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春は出会いの季節
08 係決め
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昼休みを挟んだことでクラスの空気が緩んだ気がした。まだ手探りな関係だったところから、少しずつグループが形成されていっている。正直、昼休みで津田君と打ち解けたところはよかったんだけど、女子の勢力図がまだまだ読めないのが困りどころ。
律は男女問わずモテるタイプだから、律と一緒にいる分には大丈夫だろうけど……ひょんなことからいじめられたら怖いし。
「午後は自己紹介とか委員決めとか学校生活での注意事項についてお話しますね」
昔からぶっちゃけ自己紹介で何を話していいか分からないが、今年はさらに分からない。男子ってわりとテキトーに済ませても問題ないのだけれど、女子ってそうじゃないと思うんだよね(偏見)。
その自己紹介で仲良くなれるのか、値踏みされているんだ。自分の派閥に取り込めるかどうか、敵対せずに済むのか、そういった判断をしなければならない。女子になったせいかそういった機微が分かるようになってきたのだ。思い込みも多少あるかもしれないんだけど。
「じゃあ一番の方からお願いしてもいいかな?」
宮瀬先生に言われて一番席の男子が立ち上がる。学校によっては男女ごとに出席番号順にするらしいが、この学校では男女いっしょくたにして出席番号を並べている。だから一番は男子だけど二番と三番は女子、そんな感じで並んでいる。
「赤羽恭平です。西中でした。人に見せる機会はあんまないんですけど、けん玉が得意です。以上です」
「糸田花恵です。中学は市外なんですけど、お祖母ちゃんの家に引っ越してきました。読書が好きです。よろしくお願いします」
「上田若菜でーす。二中の時はバスケしてました~。でも高校だし、なんか可愛い感じの部活やりたいなって思ってまーす。可愛い子、仲良くしてね~」
朴訥とした男子に気の弱そうな女子、そしてちょい派手ギャル……しょっぱなの三人でわりと濃い面々だったけど順調に自己紹介は進んでいき、律や津田君の自己紹介も終わった。……さて、僕の番だ。一人称が僕なのをここで明かしていいのかも、ちょっと分からない。私って言った方がいいのかもしれないけど、流石に一人称はそう簡単には直らない。
「えっと、夏目純です。中学は隣町の一中でした。手のかかる妹がいて、家事をいろいろやってます。料理が得意です。よろしくお願いします」
なんとか自己紹介をやり過ごすと、続いて委員会決めだ。図書委員とか保健委員とか、委員会らしい役もあるけど、メインは教科係っていう授業の先生に御用聞きしたりプリントを回収するようなかかりだ。
「律、社会係とか楽そうじゃない?」
「いいよ、それにしようか」
律と打ち合わせして社会係に自分の名前がプリントされた磁石を貼る。……が、定員二人のことろに五人の希望が集まってしまった。やっぱり楽そうな係に集まってしまうのか。
「「「「「じゃん、けん、ぽん!」」」」」
……負けた。律は勝ったためバラバラになってしまった。律は一旦、社会係を他の人に譲ろうとしたが、他の係にどんどん人が流れていくのでタイミングを逃してしまった。
僕も取り敢えずなんかしらの委員につかないとなぁと思うと、理科係が二人とも空いていた。理科はあまり得意じゃないんだけどなぁと思いつつネームプレートを貼ろうとすると、同時にもう一人ネームプレートを貼ろうとする人がいた。
「い、糸田さんだっけ」
「うん……えっと、夏目さん?」
「そうだよ。よろしくね」
「は、はい!!」
そんなこんなで理科係は僕、夏目純と糸田花恵さんに決まったのだった。まぁ、わりと話しやすそうだから大丈夫かな。
律は男女問わずモテるタイプだから、律と一緒にいる分には大丈夫だろうけど……ひょんなことからいじめられたら怖いし。
「午後は自己紹介とか委員決めとか学校生活での注意事項についてお話しますね」
昔からぶっちゃけ自己紹介で何を話していいか分からないが、今年はさらに分からない。男子ってわりとテキトーに済ませても問題ないのだけれど、女子ってそうじゃないと思うんだよね(偏見)。
その自己紹介で仲良くなれるのか、値踏みされているんだ。自分の派閥に取り込めるかどうか、敵対せずに済むのか、そういった判断をしなければならない。女子になったせいかそういった機微が分かるようになってきたのだ。思い込みも多少あるかもしれないんだけど。
「じゃあ一番の方からお願いしてもいいかな?」
宮瀬先生に言われて一番席の男子が立ち上がる。学校によっては男女ごとに出席番号順にするらしいが、この学校では男女いっしょくたにして出席番号を並べている。だから一番は男子だけど二番と三番は女子、そんな感じで並んでいる。
「赤羽恭平です。西中でした。人に見せる機会はあんまないんですけど、けん玉が得意です。以上です」
「糸田花恵です。中学は市外なんですけど、お祖母ちゃんの家に引っ越してきました。読書が好きです。よろしくお願いします」
「上田若菜でーす。二中の時はバスケしてました~。でも高校だし、なんか可愛い感じの部活やりたいなって思ってまーす。可愛い子、仲良くしてね~」
朴訥とした男子に気の弱そうな女子、そしてちょい派手ギャル……しょっぱなの三人でわりと濃い面々だったけど順調に自己紹介は進んでいき、律や津田君の自己紹介も終わった。……さて、僕の番だ。一人称が僕なのをここで明かしていいのかも、ちょっと分からない。私って言った方がいいのかもしれないけど、流石に一人称はそう簡単には直らない。
「えっと、夏目純です。中学は隣町の一中でした。手のかかる妹がいて、家事をいろいろやってます。料理が得意です。よろしくお願いします」
なんとか自己紹介をやり過ごすと、続いて委員会決めだ。図書委員とか保健委員とか、委員会らしい役もあるけど、メインは教科係っていう授業の先生に御用聞きしたりプリントを回収するようなかかりだ。
「律、社会係とか楽そうじゃない?」
「いいよ、それにしようか」
律と打ち合わせして社会係に自分の名前がプリントされた磁石を貼る。……が、定員二人のことろに五人の希望が集まってしまった。やっぱり楽そうな係に集まってしまうのか。
「「「「「じゃん、けん、ぽん!」」」」」
……負けた。律は勝ったためバラバラになってしまった。律は一旦、社会係を他の人に譲ろうとしたが、他の係にどんどん人が流れていくのでタイミングを逃してしまった。
僕も取り敢えずなんかしらの委員につかないとなぁと思うと、理科係が二人とも空いていた。理科はあまり得意じゃないんだけどなぁと思いつつネームプレートを貼ろうとすると、同時にもう一人ネームプレートを貼ろうとする人がいた。
「い、糸田さんだっけ」
「うん……えっと、夏目さん?」
「そうだよ。よろしくね」
「は、はい!!」
そんなこんなで理科係は僕、夏目純と糸田花恵さんに決まったのだった。まぁ、わりと話しやすそうだから大丈夫かな。
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