由希から宣言を受けたので、取り敢えず御友里にはきゅうりをスライサーにかけてもらった。
「あ、パン粉作らなきゃ」
「パン粉なら余ってるよ」
寮の先輩がパッドに入ったパン粉を持ってきてくれた。スコッチエッグを揚げる直前まで完成させ、鶏肉も味を染み込ませる段階まで進めた。くりぬき終えた人参をポテトサラダに投入し、マヨネーズを入れながら進める。ハムやコーンや卵も入れて、味見。
「うん、これで完成。二人ともお疲れ。あとは揚げる作業だけだから大丈夫だよ」
先にスコッチエッグをあげながら、人参が入ったフードプロセッサーを見やる。リンゴとかレモン汁、蜂蜜なんかを入れ、ヨーグルトをベースにドリンクを作る。
「冷蔵庫で冷やしておこうか。ケーキは明日作るとして、あとは待つだけか」
炊飯器も他の寮生がセットしてある。業務用の大きな炊飯釜が厨房からこちらに移されている。ご飯が炊ける頃には唐揚げも二度揚げ出来るだろう。
「二人とも、いつになったら帰ってくるのやら。お昼、どうしよう……」
そんな心配をしていると、
「あれ、美羽奈ちゃーん!」
裏門の近くで二人と合流した。
「お昼はどうしたの?」
二人が出掛けてからそう時間は経っていないはず。どこへ行ってきたんだろうか。
「美羽奈ちゃんのお味噌汁が飲みたいから帰ってきちゃった」
と言う深由希。やっぱりあざとい。
「じゃあ最高の味噌汁のために材料の調達からしてくるね!」
「いや、そこから始めなくていいから!」
御友里の素早いツッコミに笑いながら、簡単に味噌汁を作り始める。
「じゃあ、ちょっと待っててね」
青メモックを確認して使える食材から何なら作れるか考える。四分の一になったキャベツを刻み、ウインナーと一緒に炒め玉子を落とす。簡易オムレツにソースをかけて提供。
「はい、おまたせ~」
「「いただきます」」
冬休みということで部屋に引き籠もりがちになってしまうけど、もうじきクリスマスだしご馳走を作って二人にも食べて欲しい。となると買い物に行かなきゃなぁということで。
「二人とも、帰ってきたばかりで悪いけど、食材買いに行くの付き合って」
「了解。荷物持ちは任せな」
「いいよぉ。今日と明日のご馳走の準備だね?」
サムズアップで返答する御友里と笑顔を浮かべる深由希を見ながら、私もつい口角が上がるのだった。
「いやぁ、買ったねぇ」
買い物を終えて午後5時。寮のクリスマスは留まり組が合同で行うが、イブは部屋ごとで送る。女子校だからこそ、彼氏持ちなんて稀有な存在。女子同士で男性アイドルの品評を行うもよし、理想を求めて二次元へ跳ぶのもよし、女子同士で愛しあってもよし、そんなイブが今日なのだ。大量の肉やポテトサラダの材料、ケーキの材料やデコレーション素材も含めて、結構な量を買ってきた。重かったのは根菜と牛乳、それから肉類。卵も買ったから慎重に運んできた。スコッチエッグも作るし、ポテトサラダにもケーキにも必要。ニワトリに感謝。鶏肉も食べるけどね。もっとも、他の寮生も使う食材もあるし、大容量の調味料とかも買い足されている。
「じゃあ、仕込みするから、二人は部屋でごゆっくり」
私がいつもみたいに二人に言うと、
「余計な気を回さなくていいよ。今日ぐらいは手伝うから」
「そうなの、美羽奈ちゃんだけに頑張らせちゃいけないの」
二人は袖を巻くって手伝う意志を示した。なんだろう、ちょっとどころじゃなく嬉しい。
「そうは言っても……この時期の共用キッチンは戦場だから……」
クリスマスとバレンタインは十分に広い寮の共用キッチンに加えて、寮食堂の厨房まで開放しようと、人がごったがえして普段から使わない人はお荷物と化してしまう。
「じゃあ場所の様子を見ながら、御友里はジャガイモの皮を剥いて、ボールに入れて潰して。深由希は人参を切って、星型の型でくりぬいて。余った部分はフードプロセッサーに入れて。ジュースにするから」
「「了解!」」
二人に作業をさせている間に私は、スコッチエッグとミニハンバーグ用にひき肉をビニール袋に入れて捏ねる。胡椒やナツメグも入れて本格的に。ゆで卵もスタンバイ済み。合い挽き肉を一旦置いて唐揚げ用の鶏肉にも下ごしらえを施す。にんにくは少なめに、その代わりにカレー粉を少し入れてスパイシーに仕上げる。フライドポテトは明日出るからいいか。
「ジャガイモ潰し終わったよ」
「え、はやっ!」
そんなに量があるわけはないが、普段の倍近いスピードでマッシュされたジャガイモには驚いた。
「人参はもうちょっとだよぉ」
深由希から宣言を受けたので、取り敢えず御友里にはきゅうりをスライサーにかけてもらった。
「あ、パン粉作らなきゃ」
「パン粉なら余ってるよ」
寮の先輩がパッドに入ったパン粉を持ってきてくれた。スコッチエッグを揚げる直前まで完成させ、鶏肉も味を染み込ませる段階まで進めた。くりぬき終えた人参をポテトサラダに投入し、マヨネーズを入れながら進める。ハムやコーンや卵も入れて、味見。
「うん、これで完成。二人ともお疲れ。あとは揚げる作業だけだから大丈夫だよ」
先にスコッチエッグをあげながら、人参が入ったフードプロセッサーを見やる。リンゴとかレモン汁、蜂蜜なんかを入れ、ヨーグルトをベースにドリンクを作る。
「冷蔵庫で冷やしておこうか。ケーキは明日作るとして、あとは待つだけか」
炊飯器も他の寮生がセットしてある。業務用の大きな炊飯釜が厨房からこちらに移されている。ご飯が炊ける頃には唐揚げも二度揚げ出来るだろう。
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