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玲唯VS桐花(1)
ターン003 勝負の行方
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「ふふ、ははは! よくぞここまで削った。だが、レベル3葉菜の進化条件はPP3000以下! ドロー、ストックにセット、エクシード!!」
握った拳から力がふっと抜けてしまった……。私が頑張って3000まで削ってしまったせいで先輩の葉菜ちゃんはレベル4に上がってしまった……。
「来たれ『握りしめた拳』佐藤葉菜! 効果で捨札のサーバントを一体手札に戻す。レベル3田中優を選択。わたしはコスト2のアクション、コンビコールを発動。手札からサーバントを捨てて、同じ名前のレベルが一つ上のサーバントを手札から登場させる。わたしはレベル2の優を送って3の優を登場させる!」
先輩のストックはあと2ある。私の場は葉菜ちゃんだけ。ピンチかも……。ううん、ピンチだ。
「レベル4の葉菜の効果、自身の効果で手札に加えたサーバントが登場した時、手札とストックを一枚交換する! レベル5の辻村叶を手札に加え、ストック二枚を表にし登場させる!」
ウィッチはレベル5までサーバントはレベル6まであり、ウィッチには複数条件を満たした時にグローするEXカードがある。また、序盤に高レベルのサーバントが手札にあると動きづらいから、ストックに置くかそもそも山札に入れる枚数を抑えるらしい。
「さて、叶のBPは3200、先に葉菜で攻撃!」
葉菜(BP3000)VS葉菜(BP2000)
叶(BP3200)VS葉菜(BP2000)
PPがぐんぐん減っていく。叶ちゃんでのアタックを終えた先輩が衝撃のルールを口にした。
「ウィッチが自身よりBPが1000以上高いサーバントから攻撃された時、そのウィッチをウィッチデッキに戻す」
「そ、それが叶ちゃんの効果……!?」
「いいや違う。これはルールさ。前のターン、君が千鶴で葉菜を攻撃していたら、葉菜はレベル4にはならなかったね」
この先輩……初心者相手に容赦がない。ちゃんと確認しなかった私が悪いけど、それにしてもあんまりだよ……。
「さらに叶の効果、自身のBPを半分にしてもう一度攻撃出来る!」
叶(BP1600)VS葉菜(BP1500)
残ったPPは僅かに1000。しかも葉菜ちゃんはレベル1。でも私は初心者だし……負けちゃってもしょうがないよね。でもなんだか……悔しい。今までそんなこと思ったことないのに、今はなんだか悔しい。とにかく、最後まで続けなきゃ。青い束の上に指をかける。
「私のターン、ドロー! ストックにセット、葉菜ちゃんをグローして追加ドロー。……このカード!」
引いたカードの名前を見て弱っていた気持ちが少し揺さぶられた。簡単に諦めたくない。悔しいっていう気持ちが、勝ちたいって気持ちに変わった。使っているカードは一緒だから、勝てる可能性だってある! 私は右手に持った手札の一枚を左手で取って先輩に見せる。
「自分のウィッチが相手のウィッチよりレベルが二つ以上下の時、このサーバントはコストなしで登場できる! レベル2、辻村叶ちゃん! さらにアクションカード、ドッペルゲンガーを発動! コスト1支払い、さらに自分の場のサーバントを捨札に送って発動できる。相手の場にいる同名サーバントを捨札に送る!」
「ミラーマッチ特有の強カード……。しかぁし! 残った葉菜のBPは3000。そうそう超えられまい!」
まだストックは4つあるし手札も三枚、このカードを見たらそう簡単に諦めちゃいけないっていう気持ちになったから、頑張る!
「コスト2を使って、『陽気な魔法使い』榊梨恵ちゃんを登場させる!」
「ふぅむ、今そのカードを出すか。その効果は相手の地属性ユニットのBPを半減させてその分、自分の場の地属性ユニットに加えるもの。これでこちらの葉菜は1500、そちらの葉菜は3500。まだダメージ2000でわたしのPPは残るぞ!!」
「いいえ、これで終わりです。私は勇気の一撃を発動します! レベル3以下の葉菜ちゃんが、元々のBPが自分より高いユニットとバトルする時、与えるダメージを二倍にします! アタック!!」
「なに! なんてことだ!! これが、これがわたしの追い求めてきた無垢な少女の煌めきだというのかぁああ!!」
芝居がかった動きを見せながら先輩がアプリにマイナス4000と打ち込むと、ブザー音がしてPPが0になったことを示した。……勇気の一撃、葉菜ちゃんが全力で走っている姿の描かれたそのカードが、私に勝ちたいと思わせてくれた。普通な私の全力な姿。
「やったぁ! ほんとに、ほんとに勝てたんだ!!」
他のゲームはたまに勝っても申し訳なく思うことがあった。でも、今は純粋に嬉しい。先輩がちょっと悪役みたいだったとか、そういうことは関係なくって、ゲームで勝てたことがただただ嬉しい。
「いやぁ、まさか負けるとは……とほほ」
素に戻った先輩がカードを片付けながらしょぼくれている。わけが分からないうちにゲームに誘われ、まさかこうして勝ってしまうなんて思ってもみなかった。……でも、ちょっと楽しいかも。ううん、楽しい!!
「ねぇ君、よかった私と一緒に、部活でこれ、やってみない? そういえば名乗ってなかったけね。わたし、暁桐花。よろしくね」
「は、はい!! 私は、遊行寺玲唯です。よろしくお願いします!」
これが私、遊行寺玲唯と不思議な先輩、桐花先輩との出逢いだった。
握った拳から力がふっと抜けてしまった……。私が頑張って3000まで削ってしまったせいで先輩の葉菜ちゃんはレベル4に上がってしまった……。
「来たれ『握りしめた拳』佐藤葉菜! 効果で捨札のサーバントを一体手札に戻す。レベル3田中優を選択。わたしはコスト2のアクション、コンビコールを発動。手札からサーバントを捨てて、同じ名前のレベルが一つ上のサーバントを手札から登場させる。わたしはレベル2の優を送って3の優を登場させる!」
先輩のストックはあと2ある。私の場は葉菜ちゃんだけ。ピンチかも……。ううん、ピンチだ。
「レベル4の葉菜の効果、自身の効果で手札に加えたサーバントが登場した時、手札とストックを一枚交換する! レベル5の辻村叶を手札に加え、ストック二枚を表にし登場させる!」
ウィッチはレベル5までサーバントはレベル6まであり、ウィッチには複数条件を満たした時にグローするEXカードがある。また、序盤に高レベルのサーバントが手札にあると動きづらいから、ストックに置くかそもそも山札に入れる枚数を抑えるらしい。
「さて、叶のBPは3200、先に葉菜で攻撃!」
葉菜(BP3000)VS葉菜(BP2000)
叶(BP3200)VS葉菜(BP2000)
PPがぐんぐん減っていく。叶ちゃんでのアタックを終えた先輩が衝撃のルールを口にした。
「ウィッチが自身よりBPが1000以上高いサーバントから攻撃された時、そのウィッチをウィッチデッキに戻す」
「そ、それが叶ちゃんの効果……!?」
「いいや違う。これはルールさ。前のターン、君が千鶴で葉菜を攻撃していたら、葉菜はレベル4にはならなかったね」
この先輩……初心者相手に容赦がない。ちゃんと確認しなかった私が悪いけど、それにしてもあんまりだよ……。
「さらに叶の効果、自身のBPを半分にしてもう一度攻撃出来る!」
叶(BP1600)VS葉菜(BP1500)
残ったPPは僅かに1000。しかも葉菜ちゃんはレベル1。でも私は初心者だし……負けちゃってもしょうがないよね。でもなんだか……悔しい。今までそんなこと思ったことないのに、今はなんだか悔しい。とにかく、最後まで続けなきゃ。青い束の上に指をかける。
「私のターン、ドロー! ストックにセット、葉菜ちゃんをグローして追加ドロー。……このカード!」
引いたカードの名前を見て弱っていた気持ちが少し揺さぶられた。簡単に諦めたくない。悔しいっていう気持ちが、勝ちたいって気持ちに変わった。使っているカードは一緒だから、勝てる可能性だってある! 私は右手に持った手札の一枚を左手で取って先輩に見せる。
「自分のウィッチが相手のウィッチよりレベルが二つ以上下の時、このサーバントはコストなしで登場できる! レベル2、辻村叶ちゃん! さらにアクションカード、ドッペルゲンガーを発動! コスト1支払い、さらに自分の場のサーバントを捨札に送って発動できる。相手の場にいる同名サーバントを捨札に送る!」
「ミラーマッチ特有の強カード……。しかぁし! 残った葉菜のBPは3000。そうそう超えられまい!」
まだストックは4つあるし手札も三枚、このカードを見たらそう簡単に諦めちゃいけないっていう気持ちになったから、頑張る!
「コスト2を使って、『陽気な魔法使い』榊梨恵ちゃんを登場させる!」
「ふぅむ、今そのカードを出すか。その効果は相手の地属性ユニットのBPを半減させてその分、自分の場の地属性ユニットに加えるもの。これでこちらの葉菜は1500、そちらの葉菜は3500。まだダメージ2000でわたしのPPは残るぞ!!」
「いいえ、これで終わりです。私は勇気の一撃を発動します! レベル3以下の葉菜ちゃんが、元々のBPが自分より高いユニットとバトルする時、与えるダメージを二倍にします! アタック!!」
「なに! なんてことだ!! これが、これがわたしの追い求めてきた無垢な少女の煌めきだというのかぁああ!!」
芝居がかった動きを見せながら先輩がアプリにマイナス4000と打ち込むと、ブザー音がしてPPが0になったことを示した。……勇気の一撃、葉菜ちゃんが全力で走っている姿の描かれたそのカードが、私に勝ちたいと思わせてくれた。普通な私の全力な姿。
「やったぁ! ほんとに、ほんとに勝てたんだ!!」
他のゲームはたまに勝っても申し訳なく思うことがあった。でも、今は純粋に嬉しい。先輩がちょっと悪役みたいだったとか、そういうことは関係なくって、ゲームで勝てたことがただただ嬉しい。
「いやぁ、まさか負けるとは……とほほ」
素に戻った先輩がカードを片付けながらしょぼくれている。わけが分からないうちにゲームに誘われ、まさかこうして勝ってしまうなんて思ってもみなかった。……でも、ちょっと楽しいかも。ううん、楽しい!!
「ねぇ君、よかった私と一緒に、部活でこれ、やってみない? そういえば名乗ってなかったけね。わたし、暁桐花。よろしくね」
「は、はい!! 私は、遊行寺玲唯です。よろしくお願いします!」
これが私、遊行寺玲唯と不思議な先輩、桐花先輩との出逢いだった。
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