君と咲かせる大輪の百合

楠富 つかさ

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Oppress Night 美海×恵玲奈

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「ねぇ、美海……ほん、き……なの?」

 立成18年9月、最後の土曜日に私――須川美海は恋人の西恵玲奈の誕生日プレゼントを購入しようと本人を連れて、空の宮市北部にあるスターパレスショッピングモールにやってきた。
 私が高校三年生で、恵玲奈は大学一年生。一緒に過ごせる時間は去年より格段に減ってしまった。もうサプライズとかそういうのより、とにかく二人で過ごす時間を増やしたい。そして……。

「興味あるって言ったのは恵玲奈でしょう?」

 そう言って握っていたあるものを操作する。もしここが全く音のしない部屋だったら、きっと低い振動音が聞こえただろう。
 そう、今……私の恋人はピンクローターを挿入したまま外出しているのだ。リモコンと無線接続で連動しているそれは、鈍く恵玲奈の官能を燻らせている。

「で、何か欲しいものある? これ以外でね」

 私は振動の強さを最大に一瞬だけしながら問いかける。流石に私の恵玲奈を公衆の面前で絶頂させるようなことはしない。

「うぅ……早くホテル行きたい」
「変態」

 彼女のマゾ性を受け入れて、加虐的な振る舞いをするようになった私が言えた口ではないが。恵玲奈の変態っぷりはもうのっぴきならないところまで来てしまったように思う。

「でも……欲しいものはけっこう揃っちゃったし」

 恵玲奈とは付き合い初めてそろそろ二年になる。クリスマスや互いの誕生日でアクセサリーや下着、なんてことない文房具やマグカップまで、お揃いのものは確かにけっこうある。

「強いて言えば指輪かな。でも私が先にプレゼントするのが筋って言うか、アルバイト代だってあるし」

 ピアスやチョーカーをプレゼントしたが、確かに指輪はまだだ。……どの指にするつもりだろうか。

「あ、スマホケースとかどう? 美海、機種変したばかりでしょう?」
「そうだけど……私がプレゼントしたいのに」

 夏休みにスマホを機種変し、スマホカバーのサイズも今までと違ってしまったから、今はケータイショップでついでに買ったような洒落っ気のないものを使っている。

「お揃いがいいの。……ん。ほら、スマホのサイズ一緒だし、お揃いにできるじゃん?」

 ……多分、さっさと決めてホテルへ向かいたいのだろう。私は中くらいにしていた振動の強さを弱にしつつ、ショッピングのあとに映画を見ることを告げた。

「……ふぇ? あ、見たい映画は確かにあるけど、いいよ一人で見るし。……資料集め? あぁ、新作の。そっか。まぁ……じゃあ、行こっか」

 恵玲奈が前に見たいと言っていたのは魔法少女もののアニメ映画。私としてはさほど興味はないが、様々なジャンルのコンテンツに触れるというのはクリエイターとして当然の務めだ。それに、暗闇の中で恵玲奈にイジワルも出来そうだし。
 ひとまずモール一階の雑貨コーナーでさくっとスマホケースを決めてしまう。黒猫がモチーフにあしらわれたスマホケースは私のスマホにも恵玲奈のスマホにも対応したサイズだった。さほど高い物でもなかったからお会計は私が済ませた。恵玲奈には映画のチケットを買って貰うことでこれを納得させた。

「けっこう楽しみにしてたんだから、あんまり強くしないでよ。……小さい子供だっているんだから」
「教育に悪い声が出ちゃったら大変だものね」

 三階のシネコンでチケットを持ってきた恵玲奈にそう言われ、思わず嗜虐的な笑みを浮かべてしまった。恋が人を変えるなんて言ってしまえば月並みだが、まさか自分でもここまで変わってしまうとは思いもしなかった。
 並んだ座席に座り、ぼーっとコマーシャル映像を見る。客席は空席が半数ほど。近くの席には親子連れと女性客が一人だけ。
 私は右手を恵玲奈と繋ぎつつ、左手でリモコンを握っていたのだが……。

「美海ったら、けっこう見入ってたんじゃ無い?」

 実際、事前知識をほとんど入れずとも面白い作品ではあった。

「う、うるさいわね。それとも期待してたの?」

 ぐっとローターの振動を強めると恵玲奈が下腹部を押え始めた。いくら最弱とはいえ一時間強ローターで刺激され続けていたのだ。変態で敏感な恵玲奈じゃ軽く達していたとしてもおかしくない。

「ちょ、ちょっとトイレ」
「ついていくわ。一人でされちゃ台無しだもの」
「そ、そんなことにしないよ。おし……んぅ」
「恵玲奈は何をしにトイレに行くのかしら?」

 視線を迷わせ狼狽える恵玲奈を尻目に、彼女の手を引いて女子トイレへ向かう。多目的トイレでもいいが、少々人目につきやすい。広い女子トイレにどうやら他の人はいないらしい。一番奥の個室に恵玲奈を押し込み、後ろ手に鍵をかける。

「ほら、一旦ローターを出しなさい」

 赤いチェックのスカートをまくり上げ、淡いピンクのショーツを下げる。一部がすっかり濡れてしまっているが、今は敢えて言及せずびしょびしょになってしまったローターを恵玲奈の目の前に晒す。

「はしたない子ね」

 耳元で囁く。びくりと恵玲奈の身体が震える。

「ひっ……ひぅ……見ないでよぉ……」

 ちょろちょろという音が響く。見ないでなんて口では言っているが、音姫を使おうともせず心なしか足も開きがちで、期待していますと言っているようなものだ。

「もう少しこれを咥えて我慢していなさい。そうね……電車でちょっと弄ってあげてもいいわ」

 ローターをちょっと奥へ押し込み、振動の強さも最弱から一段階だけ強くする。モールの食糧品コーナーで軽食やお菓子それからスポーツドリンクを購入し、直結の駅へと向かう。
 もう九月も末だが、日中はまだ暑い。それにこれから恵玲奈は身体中の穴という穴から水分を出すのだから、2リットルのボトル一本を二人で空けてしまうぐらいで丁度いい。
 私の言葉で、電車での痴漢プレイを期待していた恵玲奈だったが、思いの外電車がガラガラだったこともあり断念。期せずしてお預けを食らわせる形になった。


「ほぇ、和室……?」
「そうよ。新しく出来た座敷牢ルーム」

 これが出来たせいで度々利用していたサディスティッククィーンルームは三パターンから二パターンに減ってしまったが、まぁここも折檻をメインプレイにするルームだから問題はない。

「取り敢えず正座しなさい」
「は……はい。ちょ、美海?」

 正座させた恵玲奈の両手を後ろ手に縛り、スカートを捲る。下着はもう意味をなさないほどに濡れてしまっている。だが、今言及すべきはそんな恵玲奈の痴態ではない。

「ねぇ恵玲奈。ここにある痕は何かしら? 答えなさい」

 内腿、それこそ足の付け根から数センチの場所のそれは虫刺されにも見えるが……私には分かる。キスマークだ。
 私が最後に恵玲奈とセックスしたのは夏休みが終わる直前。一ヶ月近く前のことだ。私以外がつけたものと疑った方が自然だろう。

「答えなさい」

 ローターの振動を最弱にする。視線を彷徨わせる恵玲奈に、強く言う。ここで乱暴な手段に出ても恵玲奈が悦ぶだけだから、恵玲奈の膝に頭を預け答えるまでどかないと宣言して目を閉じる。
 恵玲奈の浅い呼吸だけがこだまする。

「……また、ジャナ研で乱交しました。サークルの合宿だって言われて……ごめんなさい」
「来ないと動画を流す、みたいに脅されたの?」

 変態で淫乱だけど、私の恋人だ。しかりつけるより先に心配するのが当然だ。

「……違うの。普通に誘われて、乱交するんだろうって思ってたのに行っちゃった。美海に、お仕置きして欲しくて」

 恵玲奈の背中を蹴ってうつ伏せに転がす。流石にカチンと来たがぐっとこらえて、焦らさなければ。味をしめられるようじゃ困る。ただでさえ会える時間に限りがあるというのに。

「こっちにお尻を向けなさい」

 膝を立ててお尻を突き出す恵玲奈。和風の部屋とあって、なかなか面白いものが置かれている。あのキスマークさえなければ、最初にお風呂に入ってそれから普通に虐めてあげようと思ったのに。

「ひゃん……なに、これ……んぅぅうう」

 ショーツを脱がし、露わとなった恵玲奈の菊門をなぞるように筆を動かす。より強い刺激を求めてぱくぱくと開閉するその周囲をしつこくなぞる。

「ふ、ぐぅう、んふぅ」

 だらしなく愛液を垂れ流す淫裂に舌を這わせれば、むせかえるほどの雌の匂いに加虐心が煽られる。

「ふぐぅ、んぅ! んぐっぅうう!!」

 布団に顔を押し付けながら絶頂の快楽に流される恵玲奈。そこに明るく溌剌な少女の面影はなく、ただただ淫乱な女の表情を浮かべている。私を相手に羞恥心など捨て去ってしまっている恵玲奈に、また違ったアプローチをしかけるのも、パートナーとしての務めだろう。
 部屋に置かれているビデオカメラをテレビに繋ぐ。そしてカメラを恵玲奈の目の前にセットする。それからディルドーを装着して、恵玲奈の膣内に打ち込む。縛った手首を掴んで無理矢理上体を起こした体勢で小気味よく打ち付ける。

「んぁ、はぁ……イク……らめぇ、あぁ!!」

 果てる恵玲奈をカメラが捉える。そしてテレビの大きなモニターにその痴態が映るというわけだ。

「そんなえっちな顔して、妹さんはどう思うかしらね?」

 耳元でそっと囁いてやると、効果は思った以上に抜群だった。

「いや、いやぁ……星玲奈には言わないで……」

 さらに身体を起こし、胸を弄りながら腰を打ち付けていく。すっかり尖ってしまった蕾を弾くと、布団の湿り気が私の足下にまで伝わってくる。

「次に浮気したら妹さんに告げ口するから」
「はいぃ……ごめんなさいぃご主人さまあ……」

 奥へぐっと腰を打ち付けると、達した恵玲奈は膝から崩れ落ち、再び形のいい臀部を私の眼前に晒すことになった。

「はひぃぃ……」

 私が平手で打つ度に恵玲奈の身体はビクビクと震え、愛液を零す。
 私が恵玲奈をこうしてしまったし、こんな恵玲奈が好きで好きでたまらない。初めての時は二本でキツく感じた恵玲奈の秘所に、私は今……親指以外の四本の指を挿入している。

「いい? 私が許すまでイッちゃダメよ?」
「はひぃ、ご、ご主人さまぁ……」

 懸命に私の命令に従おうと我慢する恵玲奈……表情を歪めながら、快楽の波に逆らおうとする恵玲奈……あぁ。なんて健気なのだろう。けれど、恵玲奈がどこで感じるか分かりきった私にかかれば、既に何度も果てた恵玲奈を絶頂に導くことくらい簡単だ。

「ひぃ、らめ……まだ、いぐぅぅ……!!」
「あーあ。まだダメだったのに」

 わざとらしく大きな声で言う。恵玲奈に命令に背いたと言い聞かせるためだ。

「ご主人さまぁ……」

 潤んだ目で私を見つめる恵玲奈の両手の拘束を解く。そして命令する。

「ここでオナニーしなさい。恵玲奈のイクところ、もっと見せて」

 私の命令に何も疑念を抱かず、恵玲奈は自分で乳首とクリトリスを刺激し始めた。恵玲奈がイキそうになるときのクセはとっくに見抜いている。私は絶頂の直前で恵玲奈の両手首を掴んで押し倒した。

「いい? これから恵玲奈は私の知らないところでイっちゃいけない。オナニーをする時も電話しなさい」
「は……はい……」
「素直でいい子ね。じゃあ、分かるわよね?」

 今の恵玲奈はもうイクことしか考えられない。どんなおねだりをしてくれるんだろうか。

「ごひゅじんしゃま専用……淫乱おまんこに……おなさけを……くらさい」

 蕩けたその声に私ももう我慢の限界で、思った以上に濡れていた自分の陰唇を恵玲奈のそれにこすりつける。

「ふぁ!! ぁあ……らめ、イクイク……ごしゅじんしゃまぁあ!!!!!!!!!!」
「っく……ぅうううう!!!」

 二人同時の絶頂で多幸感に包まれる。けれどまだ、夜は始まったばかりだ。
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