夜空に咲くは百合の花

楠富 つかさ

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#9 幸せな二人

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「今日はもう寝る?」

パソコンでインターネット配信のドラマを見終わり、感想を言い合いながらのんびりと過ごしていた。

「あの凶器の刃渡りで人が死ぬかと言われると……微妙だよね?」
「まぁ、あれで生きていたら話が進まないから仕方ないわよ」

にしても、よくもまぁ刑事ドラマの脚本書きは悲しい事件を思い付くよねぇ。

「私はサスペンス書かない人だから全然思い付かないや」
「なにを?」

瑠奈ちゃんには、私が小説家になりたいということを伝えてある。まぁ、文芸部に入る時に言ったからもう四年も前なんだけどさ。

「ん? あぁ。殺人事件が起きる……んん、起こす原因かなぁ」
「美星の書く小説はハッピーエンドだからね」

私の小説の最初のファンが瑠奈ちゃんだ。彼女がいるから私は小説を書き続けられる。

「物語はやっぱりハッピーエンドじゃなきゃ」

私と瑠奈ちゃんの関係も……。

「私は美星と居られれば、いつも幸せよ」

ベッドに横たわってすぐ、瑠奈ちゃんに抱き寄せられる。

「「ちゅ……んちゅ、んむぅ……じゅぶ……」」 

熱い眼差しを交わし、口づけをする。

「美星、いいかな?」
「……うん。愛して」

今夜は……まだ長い。

「「ちゅ、じゅぶ……んちゅぅ」」
「瑠奈ちゃん……もっとぉ」
「ええ、いっぱい愛してあげる」

パジャマのボタンを外して、私の胸に瑠奈ちゃんの手が触れる。

「はぁ……ぁあ! ひゃん! ふ、ふぁぁ!!」

お互いの弱いトコを全部知ってるから、すぐに瑠奈ちゃんのことしか考えられなくなっちゃって、瑠奈ちゃんがもっと欲しくて……それで、

「あ、ぁあ、い、いっちゃ――ふぁ? あぁ、る、瑠奈ちゃん……」

私を掻き乱す瑠奈ちゃんの指が、私の目の前に現れる。テラテラと光る粘液にまみれた、瑠奈ちゃんの色白でほっそりとした指……。

「美星がイくの、直接感じさせて」

瑠奈ちゃんに抱き締められ、そのまま瑠奈ちゃんの上でうつ伏せになる。鼓動が重なり……唇を重ねる。

「「んじゅ……じゅぶ、くちゅ、む、んぅ、じゅるじゅぶぅ」」

ねっとりとした口付けの最中、瑠奈ちゃんは私の敏感な箇所をさけて愛撫する。そして、息継ぎのタイミングで――

「んは! は、はぁぁあああ!!」

一番敏感な部分を指で弾くように触れるのだ。ほとんど息を吸えなかったのに、肺の奥から空気を押し出すように叫ぶ。頭がふわふわして、ちょっぴり薄い意識の中、瑠奈ちゃんに包まれて行為を終える瞬間が、私は大好きだ。
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