10 / 14
#10 ひざまくら
しおりを挟む
週明けの月曜日、屋上でお昼ご飯を食べ終えてのんびりしながら、小守さんと木内さんの話を瑠奈ちゃんとしてみる。
「今頃あの二人、どんな話をしてるのかな?」
「もう、美星。私といる時に他の女のこと考えるなんて……どういうことかしら?」
「ご、ごめんってば。でもさ、好きだって自覚したら、すぐ伝えたいって思うから」
「私としては別にどうなったっていいわ。まぁ、両想いなのは薄々察せられるけれど」
この前、小守さんが委員長の会議だった日、木内さんとお昼を食べた時に相談を受けたのだ。女の子同士で付き合ってるカップルは、校内にそこそこいるけれど、自分から告白するのはやっぱり難しい。どうしたらいいか、みたいな相談を受けたんだけど、その前日の小守さんの話も混ぜて考えれば両想いなのは確かに分かりやすい。それを知っている私たちから木内さんには安心して伝えればいいくらいしか言えなかったけれど、幼馴染みらしいあの二人ならまぁ、すぐにお互いの気持ちを察せられるだろうから大丈夫だろう。
「それより美星、ほら」
スカートから伸びるしなやかな足をぽんぽんと叩きながら、膝枕に誘う瑠奈ちゃん。
「風、気持ちいいね」
瑠奈ちゃんのふとももに頭を乗せて空をみやる。屋上は本当なら入れないんだけれど、瑠奈ちゃんの家の力もあって、鍵を預かっている。その分、生徒会のお仕事に参加しているんだけど。
「次の授業、自習だったわね。……美星、ゆっくりお休み」
「あはは。後で小守さんに怒られそうだね」
午睡の時間はゆったりと過ぎていった。
その日の放課後、
「佐倉さん、紫雲寺さん」
小守さんと木内さんの二人から声をかけられた。繋いだ指を見るに告白は上手くいったらしい。
「あの、背中を押してくれてありがとうございました」
「私も、あなたたちと話していなかったら、自分の気持ちをきちんと理解できていなかったと思います。ありがとうございます」
二人に頭を下げられて、私も瑠奈ちゃんもちょっと慌てる。……瑠奈ちゃんは慌ててもいないか。
「えっと、二人とも、私たちは別に、そんな力になってないし、お互いを想うから二人はお付き合い出来たわけで」
私が頭を上げるよう促して、二人もそれにならう。
「あ、あの、お二人のこと名前で呼んでもいいですか?」
「……あまりなれ合うつもりはないのだけれど」
距離は縮まった気がするけれど、あまり仲良くすることに肯定的でない瑠奈ちゃん。
「まぁまぁ、そう言わずにさ。せっかく同じクラスなんだもん。打ち解けようよ」
私がそう促すと、まぁ……美星が言うならなんて言って理解してくれた。
「じゃあ、改めてよろしくね。夕陽ちゃん、朱里ちゃん」
「呼び捨てにさせてもらうわよ、夕陽、朱里」
「は、はい! よろしくお願いしますね。美星さん、瑠奈さん」
「私からも。夕陽ちゃん共々仲良くしてくれたら嬉しいです」
そのうち、ダブルデートなんて出来たら楽しいかも。こうして、私たちの友好の輪が少し広がった。
「今頃あの二人、どんな話をしてるのかな?」
「もう、美星。私といる時に他の女のこと考えるなんて……どういうことかしら?」
「ご、ごめんってば。でもさ、好きだって自覚したら、すぐ伝えたいって思うから」
「私としては別にどうなったっていいわ。まぁ、両想いなのは薄々察せられるけれど」
この前、小守さんが委員長の会議だった日、木内さんとお昼を食べた時に相談を受けたのだ。女の子同士で付き合ってるカップルは、校内にそこそこいるけれど、自分から告白するのはやっぱり難しい。どうしたらいいか、みたいな相談を受けたんだけど、その前日の小守さんの話も混ぜて考えれば両想いなのは確かに分かりやすい。それを知っている私たちから木内さんには安心して伝えればいいくらいしか言えなかったけれど、幼馴染みらしいあの二人ならまぁ、すぐにお互いの気持ちを察せられるだろうから大丈夫だろう。
「それより美星、ほら」
スカートから伸びるしなやかな足をぽんぽんと叩きながら、膝枕に誘う瑠奈ちゃん。
「風、気持ちいいね」
瑠奈ちゃんのふとももに頭を乗せて空をみやる。屋上は本当なら入れないんだけれど、瑠奈ちゃんの家の力もあって、鍵を預かっている。その分、生徒会のお仕事に参加しているんだけど。
「次の授業、自習だったわね。……美星、ゆっくりお休み」
「あはは。後で小守さんに怒られそうだね」
午睡の時間はゆったりと過ぎていった。
その日の放課後、
「佐倉さん、紫雲寺さん」
小守さんと木内さんの二人から声をかけられた。繋いだ指を見るに告白は上手くいったらしい。
「あの、背中を押してくれてありがとうございました」
「私も、あなたたちと話していなかったら、自分の気持ちをきちんと理解できていなかったと思います。ありがとうございます」
二人に頭を下げられて、私も瑠奈ちゃんもちょっと慌てる。……瑠奈ちゃんは慌ててもいないか。
「えっと、二人とも、私たちは別に、そんな力になってないし、お互いを想うから二人はお付き合い出来たわけで」
私が頭を上げるよう促して、二人もそれにならう。
「あ、あの、お二人のこと名前で呼んでもいいですか?」
「……あまりなれ合うつもりはないのだけれど」
距離は縮まった気がするけれど、あまり仲良くすることに肯定的でない瑠奈ちゃん。
「まぁまぁ、そう言わずにさ。せっかく同じクラスなんだもん。打ち解けようよ」
私がそう促すと、まぁ……美星が言うならなんて言って理解してくれた。
「じゃあ、改めてよろしくね。夕陽ちゃん、朱里ちゃん」
「呼び捨てにさせてもらうわよ、夕陽、朱里」
「は、はい! よろしくお願いしますね。美星さん、瑠奈さん」
「私からも。夕陽ちゃん共々仲良くしてくれたら嬉しいです」
そのうち、ダブルデートなんて出来たら楽しいかも。こうして、私たちの友好の輪が少し広がった。
0
お気に入りに追加
9
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

星空の花壇 ~星花女子アンソロジー~
楠富 つかさ
恋愛
なろう、ハーメルン、アルファポリス等、投稿サイトの垣根を越えて展開している世界観共有百合作品企画『星花女子プロジェクト』の番外編短編集となります。
単体で読める作品を意識しておりますが、他作品を読むことによりますます楽しめるかと思います。
放課後の約束と秘密 ~温もり重ねる二人の時間~
楠富 つかさ
恋愛
中学二年生の佑奈は、母子家庭で家事をこなしながら日々を過ごしていた。友達はいるが、特別に誰かと深く関わることはなく、学校と家を行き来するだけの平凡な毎日。そんな佑奈に、同じクラスの大波多佳子が積極的に距離を縮めてくる。
佳子は華やかで、成績も良く、家は裕福。けれど両親は海外赴任中で、一人暮らしをしている。人懐っこい笑顔の裏で、彼女が抱えているのは、誰にも言えない「寂しさ」だった。
「ねぇ、明日から私の部屋で勉強しない?」
放課後、二人は図書室ではなく、佳子の部屋で過ごすようになる。最初は勉強のためだったはずが、いつの間にか、それはただ一緒にいる時間になり、互いにとってかけがえのないものになっていく。
――けれど、佑奈は思う。
「私なんかが、佳子ちゃんの隣にいていいの?」
特別になりたい。でも、特別になるのが怖い。
放課後、少しずつ距離を縮める二人の、静かであたたかな日々の物語。

AV研は今日もハレンチ
楠富 つかさ
キャラ文芸
あなたが好きなAVはAudioVisual? それともAdultVideo?
AV研はオーディオヴィジュアル研究会の略称で、音楽や動画などメディア媒体の歴史を研究する集まり……というのは建前で、実はとんでもないものを研究していて――
薄暗い過去をちょっとショッキングなピンクで塗りつぶしていくネジの足りない群像劇、ここに開演!!

実る果実に百合を添えて
楠富 つかさ
恋愛
私、佐野いちごが入学した女子校には生徒が思い思いのメンバーを集めてお茶会をする文化があって、私が誘われた”果実会”はフルーツに縁のある名前の人が集まっている。
そんな果実会にはあるジンクスがあって……それは”いちご”の名前を持つ生徒と付き合えば幸せになれる!? 待って、私、女の子と付き合うの!?
僕が美少女になったせいで幼馴染が百合に目覚めた
楠富 つかさ
恋愛
ある朝、目覚めたら女の子になっていた主人公と主人公に恋をしていたが、女の子になって主人公を見て百合に目覚めたヒロインのドタバタした日常。
この作品はハーメルン様でも掲載しています。

僕(じゃない人)が幸せにします。
暇魷フミユキ
恋愛
【副題に☆が付いている話だけでだいたい分かります!】
・第1章
彼、〈君島奏向〉の悩み。それはもし将来、恋人が、妻ができたとしても、彼女を不幸にすることだった。
そんな彼を想う二人。
席が隣でもありよく立ち寄る喫茶店のバイトでもある〈草壁美頼〉。
所属する部の部長でたまに一緒に帰る仲の〈西沖幸恵〉。
そして彼は幸せにする方法を考えつく――――
「僕よりもっと相応しい人にその好意が向くようにしたいんだ」
本当にそんなこと上手くいくのか!?
それで本当に幸せなのか!?
そもそも幸せにするってなんだ!?
・第2章
草壁・西沖の二人にそれぞれの相応しいと考える人物を近付けるところまでは進んだ夏休み前。君島のもとにさらに二人の女子、〈深町冴羅〉と〈深町凛紗〉の双子姉妹が別々にやってくる。
その目的は――――
「付き合ってほしいの!!」
「付き合ってほしいんです!!」
なぜこうなったのか!?
二人の本当の想いは!?
それを叶えるにはどうすれば良いのか!?
・第3章
文化祭に向け、君島と西沖は映像部として広報動画を撮影・編集することになっていた。
君島は西沖の劇への参加だけでも心配だったのだが……
深町と付き合おうとする別府!
ぼーっとする深町冴羅!
心配事が重なる中無事に文化祭を成功することはできるのか!?
・第4章
二年生は修学旅行と進路調査票の提出を控えていた。
期待と不安の間で揺れ動く中で、君島奏向は決意する――
「僕のこれまでの行動を二人に明かそうと思う」
二人は何を思い何をするのか!?
修学旅行がそこにもたらすものとは!?
彼ら彼女らの行く先は!?
・第5章
冬休みが過ぎ、受験に向けた勉強が始まる二年生の三学期。
そんな中、深町凛紗が行動を起こす――
君島の草津・西沖に対するこれまでの行動の調査!
映像部への入部!
全ては幸せのために!
――これは誰かが誰かを幸せにする物語。
ここでは毎日1話ずつ投稿してまいります。
作者ページの「僕(じゃない人)が幸せにします。(「小説家になろう」投稿済み全話版)」から全話読むこともできます!

君の瞳のその奥に
楠富 つかさ
恋愛
地方都市、空の宮市に位置する中高一貫の女子校『星花女子学園』で繰り広げられる恋模様。それは時に甘く……時に苦い。
失恋を引き摺ったまま誰かに好意を寄せられたとき、その瞳に映るのは誰ですか?
片想いの相手に彼女が出来た。その事実にうちひしがれながらも日常を送る主人公、西恵玲奈。彼女は新聞部の活動で高等部一年の須川美海と出会う。人の温もりを欲する二人が出会い……新たな恋が芽吹く。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる