上 下
15 / 18

#15 補給

しおりを挟む
 結歌ちゃんと手を繋ぎながら寮の私室に戻ってきた私たち。

「合宿は四人部屋だし、班ごとになるだろうから……今のうちに、舞美ちゃんのこと、補給させて?」

 小首をかしげながら可愛くおねだりされてしまったら、私に断るなんて選択肢はない。ジャケットをハンガーにかけ、ブラウスのボタンに手をかける。

「ちょ、舞美ちゃん。魔剣に魔力を注いでから……」
「……あ、ご、ごめん」

 ……そうだよね、素面の状態じゃ意味ないんだよね。おかしいな私、結歌ちゃんにありのままの私を抱いてもらえるって思っちゃった。
 剣帯からグリーディメイデンを鞘ごと外して、その柄を握る。

「いつもより、多めに流し込んでみるから」

 鞘から抜いたグリーディメイデンに魔力を込める。さっきの悲しいすれ違いを押し流すように魔力を込めると、グリーディメイデンの象牙色の刀身が妖しい紫に光る。

「……っふ、んぅ……くっ」

 体が熱くなり、汗やもろもろの水分が滲みだす。どうせなら下着を先に脱いでしまえばよかった。

「はぁ……はぁ……んぅぅ……もう、限界」

 体の表面が敏感になって、脚ががくがくして立っていることもままならず、グリーディメイデンを鞘に納めてしゃがみこむ。

「ゆい、かちゃん……」
「おいで、舞美ちゃん」

 どうしてそのままの私を抱いてくれないんだろう。結歌ちゃんと唇を重ね、彼女の手を私の胸に導く。本当は下も触ってほしいのに、結歌ちゃんの右手は私の胸を、左手は腰に添えられている。

「「んちゅ……じゅぶ、っちゅ」」

 唯歌ちゃんに覆いかぶさるように、口づけを交わす。それだけで溶け合うような感覚になって、結歌ちゃんの太ももに下腹部をこすりつけながら、彼女の舌を胸に誘う。

「んちゅ……じゅるぅ……ん、ぷは」
「結歌ちゃん、あぁ、ゆ、いかちゃん……はあ、はぁ、結歌ちゃぁぁあん!!!」

 達してしまった余韻で結歌ちゃんの腕枕でぐったりとする。結歌ちゃんのこぶりだけど確かにあるふくらみが呼吸に合わせて上下する。
 本当は、私から結歌ちゃんに……してあげたいし、一緒に高めあいたいのに……。私がしてもらうばっかりで……。

「ふふ、舞美ちゃんってさ……私のこと大好きだよね」

 当たり前のように言われて、私は咄嗟に何も言うことができなかった。

「私も舞美ちゃんのこと大好きだよ。大好きだから……舞美ちゃんが私に何を求めているかもわかっているつもり。ごめんね……私まだ覚悟できてないっていうか、どうしてあげたらいいのかわかんなくって……だから、もう少し待ってて」
「……うん、待ってるから」

 嬉しいような恥ずかしいような、それから少しだけ寂しいような……結歌ちゃんが大人になって、どこか遠くへ行ってしまったような、そんな感情に私は目を背けるばかりだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

君の瞳のその奥に

楠富 つかさ
恋愛
地方都市、空の宮市に位置する中高一貫の女子校『星花女子学園』で繰り広げられる恋模様。それは時に甘く……時に苦い。 失恋を引き摺ったまま誰かに好意を寄せられたとき、その瞳に映るのは誰ですか? 片想いの相手に彼女が出来た。その事実にうちひしがれながらも日常を送る主人公、西恵玲奈。彼女は新聞部の活動で高等部一年の須川美海と出会う。人の温もりを欲する二人が出会い……新たな恋が芽吹く。

AV研は今日もハレンチ

楠富 つかさ
キャラ文芸
あなたが好きなAVはAudioVisual? それともAdultVideo? AV研はオーディオヴィジュアル研究会の略称で、音楽や動画などメディア媒体の歴史を研究する集まり……というのは建前で、実はとんでもないものを研究していて―― 薄暗い過去をちょっとショッキングなピンクで塗りつぶしていくネジの足りない群像劇、ここに開演!!

恋の泉の温もりよ

楠富 つかさ
青春
 主人公、花菱心は地元を離れてとある温泉街の高校を受験することに。受験の下見がてら温泉旅館に泊まった心はそこで同い年であり同じ高校を受験するという鶴城ゆもりに出会う。  新たな出会いに恵まれた時、熱く湧き上がるのは温泉だけではなくて――  温泉街ガールズラブストーリー、開幕です!

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

真紅の想いを重ねて

楠富 つかさ
恋愛
周囲の友達に年上の彼女が出来た主人公、土橋紅凪。彼女自身は恋愛についてよく分からずにいた。 所属している部活は百人一首部。古のラブレターを通して恋に想いを馳せる紅凪。次第に部活の先輩である南ロゼのことが気になり始め……。 星花女子プロジェクト第9弾、始まります!!

君と過ごす16度目の春に

楠富 つかさ
恋愛
幼馴染の二人、始まる高校生活、いつもの距離感が少しだけ変わって……。 両片想いの二人が過ごす百合色の季節。

星空の花壇 ~星花女子アンソロジー~

楠富 つかさ
恋愛
なろう、ハーメルン、アルファポリス等、投稿サイトの垣根を越えて展開している世界観共有百合作品企画『星花女子プロジェクト』の番外編短編集となります。 単体で読める作品を意識しておりますが、他作品を読むことによりますます楽しめるかと思います。

差し伸べられなかった手で空を覆った

楠富 つかさ
ライト文芸
 地方都市、空の宮市の公立高校で主人公・猪俣愛弥は、美人だが少々ナルシストで物言いが哲学的なクラスメイト・卯花彩瑛と出逢う。コミュ障で馴染めない愛弥と、周囲を寄せ付けない彩瑛は次第に惹かれていくが……。  生きることを見つめ直す少女たちが過ごす青春の十二ヵ月。

処理中です...