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第16話 紅葉とかおり
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「え、えぇ!?」
バタンと閉められた扉の前で、かおりだけが不思議そうな表情を浮かべていた。
「お、お待たせしました」
たっぷり五分考えても何を着て出迎えればいいのか分からず、普段からあれほど私服に拘っているというのに紅葉は制服姿に落ち着いた。ローテーブルを三人で囲み、缶ジュースを飲みながら会話する。
「お姉さま、かおりのことご存知だったのですね」
「くれはちゃんこそ、かなみちゃんと友達だったんだね」
紅葉とかおりのやり取りを聞きながら、叶美はそれぞれから聞いたルームメイトについてを思い出していた。ゆるふわっとした妹系、大人っぽくて最近はパソコンに向かう時間が増えている。なぜ気付かなかったのだろうと叶美は内心、自分の鈍さに驚いていた。
叶美はそれぞれに、どういう出会い方をしたのか話した。三人で出掛けられたら楽しいだろうなと思いながら。
「あの、お姉さま……その、今日は、泊まって行きませんか? 明日もお休みですし、どうでしょう?」
「いいね! かなみちゃんともっと一緒にいたい!」
目をきらきらさせた二人を相手に、叶美は断るという選択肢を採ることなど出来なかった。
「仕度だけしてくるから、待っててね」
叶美は一度二人の部屋を後にし、急いで高等部の菊花寮にある自室へ戻った。パジャマやその他着替え、風呂セット、化粧水、加えて普段から携行する貴重品をカバンに入れる。
「カバンにはこれくらいでいいかな……あとは枕かな」
枕はカバンには入らないため、抱えていく形になる。露骨なお泊まりスタイルではあるが、星花は女子校なので寮の別室へお泊まりに行くくらいならお咎めはない。無論、無断外泊は始末書でありたとえ実家でも帰るときは書類が必要だ。
「タオルも持ったし……いいかな」
自室の扉を施錠し、再び中等部桜花寮へ向かう叶美。寮の玄関を抜けると中学生に驚いたような顔で見られてしまったが仕方ないと言い聞かせる。
「お待たせ」
叶美が再び二人の部屋に戻ってくると、かおりから手料理をせがまれる。少し申し訳なさそうだが、紅葉も叶美の手料理に興味津々だった。
「なに食べたい?」
「ハンバーグ!!」
元気いっぱいなかおりに、叶美は破顔した。二人と一緒にいるとずっと笑顔でいられると、幸せな気持ちになる叶美であった。
バタンと閉められた扉の前で、かおりだけが不思議そうな表情を浮かべていた。
「お、お待たせしました」
たっぷり五分考えても何を着て出迎えればいいのか分からず、普段からあれほど私服に拘っているというのに紅葉は制服姿に落ち着いた。ローテーブルを三人で囲み、缶ジュースを飲みながら会話する。
「お姉さま、かおりのことご存知だったのですね」
「くれはちゃんこそ、かなみちゃんと友達だったんだね」
紅葉とかおりのやり取りを聞きながら、叶美はそれぞれから聞いたルームメイトについてを思い出していた。ゆるふわっとした妹系、大人っぽくて最近はパソコンに向かう時間が増えている。なぜ気付かなかったのだろうと叶美は内心、自分の鈍さに驚いていた。
叶美はそれぞれに、どういう出会い方をしたのか話した。三人で出掛けられたら楽しいだろうなと思いながら。
「あの、お姉さま……その、今日は、泊まって行きませんか? 明日もお休みですし、どうでしょう?」
「いいね! かなみちゃんともっと一緒にいたい!」
目をきらきらさせた二人を相手に、叶美は断るという選択肢を採ることなど出来なかった。
「仕度だけしてくるから、待っててね」
叶美は一度二人の部屋を後にし、急いで高等部の菊花寮にある自室へ戻った。パジャマやその他着替え、風呂セット、化粧水、加えて普段から携行する貴重品をカバンに入れる。
「カバンにはこれくらいでいいかな……あとは枕かな」
枕はカバンには入らないため、抱えていく形になる。露骨なお泊まりスタイルではあるが、星花は女子校なので寮の別室へお泊まりに行くくらいならお咎めはない。無論、無断外泊は始末書でありたとえ実家でも帰るときは書類が必要だ。
「タオルも持ったし……いいかな」
自室の扉を施錠し、再び中等部桜花寮へ向かう叶美。寮の玄関を抜けると中学生に驚いたような顔で見られてしまったが仕方ないと言い聞かせる。
「お待たせ」
叶美が再び二人の部屋に戻ってくると、かおりから手料理をせがまれる。少し申し訳なさそうだが、紅葉も叶美の手料理に興味津々だった。
「なに食べたい?」
「ハンバーグ!!」
元気いっぱいなかおりに、叶美は破顔した。二人と一緒にいるとずっと笑顔でいられると、幸せな気持ちになる叶美であった。
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