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#05 騎士学校を視察

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 騎士養成学校は、王都の中央に位置する王立魔法学園の隣にある。王都に住む平民は腕に覚えがあれば大抵この学校を目指すはずだ。王都で立身出世したいならここを卒業していることが必須条件となる。卒業したらほぼ間違いなく就職できるし、卒業生はエリートとして扱われることになるからだ。
 ……うちのような新設の騎士団にどれほどの人員が集まるかは分からないけど、頑張って説明会をするしかないよね。
 騎士学校は広々とした敷地に平屋の建屋が並び、剣技の授業には広い中庭を使用する。王都のはずれにあるこの学校には国内各地から少年少女たちが集まっているそうだ。貴族や商人の子女もいるが、そういった人たちは寄宿舎に専用の部屋を与えられていることが多いらしい。
教員用の入口から敷地内に入った私たちはまず剣術の授業をやっている演習場に向かうことにした。演習場には剣と盾を構えた生徒たちが集まっており、その中には教官と思われる男性もいて声を張り上げていた。

「剣を振るう時は決して迷うな! 国のため、主君のために振るう刃に迷いがあってはならないぞ!!」

 なかなかに熱血指導って感じで……ちょっと暑苦しそうだな。
 私と同じ感想を抱いたのか、ラヴィ―ニアさんは顔をしかめていた。
 教官がこちらを見たので会釈すると、すぐさま駆け寄ってきた。おそらく騎士団のスカウトだと分かってのことだろう。実際、すぐに所属の団を問われたからね。

「えっと、我々はこの度新設となった第九騎士団の人員を集めるために来た次第でありまして……」
「なるほど、第九騎士団か! 君が団長補佐か」
「え、えぇ。エリスと申します」

 いきなりの大声でちょっと不快だったが、我慢してにこやかな顔を装う。隣のラヴィ―ニアさんは礼儀正しくスカートを摘まみながらお辞儀をした。……この人も一応貴族令嬢なんだなぁ。

「それで、現状で配属先が決まっていない騎士候補生はどれほどいますか?」
「そうですなぁ。戦争も終わったばかりで新規の配属は多少落ち着きはしましたが、それでもすぐに戦地へ赴けるような者はそう多くありませんな。多く見積もったところで百は切るでしょうな」

 ……少ない。新たに騎士団を立ち上げるにあたり、どれほどの人手があればいいというのは厳密には用意されていないのだが、少なくとも百名の騎士は用意したい。だが百人の騎士を用意するということは少なくとも小隊長が出来る者が十名、中隊長となれば三名ほどは欲しい。大隊長については最悪の場合団長としてのエルフィオーレ殿下がいるから構わないが……。

「それに、いくら実戦で通用する学生が百人弱いたとしても、全員を第九騎士団に連れていくことは他の騎士団のメンツもあって不可能……それに、何人かは配属先として既にどこかの騎士団を決めている者もいるでしょうね」

 ラヴィ―ニアさんの冷静なコメントが全てだ。とはいえ十人から二十人はすぐに用意したいところでもある。

「何名か実戦レベル、あるいはその一歩手前くらいの生徒を紹介してもらえますか?」

 私の依頼に、教官はふぅむと少しだけ悩んでから訓練中の生徒たちを見渡した。

「実戦レベル一歩手前であれば、この中から何人か紹介できそうですなぁ」

 では早速、スカウトを頑張っていきましょうか。
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