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玲唯VS桐花(1)
ターン001 ルール説明
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私が先輩から渡されたのは裏面が青いカードがたくさんと、白いカードがちょっと。両手でそれを持っていると、先輩はシートを二枚、机に置いた。先輩が片方に着席すると、対面を指差して座るよう促された。座ると、青い束と白い束をそれぞれ先輩が置いたように、私も置いた。
シートは長方形で下半分の真ん中にウィッチと書かれた枠があって上にサーバントと書かれた枠が三つある。ウィッチの右隣がアクション、反対にはステージと書いてある。アクションの隣に山札、その正面に捨札、ステージの枠の隣にはウィッチデッキの文字もあり、シートの縁にストックと書いてあるのも見える。
「先攻をわたしがするから、やりながら説明するね」
先輩は白い束からカードを一枚取り出して真ん中に置いた。
「こっちの白いカードはウィッチ、今はカードの右上に1ってあるカードを置いて。佐藤葉菜って名前が書いてあるはずだから」
言われたように白いカードから、右上に1ってある葉菜ちゃんを探して、指定の場所に置いた。
「このゲームは、ウィッチを強化しながらサーバントを配置して一緒に戦って、五千あるプレイヤーの数値、うーん、PPって略されるそれを先に0にしたら勝ちなの。じゃあ、始める前に、青いカードを五枚私に見えないように持っててね。それから、もう二枚を白い束の隣にある枠に沿って裏で置いて。私は先攻だから一枚ね」
これでゲームを始める前の準備が完了したらしい。
「この裏になってるカードをストックって言って行動するときに表にするの。それから、青い束を山札って言うから覚えてね。まずカードを引いたら一枚をストックに置くの。ストックの上限は六枚ね。ターンの流れはフェイズに別れてて、これを見ると分かりやすいかな」
先輩はそう言ってもう一枚、私たちが机に敷いているシートの裏面を見せてくれた。山札からカードを引くのはドローで、先攻一ターン目以外はドローフェイズには二枚引いて、一枚ストックに置くとのことだ。また、フェイズの流れは次のようになっている。
1.ドローフェイズ(先攻一ターン目以外は二枚ドローし、ストックに一枚置く)
2.エクシードフェイズ(ウィッチが条件を満たしている時、ウィッチを進化させる)
3.メインフェイズ(サーバントの登場やアクションの発動を行う)
4.アタックフェイズ(ウィッチやサーバントで相手を攻撃する)
5.エンドフェイズ(ストックを裏に戻しターンの終了を宣言する)
「ルールなんてね、それを見たり実際に遊んだりしているうちに分かるものよ。私は君にね、雰囲気を楽しんでもらいたいの」
私がルールの書かれたシートを読んでいると、先輩が勢いよく立ち上がって言い放った。ブレザーに押し付けられているはずの胸が揺れて目を奪われる。
「さて、レディース&ガールズ! ゲームってのは戦争なの。戦争に必要なのは? そう、戦術……タクティクスよ!! こういうのはね、勝つから楽しいの。初心者相手でも全力なんだから! わたしのターン、ドロー!!」
テンションの急上昇した先輩が勢いよくカードを引く。柔軟剤だろうか、甘いバラみたいな匂いが振り抜いた先輩の制服の袖から香る。見れば見るほど美人なこの先輩が、がらんとしたこの教室で一人カードを触っていると思うと不思議だ。ちょっと変な人っぽくもあるけれど。
「カードをストックにセット、さぁ条件を満たしたことにより少女は進化する! 出でよレベル2、『繋がる力』佐藤葉菜!」
ノリノリな先輩を余所に私はカードに書かれた説明を読む。楽しそうな先輩は素敵だけど、私はちょっとついていけそうにない。エクシードフェイズは条件を満たさないと発生しないから、その条件は大事。レベル1の佐藤葉菜ちゃんはストックが裏側で二枚あると進化出来る。ウィッチはさっき渡された二つの束のうち白い方、ウィッチデッキに10枚入っている。
「繋がる力が指先に光りを灯す、追加ドロー!」
カードには登場させた時に効果を発揮するものもあるらしい。レベル2の葉菜ちゃんは、登場した時に山札から一枚引くことが出来ると。またもや先輩が勢いよくカードを引くと、髪がシャンプーのCMみたいにふわりと広がってこれまたいい香りがする。髪が長いのはちょっと憧れる。それはさておき、この辺りは私のターンでも同じ行動をするはずだから覚えよう。にしても、この女の子たちは日本っぽい名前なのにどうして髪と目がカラフルなんだろう……。カードの下に何か書いてある。えっと「普通な私だけど頑張ります!」かぁ。その下に一年生/帰宅部/地属性とも書いてある。地属性……? さらにBP1500ともある。BPはバトルポイントのことだろう。
「カードをまじまじ見てるとこ悪いけど、進めさせてもらうわよ!」
「あ、はい。すみません」
エクシードフェイズの次がメインフェイズ。先輩の細い指が慣れた手つきでカードを動かしている。
「ストックを一使って田中優を登場させる。さらに一使ってアクションカード、校内放送を使うね。場にいるサーバントと同じ名前でレベルの一つ高いカードを山札から手札に加える! 我が下に集え!」
山札を見たらシャッフルする。クオカードやICカードより大きなそれを先輩は丁寧にシャッフルする。私には大きくてちょっと持ちづらい。
山札にはサーバントの他にもそのターン中効果を発揮するアクションと、より長く効果を発揮するステージがあるらしくそれらを活用して、ウィッチやサーバント(両者をまとめてユニット)を強化して有利に動こうと説明書きにもある。
「さぁ戦いの刻が来た! 優は特殊な効果こそないが、BPが1700! 先攻はサーバントのみ攻撃可能! バトル!」
優(BP1700)VS葉菜(BP1500)
先輩の手札は五枚のまま。先輩はスマホを取り出すとアプリで残りPPを表示してくれた。そんなアプリもあるんだなぁ。先輩のスマホケースはこのゲームのカードと同じデザインだった。よっぽど好きなんだろうなぁ。
「これでわたしのターンは終了。さぁ、カードを引きたまえ!!」
シートは長方形で下半分の真ん中にウィッチと書かれた枠があって上にサーバントと書かれた枠が三つある。ウィッチの右隣がアクション、反対にはステージと書いてある。アクションの隣に山札、その正面に捨札、ステージの枠の隣にはウィッチデッキの文字もあり、シートの縁にストックと書いてあるのも見える。
「先攻をわたしがするから、やりながら説明するね」
先輩は白い束からカードを一枚取り出して真ん中に置いた。
「こっちの白いカードはウィッチ、今はカードの右上に1ってあるカードを置いて。佐藤葉菜って名前が書いてあるはずだから」
言われたように白いカードから、右上に1ってある葉菜ちゃんを探して、指定の場所に置いた。
「このゲームは、ウィッチを強化しながらサーバントを配置して一緒に戦って、五千あるプレイヤーの数値、うーん、PPって略されるそれを先に0にしたら勝ちなの。じゃあ、始める前に、青いカードを五枚私に見えないように持っててね。それから、もう二枚を白い束の隣にある枠に沿って裏で置いて。私は先攻だから一枚ね」
これでゲームを始める前の準備が完了したらしい。
「この裏になってるカードをストックって言って行動するときに表にするの。それから、青い束を山札って言うから覚えてね。まずカードを引いたら一枚をストックに置くの。ストックの上限は六枚ね。ターンの流れはフェイズに別れてて、これを見ると分かりやすいかな」
先輩はそう言ってもう一枚、私たちが机に敷いているシートの裏面を見せてくれた。山札からカードを引くのはドローで、先攻一ターン目以外はドローフェイズには二枚引いて、一枚ストックに置くとのことだ。また、フェイズの流れは次のようになっている。
1.ドローフェイズ(先攻一ターン目以外は二枚ドローし、ストックに一枚置く)
2.エクシードフェイズ(ウィッチが条件を満たしている時、ウィッチを進化させる)
3.メインフェイズ(サーバントの登場やアクションの発動を行う)
4.アタックフェイズ(ウィッチやサーバントで相手を攻撃する)
5.エンドフェイズ(ストックを裏に戻しターンの終了を宣言する)
「ルールなんてね、それを見たり実際に遊んだりしているうちに分かるものよ。私は君にね、雰囲気を楽しんでもらいたいの」
私がルールの書かれたシートを読んでいると、先輩が勢いよく立ち上がって言い放った。ブレザーに押し付けられているはずの胸が揺れて目を奪われる。
「さて、レディース&ガールズ! ゲームってのは戦争なの。戦争に必要なのは? そう、戦術……タクティクスよ!! こういうのはね、勝つから楽しいの。初心者相手でも全力なんだから! わたしのターン、ドロー!!」
テンションの急上昇した先輩が勢いよくカードを引く。柔軟剤だろうか、甘いバラみたいな匂いが振り抜いた先輩の制服の袖から香る。見れば見るほど美人なこの先輩が、がらんとしたこの教室で一人カードを触っていると思うと不思議だ。ちょっと変な人っぽくもあるけれど。
「カードをストックにセット、さぁ条件を満たしたことにより少女は進化する! 出でよレベル2、『繋がる力』佐藤葉菜!」
ノリノリな先輩を余所に私はカードに書かれた説明を読む。楽しそうな先輩は素敵だけど、私はちょっとついていけそうにない。エクシードフェイズは条件を満たさないと発生しないから、その条件は大事。レベル1の佐藤葉菜ちゃんはストックが裏側で二枚あると進化出来る。ウィッチはさっき渡された二つの束のうち白い方、ウィッチデッキに10枚入っている。
「繋がる力が指先に光りを灯す、追加ドロー!」
カードには登場させた時に効果を発揮するものもあるらしい。レベル2の葉菜ちゃんは、登場した時に山札から一枚引くことが出来ると。またもや先輩が勢いよくカードを引くと、髪がシャンプーのCMみたいにふわりと広がってこれまたいい香りがする。髪が長いのはちょっと憧れる。それはさておき、この辺りは私のターンでも同じ行動をするはずだから覚えよう。にしても、この女の子たちは日本っぽい名前なのにどうして髪と目がカラフルなんだろう……。カードの下に何か書いてある。えっと「普通な私だけど頑張ります!」かぁ。その下に一年生/帰宅部/地属性とも書いてある。地属性……? さらにBP1500ともある。BPはバトルポイントのことだろう。
「カードをまじまじ見てるとこ悪いけど、進めさせてもらうわよ!」
「あ、はい。すみません」
エクシードフェイズの次がメインフェイズ。先輩の細い指が慣れた手つきでカードを動かしている。
「ストックを一使って田中優を登場させる。さらに一使ってアクションカード、校内放送を使うね。場にいるサーバントと同じ名前でレベルの一つ高いカードを山札から手札に加える! 我が下に集え!」
山札を見たらシャッフルする。クオカードやICカードより大きなそれを先輩は丁寧にシャッフルする。私には大きくてちょっと持ちづらい。
山札にはサーバントの他にもそのターン中効果を発揮するアクションと、より長く効果を発揮するステージがあるらしくそれらを活用して、ウィッチやサーバント(両者をまとめてユニット)を強化して有利に動こうと説明書きにもある。
「さぁ戦いの刻が来た! 優は特殊な効果こそないが、BPが1700! 先攻はサーバントのみ攻撃可能! バトル!」
優(BP1700)VS葉菜(BP1500)
先輩の手札は五枚のまま。先輩はスマホを取り出すとアプリで残りPPを表示してくれた。そんなアプリもあるんだなぁ。先輩のスマホケースはこのゲームのカードと同じデザインだった。よっぽど好きなんだろうなぁ。
「これでわたしのターンは終了。さぁ、カードを引きたまえ!!」
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